アメリカン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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人間には3通りしかいない
「人間には3通りしかいない。羊、狼、番犬だ」と父に教わったクリス。弟とともにロデオに夢中になっていたが、ようやく進むべき道を見つけた。愛妻タヤと知り合って結婚し、子どもも出来たのだが、タヤはイラクから帰還する度に「心も戻ってきて」と彼に訴えていた。
国のため、仲間を救うためと自分に言い聞かせて敵を狙撃する。合計160人の敵を殺したが、心が晴れることはなかったように見受けられる。
反戦映画かと問われれば、いささか微妙な立ち位置のこの映画。無駄に多くのイラク人を殺したことで、自分が何のために戦っているのか、多分そんな感情は芽生えてきている表情もあり、アルカイダの凄腕スナイパーを2000m近くの距離から倒したことで反撃を受け、ようやく恐怖というものがよぎったクリス。「帰りたい」と呟く姿に漸く戦争の虚しさを覚えたのだろうか・・・しかし、退役してからも苦しんでいる人たちを救うという名目で銃を教えているところにこの作品の意義に疑問を持ってしまう。そんな英雄もあっさりと殺される。
ここでのイーストウッドとクーパーの出会いが
戦争ってやつは………。
初め観た時は 伝説のスナイパーの話と思いきや、戦争によって心に傷(PTSD)を負ってしまった 話だった。
160人もの人達を殺害し、レジェンドと呼ばれる彼もまた、戦争の被害者なのだと。
アメリカでは、戦場から戻った兵士が 社会復帰出来ずに路上生活を送ったりしているのを見たことがある。
このクリス・カイルは、家族の支えもありPTSDを乗り越え 、自分の経験を生かし 心に傷を抱える元兵士の社会復帰の手助けをしていた。
けれど、ある一人の男性を救うことは出来ず、逆に 彼の放った凶弾に倒れてしまう。
クリスを殺害した エディ・レイ・ルースもまた戦争による被害者だ。
女、子供、関係なく 自分達を守る為に引き金を引く。そんな容赦ないシーンも、それが現実なんだと教えてくれる。
160人もの人達を殺害した伝説のスナイパーの話ではなく、その事(戦争)によって人生が狂ってしまう…戦争は恐ろしいものなんだと云うのを言いたいのかなと思った。
忘れてはいけない偉大な人
タイトルなし
「1人殺すと極悪人、大勢殺せば英雄」という言葉を思い出す。まさにそれ。自分はアメリカ人ではないので、主人公に感情移入しつくすのは難しい。かといって彼を非難することも本意ではない。
ただアメリカ人と同じメンタリティでは決して鑑賞することはできないタイプの作品であることは踏まえなければなるまい。
主人公は、味方を殺す因縁のイラク側のスナイパーに対して敵愾心をもっていた。それだけでなく、直接的な描写はないが、複数年に渡り対峙するこのライバルに対してある種の同類意識を持つにいたっていたと思う。恐らくやってることも役割も志しも主人公と大差ないのだ。ことを成したあと、主人公を突き動かしてきた張り詰めた何かは弾けてしまった。
戦闘シーンはよくある感じで映画に取り上げられるものとしては意外と小規模。マフィア同士の撃ち合いのようだ。
母国での主人公の異常性の描写も、演出というよりかは妻のセリフで表しているので、特別うまいわけじゃない。
ラストはせつないね。詳しくは知らないし描写もされていないが、銃社会の悲劇でもある。
長年に渡る敵狙撃手との戦いが嘘臭いが、戦場の描き方は質が高い
総合:80点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
戦場で続く緊迫感と臨場感が高い品質の演出で描かれていた。戦闘の危険は勿論のこと、戦場の経験からくる湧き上がる兵士の感情までが良く表現されていた。
一方で『スターリングラード』を思わせる敵の狙撃手との数年に渡る因縁の戦いはやらせっぽいなと思って調べてみると、やはりこれは真実ではないようだ。特に姿を隠すことに気を付ける狙撃手をあっさりと見つけてしまい、砂嵐が近づき恐らく強風も吹いている中での超長距離狙撃は嘘くさく安っぽい。無理やり悪役を作った印象を受ける。
また家族との諍いを通して、兵士と家庭人である自分との葛藤も描いている。どんな兵士も1人の人間であるということを浮き彫りにしているが、PTSDの描き方は平凡だった。
その戦場の後の話が結構長いのだが、彼が死んだのは実は映画製作が決まってからのようで、その分を物語の中に挿入したからこうなったのかなと想像する。国のために活躍した人材をしっかりと英雄として扱う米国と、何かしら国の犠牲者扱いしがちな現在の日本との差を感じる。
主演のブラッドリー・クーパーは自分の中では喜劇役者の印象が強かったのだけど、しっかりと役作りをしていていい演技だった。音楽は全体として目立たないけれど、最後のトランペットは染み入る演奏だった。
撮影はかなり良いが、撮影場所は中東ではなくL.A.で主に行われたそうで、美術への金のかけ方がやはり凄い。
胸打たれました。
「皮肉なラスト」とはこういう事
過去にも鑑賞していたが、何故かレビューしておらず見直して書いております。
実際したアメリカ海兵最強の狙撃兵クリス・カイルの物語。
美人な奥さんを射止めるアメリカの生活とは別に、一瞬の判断が命取りとなる戦場に送り出される主人公。
狙撃の質は見事だが前半は余り見せ場らしき所は無い。一触即発の戦場にて戦っている合間に、アメリカでの自分の家族が成長していく時間の流れに戸惑うクリス。
(狙撃している間も家族と電話で連絡を取り合う根性も凄いが)精神的にキツいのも分かる。
それでも緊迫する戦場に赴き活躍する。
「やはり俺の居場所はココなんだ」と言い聞かせている様だ。
徐々に最強の狙撃兵として活躍して行く訳だが、やはり見せ場は後半からの敵狙撃手との戦い。
ホント「意地」vs「意地」のぶつかり合い。
これをスナイパーと言う職種で観れるとは、ゴルゴ13もぶったまげるだろう。
戦場から帰ってきてからもある程度自分の地位を見出すが、あのラストとは、、、。皮肉にも見えてしまう。
ラストだけ実際の映像だった事もあり、初見の時は衝撃を受けた。
アメリカらしい伝説の物語。少し地味ですが面白い作品です。
戦勝国、止まれず
戦争の悲惨さを戦争の英雄を通して描いている、そこが素晴らしい。しか...
国と家族の天秤
軍隊に入り、戦場に向かう人々がどんな思いで戦うのか、家族はどう思っているのか、ということを凄く実感する物語でした。
国と家族、どちらからも逃げずに戦い守ろうとした姿に感動しました。
ノンフィクションの再現、また戦争というテーマ上仕方ないのかもしれませんが、もう少し家族との描写も入れて欲しかったかなと個人的に思いました。
エキサイティングな戦闘を楽しむのではなく、あくまで一人の兵士の、家族と国への想いに焦点を当てたストーリーとして楽しむ映画だと思います。
ただ、戦闘シーンもカッコ良かったです。
エンディングでもあるように実際のクリス・カイルはPTSDの退役軍人に殺されてしまったのですね…
戦争映画の最高峰
戦争というものは誰一人と「幸せ」にはしてくれない。例え勝利しようが、「喜び」は分かち合えたとしても「幸せ」は遠ざかっていく...。
この映画はそんな戦争の核心を追究した、恐ろしい傑作である。
ある人は「この映画は戦争を美化している」など批判しているようだが、そんな事は無い。むしろ、この映画は戦争を強烈に非難している。はっきり言ってこの映画は容易に批判するべきではない。
主人公クリス・カイルは仲間を守るため、「狼」たちを容赦なく、殺していく。中には女性や子どももいたが、「番犬」として「国」や「羊」を守り抜くにはそうするしか他になかった。しかし、戦争の日々を積み重ねていくうちに、大事な何かを失っていき、PTSDをわずらってしまう。
この映画の特に感心させられる所は、主人公を伝説と呼ばれるヒーローのように描きながら、本当は「羊」を襲う悍ましい「狼」を描いているということである。
自分の信じてきたものは本当に正しいことだったのか、クリス・カイルはその答えに悩み続けてきたわけだが、最終的に、まるで天罰が下ったかのように彼は殺されてしまう。しかもその事件が起きたのはこの作品の制作途中だったらしい。
だから、この映画の着地点は大きく変わり、予定より印象も大きく変わったと思う。
内容も心に残るシーンはいくつもあった。例えば、この映画の一番の見所ともいえる砂嵐のシーン。臨場感たっぷりで、まるで自分がそこにいるかのよう。終始手に汗握る緊張感があり目が離せなかった。
他にも目を背けたくなるシーンも多々あり、今なお続く戦争の実体を目の当たりにすることになる。
本当に大切なことは何か、自分の信ずるものは本当に正しいのか、この映画は戦争の愚かさだけでなく、そのような生きるための教訓やメッセージを重くしかしハッキリと伝えてくれるもの凄い映画である。
クリス・カイルに捧ぐ。
評価:★★★★★ 100点
映画館でも、自宅でも鑑賞済みの『アメリカン・スナイパー』
米国海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイルの自伝を映画化。
カイルはイラク戦争の狙撃により多くの仲間を救い「レジェンド」と異名をとる中、4年間の過酷な戦争経験から、ぬぐえない心の傷に苦しんでいく姿を描いていく。
監督は巨匠クリント・イーストウッド、そして主演はブラッドリー・クーパーとハリウッドを代表する2人の初タッグ作品である。
感想は、私の中で戦争映画No.1であり、この先も抜かれることはないであろう作品となった。
まず、冒頭からの衝撃。
子どもと女性を射殺。だが、殺さなかったら多くの仲間を失っていた。
劇中で彼は
「あの蛮人を殺した理由を、俺は神にきっちり説明できる」と言い放つシーンがある。
強い愛国心が彼をそうさせ、そして共に戦った仲間を殺された復讐心によりその想いはより、強固なものとなっていった。
カイルがイラク戦争で射殺した数は公式では160人以上、非公式では250人以上である。
人が人を殺すという行為。
まともな精神なら恐らく耐えること出来ない。
戦場から家に帰っても、彼が苦しんでいく姿がとても丁寧に描かれている。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)となり、赤ちゃんの泣き声、後ろを走っている日本車が気になり、彼の心が休まる場所がなくなってしまった。
「あなたは家に帰ってきたけど、心は戦場に置いてきたまま」と妻のセリフ
4度戦地に行ったことで戦地にいることが普通となり、家族と過ごす平凡な日々が異常となってしまったのだ。
そして、自分が最も印象的だったのは奥さんと電話中に突如襲撃にあうシーン。
電話から聞こえる音は彼の声ではなく、叫び声、射撃音、爆発音のみになるのだ。夫が殺されかけている現状に奥さんの立場を考えたら胸が張り裂けそうになる。
平和とはなんだろうか。
戦争や悪の上に成り立つものなのか? とても考えさせられる作品である。
ラストも後味は悪い。
でも、ぜひ観て欲しい。
巨匠クリント・イーストウッドはまた1つの伝説の映画を作った。
そして余談だが、カイルが男としてカッコ良いと思ったセリフ
妻(カヤ)
「私は男運が悪い」
カイル
「男運のない生き方が、今の君を作った。そんな君が俺は好きだ」
言ってみたい(笑)
アメリカでは戦争賛美だと賛否両論分かれた作品ではあるが、オススメです。
観る際は音に注目を!!
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