アメリカン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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ヒーローは、きみの中にいる
★★★★☆
最近のメンタルとリンクしたこと、実話であること全てにおいて胸が苦しくなったけど、素晴らしかった。
正しさの議論より、生き方の話をしたい。今年の映画ドラえもんも同じヒーローがテーマです。(と、宣伝につなげる)
戦争と家族
最初に言っておきますと、この作品は映画館で観るのがオススメです。骨太で腹にずっしりと来るアクションシーン、そして、あのエンドロール、ぜひ大迫力の画面で体験してもらいたいと思います。
この作品で物議を醸しているのはイラク戦争の大義名分なのですが、クリント・イーストウッド監督は、イラク戦争に対する自身の考えをここでは出そうとしていないという風に思えました。ただただ、クリス・カイルという一人の軍人とその家族、戦友にまつわる事実を淡々と描いてみせた、そんな印象を受けます。
戦争に参加するか否か、それを賞賛するか否かは、未だ個人の自由だと僕は思います。しかし、この作品でイーストウッドは、戦争によって人々の生活やお互いの関係性、自意識などが変わっていく、もしくは崩れ去っていく様子を否応なしに見せつけ、もう一度、我々は何と戦うのか、なぜ戦うのかを、観客に問いつけます。
そしてもうひとつ思ったのは、クリス・カイルは一体誰のために、戦場へ何度も行かねばならなかったのか?これはもちろん本人の意志で戦地へ赴いているのですが、その理由ははっきりと言葉では出てきていません。家族のためなのか、国家のためなのか、戦友のためか、神のためか、自分のためか、クリス本人も最後は分からなくなっていたのではないでしょうか。
観終わった後思い出したのが、数年前にWOWOWで放映された海外ドラマ「ザ・パシフィック」です。スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスが手がけた、太平洋戦争において、日本軍と戦う米軍兵の姿を、兵員個人の視点から描かれるのですが、この作品においても主人公の青年は、退役後にPTSDに蝕まれていく様子が描かれています。この青年も実在の人物で、心臓に疾患を持ちながらも、兵として志願します。そして、数々の激戦を生き抜く中で、静かに精神のバランスを崩していきます。戦闘シーンも、かなりリアルでヘビーなので、興味ある方は観てみると良いと思います。
イーストウッドもスピルバーグも描こうとした戦争の「本質」は同じなのかもしれません。それは言葉にするのは難しいですが、彼らはそれを、映画という形で表してきたに違いありません。
そういえば、今年度のアカデミー短編ドキュメンタリー賞に、"Crisis Hotline: Veterans Press 1"が選ばれました。偶然なのか分かりませんが、退役軍人たちのためのカウンセリング・コールセンターを追った作品のようです。こちらもぜひ見てみたいです。
Dolby® Atmos™で観賞しましたが
見たい人が見たいように見る映画
クリント・イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」を見た。迫力ある引き締まった映画で、常に乾いた銃の音が轟いていた。
クリント・イーストウッドの戦争映画といえば、私は「戦略大作戦」が好きで、劇場でも見たし、テレビやビデオでも何回か見ている。45年前のそんな映画を思い出しながらも、作り物でない本物に近い戦争映画を作った彼の腕前と時代の彼岸を感じていた。
ところで、この映画をどのように評価するかだが、イラク戦争を正当化する作品と見ることもできるし、逆に戦争で心を病んだ兵士たちとむなしい戦いを映し出すことによって、反戦のメッセージを発しているととることもできる。クリント・イーストウッドはあえて自分の主張を前面に出すことはせず、淡々と事実を描いていく。
結局は、この映画を見る人たちは自分が見たいように解釈をし、自分が得たいメッセージを受け取ることになるのだろう。
さすが!
最高のエンドロールと鑑賞直後は記してはいたが・・
心をヤスリでシゴかれた気分…。
反戦を誓う
アメリカ軍史上最高の狙撃手、アメリカ海軍特殊部隊SEALsのクリス・カイルを描いた作品。
作品では、クリス・カイルが、戦闘によって徐々に心を蝕まれ、そして、退役後、傷痍軍人やPTSDを負った退役軍人たちとの交流で徐々に人間の心を取り戻していく姿が描かれています。特に、二度目、三度目の派遣期間前後、アメリカ国内にいるにもかかわらず、大きな音に反応している様は痛々しくも感じます。タヤが「心は戻ってきていない」と言う様な事を言っていますが、まさにその通りだと思いました。
クリント・イーストウッドらしい、骨太の作品です。って言うか、実在の人物を描いた伝記映画なので、基となった人物の人生が骨太ということでも有るのだと思いますが。ラストは、クリス・カイルの葬儀のシーンになっています。英雄らしく、パトカー・白バイに先導されて車列が進んでいっていました。めっちゃアメリカっぽいなぁと思ってしまいました。退役軍人ではあるけど、国に十分奉仕した人間だからこその扱いです。
いやぁ、でもねぇ、いきなり人の家に銃を持って踏み込んで「何で居るんだ!」とか怒鳴ってみたり、勝手に監視場所にしたりと、「アメリカ軍酷ぇ」と思う所が結構ありましたよ。ノックして、礼儀正しく入ることが出来ない環境と状況だったのかもしれないけど、あれじゃぁ、現地の市民から歓迎されないよね。それだけが、いまの混沌としたイラク・シリア情勢を産んだとは言わないけど、その原因の一端になったのだとは思いました。
集団的自衛権とか、危険地帯での人質救出作戦とか、勇ましいことこの上ないですが、それは、その後の犠牲を覚悟してこそできること。それと、残された家族を守っていくことができるからこそできること。日本に覚悟ができているか?!出来ていないと思うよ。
重厚で、考えさせる作品です
最後まで緊張感のあるストーリー展開で、重厚なテーマを描ききっています。声高に反戦を主張しているわけではないけれど、感がさせる内容です。イラク戦争が、表面的には勝者の立場である米国にとっても厳しい戦いだったことがよくわかります。
主人公のクリス・カイルが、戦争から帰ってから殺されたことは知っていたので、そこをどのように描くか興味を持って見ていましたが、納得のエンディングになっていました。
この戦争を仕掛けた為政者の姿はどこにも見えないと言うのが引っかかりましたね。映画の冒頭でカイルの父親が語る羊と狼と番犬のたとえ話は印象的でした。
"No Pain, No Gain"
02/21公開の当該作品は、アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、
クリス・カイルの自叙伝を実写化したものです。
監督は、クリント・イーストウッドです。
本年度アカデミー賞は、作品賞を含めて、6部門でノミネートされています。
キャッチコピーは、
『米軍史上最多160人を狙撃したひとりの優しい父親。
彼は帰ってきた。心は戦場においたままで。』
です。
自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」は、米国でベストセラーとなり、
18週間のうち13週は、第一位となりました。
"Hung Over"では、ふざけた役を演じたブラッドリークーパーは、
Sealsのクリス・カイルを演じるにあたり、筋トレで18Kg増量したそうです。
同一人物とは思えない身体と演技でした。
否応無しにも、期待は高まりますが、
素晴らしい作品でした!!!
お薦めです!
単なる戦争映画ではなく、観る人によって、観る角度によって
心に残るものは異なってくるのではないでしょうか?
私は、次の様に感じました。
当該作品の主人公の狙撃手クリス・カイルは、
戦争で、敵から米国をそして仲間を守るという「大義・責任感」と
暖かい家庭を維持するという「公私のバランス」に
苦しんでいました。。。
家庭を養っている男性も、程度の差こそあれ、
ものを売っているのではなく、お客様の問題を解決しているのだ
という「大義・責任感」から、家族と一緒にいる時間さえも、
休日出勤したり、家で仕事をしたりと心落ち着かない日々を暮し
「公私のバランス」に苦しんでいる世の男性は多いはずです。
私が経験してきたIT業界でも、
トップセールスや上級管理職に登りつめた人間が、
その大義と責任感が故に、「公私のバランス」を崩し、
離婚する人間も少なくありません。
"No Pain, No Gain"
この映画を見終えて、私の胸に浮かんだ教訓です。
悲しい教訓であり、悲しい現実です。。。
Michi
[追伸]
久々に、一番広い映画館が満員御礼でした。
明日の米国アカデミー賞では、是非とも、最優秀作品賞を獲得して欲しいと思います。
重い問いかけ
決してアメリカ礼賛映画ではない、かといって反戦映画でもない。主人公にとっては、この戦争で戦う意味は極めて明解だ。「射殺した全ての理由を神の前で説明できる。自分が悔やむのは救えなかった仲間の方だ」という台詞は、衝撃的ではあるが、彼にとっては当然の事なのだろう。
ヒーロー、伝説、と呼ばれると、それを誇ったり喜ぶどころか、寧ろ困惑する主人公。戦地を離れると脱け殻のようになり、身内の「危機」に過剰に反応してしまう姿。類い稀な才能を持った主人公も、壊れそうな心を持った一人の人間である事をイーストウッドは丹念に描き出している。
最後の砂嵐の中での壮絶な銃撃戦は、まさに暗中模索するアメリカそのもののようだ。
主人公の葬列と追悼式を写したあと、エンドロールは全く無音で流れていく。イーストウッドの重すぎる問い掛けが心に刻まれて行く。
因果応報と言う言葉を思い出す。
人が人を殺す現実
戦争というものの当たり前の事実、人が人を殺すということはどういうことなのか? をつきつけてくる。
単なる反戦争映画というわけではない。少なくとも、やっぱり平和が一番だよね、なんていう能天気な感想は口にできない深刻さを持っている。
たぶん、この映画を観た人は、いろいろな感想を持つと思う。事実を基にした映画ということもあるけど、観た人どうしが議論することを想定しているというか、議論を煽っているところもある。
スタッフロールが非常に変わっているのだけど、ここにものすごい監督のメッセージがこめられていると思う。
それはすなわち、
この問題を考えろ!このままでいいはずがない!この問題を解決するために努力しなければならない!
ということだと受け取った。
実話の説得力
アメリカ人と日本人では見方が違う
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