トゥーマスト ギターとカラシニコフの狭間で

劇場公開日:

トゥーマスト ギターとカラシニコフの狭間で

解説

アフリカの遊牧民トゥアレグ族の元レジスタンス兵士たちによって結成されたバンド「トゥーマスト」を追ったドキュメンタリー。サハラ砂漠の遊牧民として生きてきたトゥアレグ族は、20世紀初頭のフランスの入植によって5つの国に分散。1980年代リビアで、トゥアレグ族の独立運動を支持していたカダフィ大佐によってレジスタンス兵としての訓練を受けたこともあるメンバーたちは、90年代に政治難民としてパリに移住。手に持っていたカラシニコフをギターに持ちかえ、音楽で世界を変えようと戦い続けている。「トゥーマスト」メンバーの生い立ちを通じて、トゥアレグ族の苦しみに満ちた歴史や民族的アイデンティティ、自由のための戦いについて描いた。

2010年製作/88分/スイス
原題:Toumast
配給:アップリンク
劇場公開日:2015年2月28日

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映画レビュー

4.0略奪と所有

2015年3月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

サハラ砂漠の遊牧民族『トゥアレグ族』をルーツに持つバンドのドキュメンタリーフィルム。

この様な映画を観ていつも思うのが、植民地主義は過去から現代にかけて、更に過酷になっていることです。過去の略奪も酷いものでしたが、現代の略奪の対象は地球のより深い領域まで及んでいる、そんな気がします。

例えば、『トゥアレグ族』が遊牧する国は、宗主国がフランスであったため、アレバ社によるウラン採掘が住民の意思に関係なく進みます。その為、病気になったり、住む場所を追われます。そして、兵士となり戦争に巻き込まれて行く。

巨大資本に飲み込まれて行く様は、どこの国でも同じ様相を見せますが、土地、水、生命、つまり地球全体が資本主義の中ではもはや「所有」だけの概念で成り立っていることを再認識でき、何ともやり場のない気持ちになりました。

そんな絶望を感じながらも、人類の原点である『トゥアレグ族』の有機的な営みと音楽は、私を「所有」という憂鬱から解放してくれ、つかの間の安堵を与えてくれました。

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ミカ