天空の蜂のレビュー・感想・評価
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自衛隊のプロモーション?
まずは、自衛隊がかっこいい。
原発作業員も職務に忠実だし、警察も渋く任務を全うする。
そして、ほぼ想定通りのハッピーエンド。
エンターテイメントとしては、こんなもんかなと思う。
とにかく盛りだくさんで、総花的。
個人的には、もう少し本木の息子の死を掘り下げて欲しかった。
原発自体ももちろん大きな問題だが、
それを巡る議論のあり方こそ社会の病巣だろう。
想定外を想定するということ。
地震や津波等の自然災害でさえ言い分けが許されない原発事故。
東日本大震災に絡んだ福島第一原発の事故がなければここまでの社会的関心を集める事は無かったのではないだろうか?
では、人為的な課題としてテロの標的になった場合にはどうか?
そういった想定に基づいて語られた物語である。
原子力エネルギーのおかげで豊かな経済と快適な暮しを享受してきたのは間違いない。
ただ忘れてはならないのは、利便性や経済的利益のみを得ることは出来ないと言うことだ。
真の代償というものがどういうものであるのかを理解した上で社会の中での原子力という存在の在り方を捉え直さなければならない。
目下の課題は最終処分施設をどうするかだろう。
廃炉すればそれで終わりではないという深刻な現実が待っている。
原発そのものよりもむしろ原子力でお金儲けを企てた人間の愚かさの方が問題なのだろう。
昨今の世界情勢を鑑みると今後はドローンやサイバーテロ対策が重要になるであろうから、それらを考えるには良いきっかけになる映画ではないだろうか。
長々と書いてしまったのだけれども、考えるのは後回しにして、純粋にエンターテイメントとして本作を楽しんで欲しい。
盛りだくさん!! 過ぎ
今ここにある危機
映像化不可能と言われた東野圭吾の1995年発表の小説を映画化したサスペンス大作。
約20年後、作中で訴えた原発の危険性がまさか現実のものになるとは、作者本人が一番驚いている筈。
その昔、「ゴジラVSデストロイア」でメルトダウンという言葉を初めて聞いた時、そんな専門用語があるんだぁ…ぐらいにしか思ってなかったのに、これもまさか現実社会で聞くようになるとは…。
原作未読。
それでもかなりカットされている事や急ぎ足なのが目に見えて分かる。
まず、冒頭。
ビッグBが強奪されるまでの流れが早い、早い!
まるでダイジェスト的で、何だか開幕早々置いてきぼりを食らった感。
ビッグB内には開発者の息子が乗り込んだまま奪われてしまい…というご都合的危機、確執ある父子、父は息子を救えるか!?…といういかにも邦画らしい湿っぽさ。
このまませっかくのスリルある題材を活かせないまたよくある邦画サスペンスになるのかと思いきや、中盤辺りからグングン面白くなってきて、なかなかに見応えある硬派エンタメ+痛烈メッセージになっていた。
湿っぽくなると思っていた主人公の息子の救出作戦が結構手に汗握った。
端から見れば正気の沙汰じゃない救出作戦。
ビッグBから落ち…なんてシーンはヒヤッとさえした。
緊迫感溢れる画作りは見事。
これでめでたしではない。
最大の危機はこれから。
奔走する原発職員、ビッグB技術者たち、強奪犯人探し、そして内部に居る真犯人と協力者…。
たたみかけるスリルと展開。
後半失速する邦画サスペンスが多い中で稀な緊張感途切れない演出。
監督は堤幸彦。
本人にとってもこれほどの大作サスペンスは初だった事に後から気が付いた。
正直、犯人たちの動機はちと弱いかな、と思った。
一方的な逆恨みでしかないような…。
と同時に、劇的なものではない現実にも起こり得そうな動機とも感じた。
見たくないものから目を背ける。
見て見ぬふり。
偽りの仮面を被り続ける。
その下で踏みにじられる一部の少数派たち…。
平和ボケ、何を基準に言える絶対の安心安全。
大衆も政府も起きてから他人事のように大騒ぎする。
もし、更なる深刻な事態が起きた時、本当にこの国は大丈夫なのか。
想定外の危機はもはや絵空事じゃない。
現実問題として、原発の問題点は多い
映画自体はエンターティメントを成立させつつ、原発を包む欺瞞をモックンの口から語らせる。
犯行を行ったグループの気持ちは理解できる。
国がする事は嘘だらけみたいなのも仕方ない。
無関心の国民に糞をぶっかけたいのにも共感できる。
本当に狂ってるのは誰か?いつかお前らは思い知る時が……とラストのもっくんのメッセージは聞き応えがあった。
「天空の蜂」を観て・・
原発について
悲しい気持ちになる
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