劇場版 PSYCHO-PASS サイコパスのレビュー・感想・評価
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1き の搾りかす
劇場版らしい迫力
女性監視官の弱さも・・・
TVアニメの劇場版です。精神判定により犯罪予備者を特定するシステムが稼働する近未来。そのシステムを海外に輸出しようとしたところ、その国からテログループが入国して・・・と言うストーリー。
TVアニメを鑑賞していないと、面白さが分からない作品ですね。
ハリウッドでも十分に通用するような設定が、興味をそそられます。また映画では失踪していた1期の主人公も登場して、話を盛り上げます。
映像も綺麗ですし迫力もあって、アニメに拒否反応がない方なら十分に楽しめる作品です。
ただ、TVアニメから続けてみた場合、主人公の女性監視官が強すぎるように思えます。3年前まで少し甘えた、弱さがあった新人だったはずです。先輩が消えたり、システムの秘密を知ったりして、急激な成長を遂げたという設定なのでしょう。しかし、この映画(と言うより第2期から)では完璧すぎます。折角第1期の主人公も登場したのですから、少し弱さを見せた方が人間らしくて主人公の魅力も増すように思えました。
以前から気になってたアニメです
徹底管理されたシステム(正義、平和)は絶対的なものなのか…?
アニメ好きだという『踊る大捜査線』の本広克行監督が、念願を実現させ、好評を博したTVアニメシリーズ。
脚本が『まどマギ』の虚淵玄という事もあって、TVシリーズは気になっていた。
この際だからTVシリーズも含め見てみようかなと思ったが、1期2期合わせて30話以上あるようで、ちと今回は…。(1クールだったら見ても良かったんだけど…)
という事でいつもながらミーハー甚だしい、劇場版のみの鑑賞。
まず見る前に、概要や世界観や用語などを軽く予習。
人の精神や性格などが数値化される“シビュラシステム”(俗称“サイコパス”)が導入された近未来の日本。
徹底管理された平和の下、異常数値の者は“潜在犯”として処罰される。
治安維持に奮闘する朱ら公安局刑事課一係の刑事たち。
ただでさえ世界観や用語の把握が小難しいのが近未来SFアニメ。『攻殻機動隊』然り。
しかも虚淵脚本なので結構覚悟して見たのだが、勿論多少の小難しさや難しい言葉遣いはあったものの、思いの外把握出来た。
真っ先に思い浮かんだのはその『攻殻機動隊』だが、同作のような哲学的サイバーSFモノではなく、あくまでシステムやメカニックがハイテク化された近未来社会での刑事モノ。
ここら辺、『踊る大捜査線』の本広監督らしい。
テーマやメッセージ性を打ち出しつつも、虚淵脚本もエンタメに徹している。
この劇場版のメインストーリーは…
内戦続く東南アジア連合=SEAUn(シーアン)にシビュラシステムの導入が決定されたと時を同じくして、日本にSEAUnからテログループが密入国。
その手引きをしたと思われるのが、朱の元同僚・狡噛。
それを確かめるべく、朱は単身SEAUnに赴く…。
朱と狡噛の関係性や経緯は知らない。
が、かつての仲間で何かしらあったという事だけでも抑えていれば、一応話の展開に難は無い。
シビュラシステム導入で内戦の沈静化や平和に一歩近付くと思われたSEAUnの実態…。
軍事独裁政権、国家の陰謀…。
それに抗い、戦う。
反政府活動に身を投じる狡噛。
朱も行動を共にするようになる。
システムや徹底管理された平和や正義は本当に絶対的なものなのか…?
現実社会の世界情勢問題を汲み取ったようなドラマ、ハードなポリティカル・アクション、どちらも見応えアリ。
迫力のアクション描写。実写でのSF/アクション描写はハリウッドや韓国に劣るが、アニメでのSF/アクション描写はさすがジャパニメーションのハイクオリティー。
童顔だが、朱は魅力的でカッコいいヒロイン。
思ってた以上に面白かった。
本当に時間に余裕あれば、TVシリーズから見てみたいと思う。
主人公に感情移入がし辛い…
安価な“平和世界”で「正義」は一つの凶器か?一つの希望か?
ゲームに最期まで殉じたかったルカダンタのキャラクター像、見捨てられない正義感と獣の本能に委ねた狡噛、そして信じる正義の為に遵奉した朱と(ニコラス・)ウォン。考えてみるとどこを取っても、純粋悪はいなかった。それどころか卑小な悪党、小物キャラは控えめで(見方によってはニコラス・ウォンは悪党風情に分類できるが)、ある意味事態や蒔いた種(=悪)を分かったうえで行動する良くも悪くも自覚をしているキャラばっかりで驚いた。公開初日の鑑賞では正直気付けなかったのに……。
かなり細部を把握してなきゃ、作れない作品でもある。例えばテレンス・マリック映画はハリウッド映画の方程式を逸脱した作品で、観客の経験談で色が変わる映画だった。最新作の『聖杯たちの騎士』もまさにそんな映画で、歩んだ人生経験次第で輪郭は大きく変わる。細部情報は固まってるけど、解釈までは強制しない一種の“委ねる映画”であって、同時に“考察欲求”を刺激する作品でもある。並みいるハリウッドスターたちがこぞって参戦したがるのも同意できる作家であるし、何より題が良いんだと思う。
『PSYCHO∸PASS』がマリック映画に肉薄するとは言わないが、少なくとも“考察欲求”を刺激するのは確かだと思う。例えばニコラス・ウォンにしても、小説版ではセムと見知った関係だと明かされてるし、あれほど可及的速やかに駆逐を完遂したがってるのも、安価ですぐに手に入る“保証済みの平和な世界”、それをさっさと手中にしたいという解釈も十分在り得る。昨今のドナルド・トランプ新大統領の政治政策、アメリカとメキシコ間に壁を設置する案など、今世界は勧善懲悪思考に依存しようとしてる。全員がそうとは言わないけど、多角的視野や思考が享受されつつある世界で、取り残された人間は手軽な証に躍起になって、括りがたい存在や意向を必死に否定する(目を逸らすと言うべきか)。それで得られる安全を取ろうとジタバタ動き続ける、ある意味本作品中の世界へ邁進しつつある傾向だけど、それを悪だの善行だのに落とし込まないところが良い。シビュラがもたらす“平和な世界”は間違いなく事実だから。
朱は自覚した上での信じる正義を行ったし、ニコラス・ウォンも哀れとはいえそこにはドラマが宿っているし、劇場版はより深淵に潜った作品と言って良いかも。『2』といい、ハッキリできない人間の業を描くところはやはりスタッフが緊張感を持ったプロの御陰ゆえか?まあその辺りは分からないけど、そこもいつか考察したいな♪
ちなみに敢えて個人的な不満をここで述べるのなら、須郷さんと雛川君の出番ちょっと少なすぎ!!あと何でEDが「名前のない怪物」なのよ。そこはどうか凛として時雨の「Who What Who What」が良かった……。まあそこだけ不満かな?後は見るのが心配な方、予習としてコッポラの『地獄の黙示録』&キューブリックの『シャイニング』を事前に見れば良いと思うよ。名作って自分で勝手に敷居を上げちゃうんもんだから(苦笑)
追記:東金さん、劇場版へのチョイ役とはいえ参戦おめでと!!
オチが弱い
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