セッションのレビュー・感想・評価
全926件中、1~20件目を表示
原題だと「フォックスキャッチャー」と間違えるから「セッション」にしたのだろうか
いや、すまん。
期待した人はいないだろうが、さすがにあっち方面のネタに飽きてきた。というか。
「セッション」
ギターソロより、ドラムソロに憧れた青年。
とはオレのことだが、女にもてたいくせに、ドラムを選ぶという、しょぼいガキだったオレは、さんざんストイックに、「叩け、叩け、叩け」のモノを聞いてきた、観てきただけあって、演奏シーンに特に深い思いはない。ドラムソロはストイックな絵になり易いし。
そう、観るべきは、下の尊敬するレビュアーさんにあるように、ハゲとガキのエゴとエゴの「鞭の打ち合い」。
ハゲはチームのことなんざ、考えちゃいねえ。「オレの音」「オレのリズム」そこからの唯一無比のミュージシャンを生むことしかない。
チャーリー・パーカー出さずとも、世に言うトップ・ミュージシャンは少なからずそのように生まれたことも多かろう。
だが、その思いすら本当かどうか分からない。教え子が自殺した、という知らせに涙するする姿も、「オレの音を忠実に再現できるやつが死んだ」と悲しんだだけかもしれない。
でも音楽ファンからすると、その悲しみ方って実は間違いではないんだよね。
だから、このハゲのやっていることは、それでも「分からなくはないエゴ」なのだ。
ガキのほうは青いだけに、プライベートのバランスが取れなくなるが、つまるは、「悔しい」と「オレはトップになる」の「若さゆえの正しいエゴ」でそれに反発する。
また途中のキレ芸があったのが、大きいよね。あれもまたある意味「『正しい』もう一方の青臭いエゴ」。楽譜の件は言うに及ばず。
追記
ハゲがクライマックス、コロッと表情を変えるのだが、それも虚か実か、結局分からない。
分からないからこそ、キュン、とくるのである。
追記2
うおっ、こう書くとまたあっち方面になるじゃないか。今年はこの路線でレビューするのか。
セッション:インポッシブル
セッション
狂気
鬼才デイミアン・チャゼル監督が描く『セッション』は、音楽教育という枠を超えて、狂気すら帯びた師弟関係と「一流とは何か」という問いを突き付ける作品だ。音大教授フレッチャーの指導は、常軌を逸している。人格否定や家族の侮辱、さらにはイスが飛ぶほどの暴力的な言動――現代社会では到底許容されないであろうそのやり方に、観ている側も身構えずにはいられない。
一方で、そんなフレッチャーに認められたい一心で、血反吐を吐くまでドラムに打ち込むニーマンの姿は、執念を超え、もはや狂気に近い。交通事故で全身血だらけになってもステージに立とうとする場面は、人間の限界を超えた執念と自己破壊の表象であり、観る者に畏怖の感情すら抱かせる。
この作品の恐ろしさは、フレッチャーのやり方が「完全に間違い」とも言い切れない点にある。平凡な指導では突出した才能は生まれにくい――その信念には一理あり、私たちもまた「限界を超えるためには何が必要か」という不穏な問いを突き付けられる。『セッション』は、努力・狂気・信念が渾然一体となった、人間の極限を描いた衝撃のドラマである。
動悸が止まらない
個人的にはシビル・ウォーに並ぶかそれ以上か。
見終わった後、今もしばらく続く、何かに追われるような焦燥感、ぐったりした疲労はどうだ。
ポシェットを胸前でギュッと抱えながら、イーッと引きつった顔でスクリーンを見続けていた。
初めてだった阿佐ヶ谷のミニシアターで鑑賞。背もたれが小さい、音の迫力がいまいちと、予告編のときに湧いた小さな不満は、あっという間にどこかに消えた。そんなことも感じたと、今やっと思い出した。
血だらけで舞台に立つまで追い詰められた狂気、そんなこと経験ないから分からんが、この作品上は分かる。そこまで矛盾のない展開。
再起の舞台に上げて密告の復讐を遂げる狂気、クソだクソだクソだ。ああ、自分は絶望した息子を抱きしめてやれる父親にならないと…と本気で思った。そこから始まる9分19秒(とプロモーションに書いてあった時間はこのことなのだろう)。
このメンタル、なに!?
でも一度は狂気のレッスンをやり遂げ、血だらけで登壇した男なのだから、こうするのは当然だった。これを引き出すためのフレッチャーのプレッシャーだったか?いや、クソだ、狂ってる。
パワハラはいかん。見てて、部下の顔が何人か思い浮かんだ。いいところを見ないと。見えてる才能にクローズアップしないと。部下は自分の手駒じゃない。この映画を思い出そう。いいものを見た。
もう一回みたい。ニコルはかわいかった。昔の彼女の前でカッコつけたくなる幼稚さ。わかる。ずっこけフラレたのが最後の狂気へのアクセント。この演出もすごい。
もう二、三回は見たい。
無能な奴はロックをやれ
音楽と音学
ラストで感動。
パワハラ教師と性格に問題のある若いドラマーの話だが、リアリティーが凄かった。出演者は皆音楽の専門家に見えた。ドラムのこんなに長いソロを聴く機会は滅多にないが、(誰が叩いているにせよ)感動した。この邦題は素晴らしいと思う。作品を見た後で知ったが、この監督は製作当時20代とのこと、びっくりした。
令和の時代では通じないスパルタ
いや、平成でも無理か。
おそろしい詰め方のハイパーパワハラ上司。人格も親も否定して詰めに詰めていく。見ているこっちの胃がキリキリしてくるほど。
でも、もちろんここまで酷くはないけど、音楽学校て結構すごい練習をするらしい。
ちなみにDVDを借りると、特典映像に映画の原型である短編映画をみることができる。
15分弱だったかな。主人公のキャストは異なるものの、フレッチャーは同じキャスト。
内容というのが、主人公がフレッチャーに抜擢されて初めてバンド練習に入ったときの展開。
本編とほとんど変わらない。
トロンボーンの音ズレから始まり、主人公のテンポのくだり。
あの展開だけの映画。
あそこで終わる。
なんとまあ、救いの無い短編映画である・・・。
見ていて具合が悪くなった
時代を超える傑作
もともと好きな作品で配信で三回視聴済み。今回は4Kリマスターを映画館で観れるということで地元での公開を待って鑑賞。
スクリーン越しにこちらが委縮してしまうフレッチャー教授の圧と、追い詰められていくニーマン。随所にちりばめられたアップテンポで明るいなジャズ・ナンバーはギリギリで均衡を保っているキャラクターの精神とは対極なのだけれど、逆にそれがコントラストとなって両方を真に迫るものにしている。
特にラストシーンは何度も観たのに劇場の迫力もあってか呼吸を忘れて見入って(聴きいって)しまった。盛り上がり、痛快でもあり、私が観た映画の中でもトップクラスに格好いい締めだ。
終盤で『時代がジャズを弱くした。このままではもう天才は生まれない』というような意味合いのセリフが語られるのだが、さまざまなハラスメントが濫用されつつある現代にそれは当てはまるし(ジャズに限らず)、それが使われなくなっていくというのは基本的にないと思う。
それゆえにこの作品は今、そして今以降の時代において一種のノスタルジーと普遍性を保つことができるだろう。
デジタル4Kリマスターは初めて鑑賞したが、期待していたような画質の向上は感じられなかった。ただ色合いのコントラストは強調されていたような気がする。
最後に、これは本作のレビューから逸脱してしまうのだが、本作の低評価を読んでみると劇中のキャラクターの心中を想像したり、技法や描写に思惟することもなく『画面のこちらの自分がどう思うか』だけで完結させるものがある。
これは観る側の質によるものだと思うが、最近とみに増えているように感じる。ぜひご自身で評価されることを勧める。
最後まで分からなかった、復讐劇なの、、、?
全926件中、1~20件目を表示