紙の月のレビュー・感想・評価
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紙一重の向こう側
万人受けを狙わず、紙一重の向こう側を知ってる人にしか伝わらない爽快感に好感が持てた。これが刑に服する主人公で終わっていたならよくある“ありがちな”作品で終わっていただろう。最近流行りの不倫物を期待して観に行くのも間違っている。主人公は誰にも恋などしていない。彼は紙一重の向こう側を充足させる為のツールに過ぎない。全ては自分へのご褒美と称してデザートを食べたりエステに行ったりする“ありがちな”女性の不可解な自己満足の延長なのである。これと言って夫に大きな過失もない。ただノーブランドのペア時計をプレゼントした後に、カルティエの時計をプレゼントしてくるようないい人だけど空気の読めない、退屈な夫というのもリアルでいい。彼女の異変に気付いていながら好きにさせるのが愛情だと勘違いしている夫。だからこそ主人公のストレス発散は長期化する。「後味が悪い」「すっきりしない」「描写不足」との評もあるかもしれないが、これは紙一重の向こう側にいるもしくはいた、または憧れを抱く不健全女性という少数派の為の爽快映画という見方も出来るのだ。
NHKのテレビ版と比べてしまった
原田知世で今年放送されたものを観たので、比べてしまった。
それとは関係なく、普通の主婦から変化していく様子、もっとうまくできなかったかな。ピンクのパンツルックは宮沢りえに似合ってました?コートを黒から白に変えたってね、もっと何とかならなかったのかな。
池松壮亮と、あの程度の会話しかしてないのに、みつめあってあの関係になるって、不自然。テレビでは、もっと子どもがいないとか、夫との関係に虚無感や淋しさが出ていました。同級生との関係からも気持ちがわかりました。
学生時代の外国への寄付の気持ちとのつながりは、わかりづらいと思う。カットしてもよかったような。
銀行にバレて、窓割って無事に下に降りられないよー無理ありすぎ。
テレビでは、週刊誌に載り、最後は夫がテレビ取材に、自分が払いますと妻への愛もかんじられる涙してしまうシーンがあった。
宮沢りえは、銀行が隠ぺいしたのか、海外逃亡?
ラストは不可解。
でも、飽きずに観られます(笑)
素直に、面白かった?
役者良し!演出良し!力作と言える一本。
なのになんでこんなに退屈なのは…原作が悪いのか?
魅せようと言う工夫は解れど、予想の範疇を一切出ない展開が、とにかく「あぁ」で正味退屈。
劇中の言葉を借りれば。
「ありきたり」
「ありがち」
その視点で観れば、展開として本当たな傑作。
いや、観られないチグハグな出来が全てか。
結論として。
宮沢氏の年経て、の魅力だけが見所。
いや、池松壮亮のクズ演技も評価出来る!
トータル、クソ男優の物差しの作品。
転げ落ちて行く疾走感〜
この所の宮沢りえの演技に魅力を感じて観に行ったらなかなかの秀作。
観終わった直後は梨花が大学生に溺れて行く過程が
少々性急過ぎて飲み込めなかったけれど
偶然にラジオで吉田監督のインタビューを聴いたら
「原作を読んだ時に感じた女性が走って行く姿」を
形にしたいとの事で、この犯罪に対して
何か特別な理由を作って共感させるのでは無く
何かきっかけがあれば良いも悪いもぶち壊して
坂を転げ落ちるように踏み外してしまう「人」と言う危うさを
疾走感として表現していたとすれば
大学生に溺れて行く性急さや、
最初にお金に手を付けてしまった理由の安易さも、
テンポの良さ重視の演出と言うことになるのかな〜。
犯罪の性質上、映る映像はありふれた街の風景なので
爽快感は比べようもないのだけど
梨花が手にしたお金とその気分は
「テルマ&ルイーズ」の様に
行き場の無い高揚に向かって走って行く。
嘘を隠す為のジタバタさえも逆に笑ってしまう。
宮沢りえもさることながらこの映画
小林聡美が安定の良い仕事してて流石。
同じ様な状況の役を11年前に『すいか』と言うTVドラマで
演じていて、その当時のセリフを
宮沢りえとの対決シーンで思い出してしまった。
『すいか』の方は大金を横領して逃亡した元同僚が
なぜか時々電話をして来ては、
横領したお金でアレをしたコレをしたと報告され、
その度に自分だったらどうしただろうかと
思いをを巡らすだけで
結局は「踏み外せない人」を演じてました。
あまりにまんまな設定なので監督は意図して起用したのかしら?
と思ったくらい。
大島優子も良かった。
大きなくりくり目で世の中を見回して抜け目無く生きて行く
小動物の様でした。(笑)
犯罪に手を染めてしまうまでの細かさといったら!
一人の銀行員がどうして横領犯となってしまったのか?
その過程を細かく細かく描いていく映画だと感じました。
道を踏み外して、どんどん常軌を逸していって取り返しのつかないところまで・・・。
すべての犯罪が辿るところなのでしょうが、それが美しい映像で紡がれていて、湿度がないのがこの映画の特徴でしょうか。
little moaさんの劇中歌もなんとも現実離れした、虚構のような犯罪映画の中でさらに浮世離れした印象を深めてくれます。
どうしようもない状況になって、身も蓋もないような振る舞いはコメディですらあります。
しかしそれとてもどことなくリアルでありながら嘘のよう。
なんということのないシーンをスローモーションでここまで美しく見せられてしまって、ちょっと魔法にかけられたような気持になりました。
個人的には宮沢りえさんが、普通にきれいなおばさんなのが悪意というかなんというか。
繰り返されるラブシーンも1mmもエロくないのですね。
ラブホテルで、相当にえぐいシーンのはずなんですが、少なくとも私はこれっぽっちも恥ずかしいとか逆に興奮することもないように思われました。
男女差もあるのやもしれませんが、意図してのことなのかせざることなのか。
結局主人公は本来行かなくてはいけないところには行かない、という選択をするのですが・・・。
後味が悪い、というよりキリスト教的なものに対する反発、神に対する反抗を思わせるエンディングだと思いました。
ヴェルヴェットアンダーグラウンドの曲は不似合やねえ。
思わず引き込まれていました
宮沢りえのファンでも何でもありませんが、久々に時間を感じず引き込まれていました。
いつ手を出し、どんなふうにばれるかと・・・・
あまり気分の良い題材では無く、スケールもそれなりと思いますが、テンポもよく映画としての出来は良かったです。
あまりに皆さんの評価が分かれているのもうなずける点があります。
りえチャンは熱演していたと思います。が、台本が良いので他の女優さんでも良い映画になったと思います。
もう少しインパクトのあるシーンがあればもっと良かったかと。
素晴らしき後味の悪さ。
鑑賞中から後まで残る、何とも言い難い居心地の悪さ。
梨花の虚偽を重ねていく様、その危うさに息を呑む。梨花とスケールは比べものにならないが、私は何事かを誤魔化したことがないといえる程の聖人君子ではないので、薄氷の上を踏みしめ歩む彼女の日々に胸が締め付けられた。
小林聡美演じる隅とのカタルシス、かなりひきこまれるし、その臨界を突破する演出・脚本上のプロットに感心しきり。
吉田大八監督、参りました。
有り勝ちな話を軸に“一見”普通の人物の異物感を丁寧に描いた作品。
良かった。
特筆すべきは主演の宮沢りえ。
彼女の表情、言動、雰囲気の表現力。
彼女の佇まいで状況の理解が深まり話に惹き込まれていきました。
特に表情。
序盤、頼りなさげな表情から始まり。
土俵際で正気と狂気が入り混じる表情。
一時の享楽に身を任せている時の表情。
そして完全に土俵を割ってしまった時の表情。
表情に凄みが増していき、思わず息を呑む場面もあり圧倒されました。
長く続いた緊張がフッと切れる瞬間の表情もグッときました。
相手役の池松壮亮も良かった。
時間/関係性の変化により多面的な側面を見せると同時に。
序盤から或る結末を匂わせる雰囲気を醸し出す。
どこか陰のある屑を演らせれば随一。
交接場面の演技巧者振りも安心感がありました。
その他周りを固める俳優陣も安定感があり話に没入出来ました。
また登場人物像を表す描写も良かった。
話の大筋自体は目新しい要素が少ない「横領事件モノ」。
予想通りの筋の中で、登場人物達の実像が細かい描写で示される。
「何もない普通の主婦が不適切な関係を機に」という分かり易い人物像から始まるものの。
過去の或る出来事から語られる梨花の人物像。
様々な解釈が出来る、その人物像にモヤモヤ感が残ります。
彼女は本当に我々がイメージする「普通の主婦」だったのか。
彼女自身は「普通」を理解していたのか。
その観点で一番最初の小さな不正(融通)の切欠は何だったかを思い返すとモヤモヤ感が増します。
鑑賞後、作品の解釈や未消化部分を他人と話したくなる作品でした。
惜しむらくは上映時間。
上映時間126分は少々長く感じました。
結論が予想出来る分それに至る道程はギュッと絞った方が良かったのでは。
90分程度であれば、という点は残念でした。
有り勝ちな話を軸に“一見”普通の人物の異物感を丁寧に描いた本作。
不透明な将来に囚われた2人の会話から始める終盤の展開も秀逸。
中身が無い上に、囚われ方が異なるため咬み合わない不毛な議論が続く中。
その停滞感を一気に吹き飛ばす打開策。
呆気にとられる中で掛けられる或る一言。
その唐突感、異物感、一種の納得感にグッときました。
有り勝ちな話に潜む小さな異物感の積み重ねを感じたい方。
オススメです。
最低の駄作
なぜ、この映画が評価が高いのか全く不明。
未だにモヤモヤしている。
しかも、ご招待で観たので、私の財布から出たお金で観たわけじゃない。
しかし、この2時間、行きかえりまで含めると4時間。時間を返して欲しいというほど、無駄だった。
この横領というところに至るまでの過程も、全く理解不能。
金融機関に勤めている以上、人の金と自分の金が別物であるなんてこと、当然ではないのか。こんなに簡単にバカなことができるなんて、この主人公は何?
まったく共感できない。
なんで、タイ。
なんで、それをファムファタールと称賛するのかもわからない。
日本人の倫理観がぶっとんでるのだろうか。
ダメな事はダメ。
映画なら、それを良しとする、もっとファンタジーな理由を付けて欲しかった。
主演女優も、客観的にみると、、、、
法令線と顎の下のたるみが酷い。
もっと綺麗に撮れなかったのか。
同行者は、「だって宮沢りえは舞台で評価が高いのよ~」
違う。
それは聞き伝えにしか過ぎない。
実際に感動させられなければ、それは誇大評価だ。
元アイドルが、濡れ場を演じて、映画人のおじさんたちが頑張ったねっていう○○賞をもらったに過ぎない。
そういう人が演技をしても、駄作は駄作。
心に響いてはこなかった。
お金はただの紙
ありがちなストーリーです
アラフォーの女が若い男に入れ上げ、貢ぎ、贅沢をするために横領に手を染めていく
ラストで横領犯は捕まるのか、捕まらないのか…あるいは他の結末が?という一点に向かいストーリーは進んでいきます
わりとテンポよくストーリーは進みます時々ハラハラドキドキしながら、あっという間にラストシーンを迎えました
(宮沢りえ演じる梨花にあんな根性があったとは驚きでした)
イマイチ腑に落ちない部分もあります
なぜ、男子大学生は地味な風貌(美しさは残ってはいるものの)の中年女に惹かれたのか、梨花はなぜ突然自分から男を誘うようなマネをしたのか…(日常の不満からきっかけは些細な事で良かったのでしょうが)
粗筋を読むと『夫に不満』とありますが劇中の夫はそこまで酷くもないように思えます
嫌味っぽいとはいえ、ブランドモノの時計を買ってきてくれたり、海外赴任の同行を断った梨花にちゃんと電話を寄越したりもする
後から気になったことです
改めて粗筋を読むと、設定がバブルが弾けた1990年代後半とのこと
残念ながらあの時代の雰囲気が出ていないと思いました
思い返せばお金持ちの老人、恋人との過ごし方等はバブル期ですが、携帯が登場しない他は現代でも通用する風景、ファッション…少し残念です
総括しますと、時々首を捻る場面もありますが全ては宮沢りえさんの熱演がカバーしてくれたように思いました
梨花が壊れていく姿は必見です
月並みですが、お金では幸せになれない、ということだと思います
ちなみに大島優子さんが思いのほか、良い演技を見せています
お金で本物の自由は得られない
間違った方法でお金をどれだけ得ても、最終的には本物の自由を得ることが出来ず身を滅ぼす!というメッセージ性が強かった。
お金を扱う仕事の責任の重さを感じた。
大島優子さんが予想以上にいい味を出していた。宮沢さん池松さんの演技も自然。
面白かったけどオススメは出来ない
原作は読んでいないので、あくまで映画としての評価です。
全体的なストーリーの流れはとてもテンポ良く、観やすいです。ただ最後まで後味が悪い映画なので好みは分かれると思います。
この作品では主人公の宮沢りえの評価が高いようですが、私は逆に他の女優さんで観たかったですね。と言うのも、スクリーンで観る彼女に魅力的な面は一切無く(顔のシワ、髪型、服装、雰囲気、どれをとっても自分より遥かに歳の離れた大学生と恋に落ちるにはムリがある)2人が惹かれ合う描写も全く描かれていないので、違和感がありました。
ラストに向けて横領を繰り返していく辺りはなかなか見応えがありますが、ラストシーンはちょっと残念だったかな。
全キャストの中で、一番自然に役に溶け込んでいたのが大島優子だったのもまた残念!
「紙の月」
偽物と本物の境界は紙一重である。紙幣には価値があり、その対価を受け取ることができる。ただし紙幣はあくまで紙であり、些細なきっかけで価値観に狂いが生じやすい。さらに、主人公は銀行員という職業柄、尚のことその影響を受けやすい。そして彼女は月までも虚像に見えたあの瞬間に、変わった。
とにかくリアル
『紙の月』を観賞。
角田光代の同名小説の映画化。
夫と二人暮しの梨花(宮沢りえ)は銀行の派遣社員として外回りの仕事をこなしていた。上司や顧客からの信頼も厚く一見順風満帆な生活に思えるが、自分に関心の薄い夫に不満を募らせていた。そして、ある日出会った年下の大学生光太(池松壮亮)と密会を繰り返すようになり、横領に手を染めていく…。
とにかくリアル。
もちろん宮沢りえの熱演あっての事だが、主婦が不満はないが満たされない生活の中での苦悩、最初はすぐ返せば良いと小額に手を付けてしまう後ろめたさ、徐々に金銭感覚が麻痺し自分でも歯止めが効かなくなる様など、どのシーンを取ってもリアルの一言に尽きる。決して自業自得の一言では片付けられない怖さがあるのだ。
最初の光太との出会いから密会のシーンは若干唐突で「?」と思うものの、以降の展開は観客をグイグイ引き込んでいく。
ミステリー要素もあり飽きることなく最後まで一気に突っ走るスピード感も良かった。
ポスターの「最も美しい横領犯」という言葉には違和感を感じるが、40歳を過ぎた宮沢りえの良い意味での枯れ感が物語に悲壮感を与え現実味を高めている。
改めて宮沢りえという女優の底力を感じる作品となっている。
共感はできないけど、梨花の気持ちがとてもよく分かる
観た後には感動はないけど、心の中に何かが残っているような映画でした。
観終えた後に鳥肌が立っているのを感じました。
梨花の気持ちに共感はできないけど、 自分のしたいことをした という梨花の正直な気持ちは理解できました。
光太に惹かれて二人で堕ちていく様子がとてもよく分かりました。最初は幸せそうに見えますが、どんどん話が進むにつれて幸せが大きくなりすぎて恐怖に変わるような感覚になります。
原作よりも映画の方が梨花の夫が良い人に見えたので、視聴者にも梨花の夫に不満を持たせるような設定にした方が梨花が不倫してしまう理由が伝わって良いんじゃないかなと思いました。
いい映画 宮沢りえ代表作
凄い映画をみました。いろいろと考えてしまった。
映像的に最後のシーンはしばらく忘れられません。逃げ切れるわけじゃないのは分かっているんだけど、彼女にはどこまでも逃げてほしいと思いました。宮沢りえのあの走って逃げるシーン、あれ凄いわ。
物欲、性欲、様々な欲のたががどんどん外れて行くのは、彼女の融通のきかない純真な心と自由への渇望なのだろうと理解する。
彼女がアジアの片隅でどこまでも逃げ切って欲しい。逃げてる間は彼女は幸せのはずだと思う。
期待に応えて、面白かったです!!
「期待を裏切られた」系の意見が多くてびっくりしました。
「期待どおり面白かった!」という意見も知ってもらいたくて
投稿します!
必要なものがすべて入っていて無駄なものは入ってない。
そして見せ方や音楽の使い方がうまい。
なので観る側に考える余裕を与えつつもテンポがよいという、
吉田大八作品の良さが、今回も出ています!
そうなんですよ〜!観る側が色々考えて楽しめるのが
吉田大八作品なんですよ〜!
どうも、キャラとか原作とはちょっと違うらしいんですけど、
でも、自分には、あらすじを読む限り、原作より映画のキャラ陣の
ほうがおさまりがよいかなぁと思います。
0.5点減点は、「桐島」や「腑抜けども」に比べると、
フレッシュ感がこれらに比べると弱くて、
結果、何度も観たい感も若干劣るから。
でも、エンディングが素敵で、ちょっとその劣ってる部分を
持ち直してる、と自分は思います。
大事な事だから2度いうけどw素敵なエンディングですよ!
愛は身を滅ぼす。人間の弱さを赤裸々に描く社会派作品。
【賛否両論チェック】
賛:人間が欲に溺れて身を滅ぼしていく様が、赤裸々に表現されている。誰しもの心に忍び寄りうる闇に、深く考えさせられる。
否:「自業自得」と言ってしまえばそれまでの内容なので、好みは分かれそう。過激なラブシーンもあり。
最初はごくごく平凡な生活を送っていた主人公が、とても些細な過ちが引き金となり、次第に道を踏み外していく様子が見事に表現されています。ある意味で誰しもが起こしてしまいうる事態に、身の毛もよだつ思いがします。そのくらい、横領にしても不倫にしても、主人公が徐々に背徳感をなくしていく描写がリアルで、考えさせられます。反面、言ってみれば「身から出た錆」的な話ではあるので、「いやいや、自分のせいでしょ」と思ってしまうと、あまり楽しめない作品でもあります。その辺は、好みが真っ二つに分かれるところだと思います。
過激なラブシーンもありますが、「お金の怖さ」を改めて認識出来る作品に仕上がっています。
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