アメリカン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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良い話
欺瞞と書いてなんと読む?
この作品に関しては、菊地成孔の評に全面的に同意。
曰く、連綿と続く「アメリカの戦争」の欺瞞性(敵方は邪悪で狡猾とすることで侵略の後ろめたさを緩和する)をこの映画もまんまなぞらえるという愚を犯していると。
「グラン・トリノ」であれだけ感動的なメッセージを示した監督が、一方でこんな作品を作ってしまうのか…とあきれた。
でも「ミリオンダラーベイビー」も終盤の展開にはまっったくついて行けなかったので、イーストウッドの感性とはそもそも相性が悪いんだろうな…
ノリノリの戦場パートに対する妻子パートへのあからさまな興味のなさ、笑ってしまうほどのおざなりさ。
それはもはや「建前」としても機能してないことを示してる。
なんの興味もない妻子を担保に使うホモソー的欺瞞を今すぐやめろ。
戦争のヒーローは敵から見たら極悪人
スナイパーは、
味方の兵士を助けるための正義の体現者。
しかも、
160人以上の悪者をやっつけてレジェンド。
危険にひるむことなく、
逃げ出すこともなく。
家族とのあつれきに苦しみながらも、
PTSDに悩みながらも、負けることなどなく。
でも、
視野を広げれば、誤爆、誤射で
あまりにも多くのイラク民間人が
命を失った事実。
ま、クリント監督が描くはずもないのは
当たり前か。
敵は、
子どもを電動ドリルを殺すような
残虐極まりない者として
描かれていたけれど
本当にクリス・カイルの敵は
そんな残虐な者たちばかりだったのだろうか。
戦場からタヤに電話する時、
クリスは、敵兵にも家族がいる事実が
頭によぎったりしたことはあるのだろうか。
その家族の悲しみや苦しみに
思いを馳せたことはあるのだろうか。
子どもを撃たなければならない時のみ
呵責を感じていれば、許されるのだろうか。
そして彼にも、誤射はなかったのだろうか。
戦争におけるヒーローを描くことは
どんな描き方であろうと
戦争賛美にしかならない
そう感じた映画です。
伝説の英雄も普通の人間だった・・・。
ハートロッカーと似てる。ハートロッカーはドキュメンタリーチックで本作は人間的な描写がより多く感じた。両方良かったがやや本作の方が好きだ。
後半に掛けての緊張感は凄かった。これが実話が元になっているのだから驚く。
やはり戦争はいけないとつくづく感じさせられた。家に帰るとあんなに優しい男が戦場では敵と見なせば女・子供でも殺してしまう。そして伝説の英雄と言われる人でも精神を病んでしまう。
最後は味方の兵士を助ける為に人を射殺した人間が味方の元兵士に射殺されるとは何て言う皮肉なんだろう・・・言葉を失ってしまった。
ひとつ残念なのは最後の狙撃シーンのスローモーションは余計だったと思う。リアルな演出だったので違和感を覚えた。ただそれを差し引いても充分に良い作品だと思う。
最後に思うのはクリスとムスタファがオリンピックで戦う世の中であって欲しい。
戦争がもたらす悲劇に苦しんだ男
イラク戦争で活躍した実在の軍人、クリスカイルの半生を描いた伝記映画。
苦手な戦争映画に加え、実在の人物の話とあって何かと胸が詰まる作品であった。
祖国を守る為、戦地にて女子供問わず、射殺していく冷徹な面と帰国すれば妻と息子を愛する1人の父親としての優しい面を見せる2つの顔を見せるクリスカイルを演じるはブラッドリークーパー。
平和な日常生活に身を置く少ない時間の中で、些細なきっかけで戦地での記憶や振る舞いを呼び起こしてしまうPTSDの症状に悩み、家庭と戦地の区別がつかなくなってしまう過程がとても悲しく苦しく映る好演だった。
ようやく心を取り戻しつつあった、ラストのモノローグのみで語られる衝撃の真実。
これが事実であるから恐ろしい。
目が離せない
落ち込む実話映画
淡々と進む戦争の話。どうしても実話で有る事を踏まえて観てしまう為に鑑賞中から鑑賞後迄精神的に酷い疲労感を感じます。報われないラストが疲労感にトドメを刺す為ストレスで疲れている人には余りお勧めしません。とはいえ、この様な映画で人の生死や戦争、家族の事等人により色々考えられるという点では良作だと思います。
戦争は嫌だな、実話とはいえこれは映画だけど現実はもっと酷いんだろうなと落ち込む映画でした。
テーマの重さに耐えきれていない
伝説のスナイパーは心優しい父親って聞いてたんだけど
父親としての顔はあまり描かれていなかった。
戦争の悲しさやアメリカの正しさを描きたかったのか
暴力的なシーンで衝撃を与えるのはいいんだけど、
その対比としての「父親の顔」「ひととしてのくるしみ」「PTSDの弊害やその後の活動」の部分があまりにさっくりとしていて、
重いテーマを扱うわりに深みがない映画だなという印象。
実際クリスは仲間の死には敏感だけどそれ以外には非情だし…
家族の前でイスラムの男の子がドリルで殺されてもあっさりしてるし、、
本当に心優しい父親だったら息子を思い出すでしょうよー、、
あと1箇所スローモーションのシーンがあったのが、
戦争映画としてのクオリティも下げたと思う。
あの安っぽい表現には非常にがっかりした。
原作未読なのでもともとなのか、映画でダメになったのかわからないけど、高評価の理由がいまいちわからない映画でした。
うまいやり方
英雄の真実
字幕スーパー版で鑑賞。
会社の同僚と観に行きました。
鑑賞前の印象は、クリント・イーストウッド監督にしては珍しく、アメリカ万歳映画なのではないかと思っていました。
ところが観てびっくり。アメリカを称賛するわけでは無く、かと言って戦争反対をテーマに掲げているわけでも無く…
戦争と云う不条理な出来事が、ひとりの男の心に齎した傷を真正面から捉え、真摯に向き合っていく作品でした。
伝説のスナイパーと讃えられながらも、戦場において(任務とは言え)多くの人を射殺し(中には子供もいました)、仲間の死や傷つく姿に直面して来ました。
敵の凄腕狙撃手との死闘など、生きるか死ぬかの瀬戸際に常に立たされ続け、1秒先の自分の運命さえ見えず、いつ死が訪れてもおかしくないと云う恐怖に怯えながら戦う日々…。戦争の緊迫感が痛ましいほどに伝わって来ました。
極限の死地から帰還しても、そこでの壮絶な経験は彼の精神を確実に蝕んでいて、PTSDを発症。日常生活まで脅かされてしまいました。それでも愛する家族のために、退役軍人の社会復帰プログラムに参加するなどして立ち直ろうと努力していた矢先の悲劇。なんと云う不条理か…
英雄の現実に、心が締めつけられました。
※修正(2022/06/11)
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