ゴーン・ガールのレビュー・感想・評価
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本当に怖いのは、誰?
これは、凄い文学作品というのでしょうか。源氏物語、と重ねてしまった。人間、親子、そして男と女のサガが描かれております...
ベン・アフレック演じる夫が、光源氏とは持ち味違いますが、ややモテ男。で、勝手、無自覚に。そして思い切りマザコン。精神的に幼く、大人になりきれていない。辛いと妻、母、妹、教え子など、ことごとく女性に頼ります、最後は無責任、他責、そしてどれもに罪悪感がありません。普通の男、のふりしてこういう男性が諸悪の根源(言い過ぎ?ごめんなさい)だったりします。そして、あくまで無自覚だから、直らない。こういうのが一番罪深い...残念ながら深く思考できないので、自分はちっとも悪くないと思っている。冷たく怖ーい、不機嫌な妻が、全部悪い。若い教え子と深い仲になったのも、妻のせい。甘えさせてくれよー、と心の声が聞こえます。世の中、多分こういう人、たくさんいますね。そんで最後は、あーあ自分は恐妻から逃げそびれた、でも、ま、しょうがないか。子供生まれるし。オレ、そういうの責任とる男だし、ふふん。そういう普通の人です。
そして世間の目。やっぱり軽薄です。映画は思い切りそれを風刺してます。
妻は小さい頃から、作家をしてる母親の「人形」としてよくできた娘、アメイジング・ガールとして生きることを世間からも押し付けられてきました。そんでもって本が売れなくなると、娘名義にしてた投信とかを返してねとか言っちゃう親。まあ元は親のオカネなので、娘である妻は断れない。でも、この夫は、所詮そういう辛さとか少しも理解できないのです。上っ面で楽しく生きているから。あまり難しいこと考えない。無くなる妻のオカネのことが真先に気になる。でも、妻がそうしたいなら、まいっか。ごく普通の人です。
悪意はない、でも。誰も彼女のことを、心から心配したり愛してる人、いない。
この妻は普通ではない。アメイジングな女性、という役割を背負わされ生きてきてるし、実際感性も鋭い。クールだし、格下夫の浅さもわかっている。夫は妻の持ってる美貌と名声と富に逆玉して美味しい思いをしてます。何より、アメイジングな女性ですから、それをゲットした男として何か格上昇みたいな勘違いも、してる?それさえ無自覚...なんせ深く考えないから。
ライターとしては二人とも鳴かず飛ばず、そして夫は自分の母親が病気になると、さっさとニューヨーク捨てて地元に帰る。妻に一言も相談せずに。決めちゃう。結局、稼ぐ道がないから、妻がなけなしの余った預金でバーを買い、夫とその義妹が店をやっています。恩着せがましくいったりもしない。そういう品格の無いことはしません。でもこの夫と妹、彼女に感謝の「か」の字も無い。それどころか陰でディスる。みんな、このアメイジングな彼女を、使えるだけ使い、利用しまくっています。
ある意味当然とも言えるのですが、遂には、人を信じない、モンスターのような「もう完全いっちゃったジョシ」の一丁上がり。
当然彼女は復讐も兼ねて死ぬことも考えましたが、きっと最後、アホらしくなりましたね。なんで私が死ななきゃいけない?あんなアホ達のために?って。私だって利用しまくって、人の心なんか踏みにじって、生き抜いてやる。あなた達とおんなじ。何が悪いの?そんな妻の心の声、私には聞こえました。
この妻が、源氏物語に登場する女達を知っていたら。いっそ出家したらよかったね、心の中で。夫からの精神的自立。親からも。でも、そのためには経済的自立も不可欠で。時代が変わったからといって、生まれや社会的地位、仕事、恋愛、結婚などに人は翻弄され、苦しさの極地に至りますね。それは女だけじゃなく、男も。依存する、何かに。
鈍い人はそういうことを感じず、あまり深く考えませんから、この映画の夫ですが、こういう人のほうが、ほんと怖い。テキトーに流されつつ、場当たり的にうまく逃げて自己保身は欠かさず、本音は出さず、嫌われない程度の自分を演じている。結果、世の中は不信と不感と無責任だらけに...怖い、怖い、怖い。でも現世そのものです。うーん、考えさせられました。
ロザムンド・パイク振り返った表情、目つきが、、
ロザムンド・パイクの演技、表情
演出、ストーリー、音楽、文句のつけどころのない。
「妻のことを考えるとき、いつも思い出すのは彼女の後頭部だ。かわいらしい頭蓋骨を砕き、脳を取り出して、答えを知りたいと考える。結婚における最も重要な疑問の答えだ。何を考えているのか?何を感じているのか?互いに対して何をしてきたか?」
この同じシーンが冒頭とラストに流れるのだが、最初と最後では全く意味合いが違って感じてしまう。
完璧なエイミー
今まで付き合ってきた男は自分が支配しないといられない性格のエイミー。親がシリーズものとして書いてきた"完璧なエイミー゛として地元でも人気がある知的な女性だった。中盤からは逃亡中のエイミーもほぼ同時に描かれていて、彼女の悪女ぶりを発揮。いろんな仕掛けによってニックが巧妙に妻殺害犯であるかのように導かれていくのだ!
偶然泊まっていた貸コテージの隣人によって金を取られ、仕方がないので高校時代に付き合っていた男の元へとかけこんだのだ。しかし、彼もストーカーのように扱われるほど変質者のような性格。一緒にテレビを見ていると、人気トーク番組でニックが謝っている姿に心が揺れ動いて、元カレは正当防衛に見せかけ惨殺して、夫の元へと命からがら逃げてきた妻を演じる。そして何もなかったのように平然と仮面夫婦のように暮らすラストが怖い・・・
独身でよかった(笑)
妻のエイミーに何があったのか、エイミーの視点とナレーションで描かれる中盤からが面白かったです! 僕もお金を貯めて消え去りたいと少しだけ思いました。 結婚してなくてよかったとも思いましたが、たとえ怖い女性を描いていても「悪いのは男」なんでしょうから、 腹立たしさもありましたが。
現実の女はもっと怖くて卑怯で残忍です
現実見てきた女性は、この映画より、もっと嘘つきで残酷で冷酷で周到で徹底していました。
それより軽いもの見せられても、個人的にどうかなと思うのです。
ちょっと先のこと考えない人が主人公というところが映画的ではありました。
いかにもフィンチャー監督の映画
デビット・フィンチャー監督作品は「ファイトクラブ」「セブン」を観ていて、今作が3本目です。
過去2作も「何か暗いものが残る終わり方」だったように、今作もまた、嫌なエンディングを迎えます。決してバッドエンドではないけど、ハッピーエンドとは到底言えない。非常に説明の難しいエンディングです。ネタバレになるので多くは語れません。
結婚記念日に忽然と失踪した妻(エイミー)を探す男(ニック)。警察に通報して捜査が始まると、失踪どころか殺人事件の可能性が出て来たり、ニックが殺人犯として疑われたり、マスコミに過剰な報道をされたりしてどんどんニックが追い詰められていきます。消えた妻はどこへ行ったのか。事件の真相は……?
というのが本作の『前半の』ストーリーです。実は映画の中盤くらいで事件の真相がほぼ明かされてしまいます。一本の映画を作れるだけのストーリーを前半に凝縮し、後半では真相を知った後のニックの行動、失踪していたエイミーは何をしていたのかというストーリーが進みます。後半が本作のメインと言えると私は感じました。
前半と後半で全く違う雰囲気のストーリーが進み、まるで2本の映画を合わせたような濃密なストーリーとなっています。
上映時間2時間半あるので、観る前は「長いなぁ」と感じていましたが、これだけボリュームのあるストーリーを盛り込んでるのであれば長いのも納得です。
結婚じゃなくても縛られるのって怖いですよね
結婚というしがらみの中での狂気を、無駄のないプロットで描いた作品。
結婚の悪い一面をたっぷり堪能できます。
サスペンスの様な緊張感の中で、コミカルと思える様な表現もあり、
この組み合わせが怖さをより一層引き立てていた。
結婚怖いよ…と、どんよりした気分になりますが、
独身者より、既婚者の方が見終わった後の恐怖は大きいのかも…。
長いけど観れます
エイミーの、潜伏中とその他の時の変貌ぶりが凄い。
あのままおばさんでいて、ストーカー男をうまく操れば良かったのに、殺してでもダンの元に戻りたくなっちゃったら実行するのがエイミー。
少し前までは自殺するつもりだったのにね、、
あのまま幸せ夫婦を演じて退屈なミズーリ州でウザい隣人と仲良しのフリして生活できるとは思えないけど。
弁護士の、彼女を怒らすなよ、って言葉が今後のダンの一生を暗示してるよね。
構成の妙
素晴らしい構成で圧巻の一言。
デヴィッドフィンチャー好きだなー。カット割りとか。
脚本も素晴らしい。エイミーの転がり方は予測不能。
しかもニックもエイミーも、表面上の行動以上に、
心象描写が効いていて話が奥深くなっている。
エイミー役ロザムンドパイクの演技も素晴らしい。
色んなシーンで見せる表情が別人に見える。
「アウトロー」ではシーンが少なかったので、
今回はガッツリ主演で良かった。
貶すとこ無いです。
強いて言えば、エイミーの殺人が不問なのは消化不良。
2時間半は短く感じる良作でした。
100点満点の映画だと自分は思う。
1ネタバレなし感想
最初に言っておくが、この映画は一般的な感性からいったら100点だ。文句のつけどころがないと思う。強いていうなら、子供は楽しめないだろうと思うから99点だ。
人を惹きつける作品というのは主に二つ要素があると個人的には考える。
一つ目は作品の中のリアリティだ。物語として整合性がとれていて、そしてその物語がドラマチックであればそれは面白い。しかし基本的にストーリーというのはドラマチックであればあるほど、リアリティがなくなっていく。
だから役者はより、リアルな演技を追求する。たとえ、SFやファンタジーなどその世界そのものに現実味がなくても、その中の人が感情的に整合性をとれて物語を紡いでいけば、その中のドラマは生の実感を持つ。
二つ目はオリジナリティである。所謂、王道と呼ばれるものは、簡単にドラマチックで感情的なシナリオを描くことができるが、その分ある程度作品に触れている受け取り側には先が読めていてつまらない。逆にそういう枠組みに当てはまらない物語を新たに生み出すのは大変難しい。
なぜなら作品の中の常識を一度捨て去り、もう一度作り上げなければいけないからだ。
この物語はその二つが完璧にブレンドされてると自信を持って言えるだろう。
愛を題材にしたドラマというのはこの世に溢れている。そして、大体の作品が教えていることは大体同じだ。「愛は歪んでいる」
たったひとつそれだけだ。色んなラブストーリーは全て簡略化すると、この一言で片付けることができる。
そう考えた時、この作品はリアリティをもったまま、もっとも歪んだ愛を描くことに成功した作品の一つといえるのではないか。
なので、ラブストーリーという見方だけでも充分満足いただける内容だと思う。
また、サスペンスとしての出来も最高だ。この物語は起承転結の転が何度もある。しかもそれによって物語が難解で理解しづらいということは全くなく。内容だけを理解するなら、中学生くらいからできるのではないだろう。
また普通の物語ならここで話を終わらせるだろうという落とし所をことごとく、無視し続け物語が進んでいく。
しかし、それで物語に、全く冗長を感じさせる場面はなく、全ての場面に意味がありぎっしり詰まっている。こんな濃厚な物語はなかなか描くのは難しいだろう。
そして、この映画を最も愛してやまないのはサスペンスに、ほぼ必ずあるであろう〇〇がないからだ。その答えは実際に見て確かめて欲しい。後悔はさせない。
面白い映画を見たいならこの映画を文句なしに、勧めたい。(しつこいが子供が見てもあまり面白くないかもしれない)
個人評価99点
夫婦とは何かを考えるマスターピースだ
強烈な映画だ
圧倒的な恐ろしい結婚の現実
21世紀の「バージニアウルフなんか怖くない」だ
異常性格のサイコスリラーという魚眼レンズで、結婚の現実を撮るとこのように見えるのだ
冒頭とラストシーンのエイミーの頭のシーン
同じ映像であっても、これ程も違って見えるのだ
冒頭では甘い愛情をもった眼差しだ
その美しい形の頭の中にあるものを見てみたい
恋愛中なら自然な感情だ
砂糖の粉が降る中のキスシーンはこれ以上無いロマンチックなものだ
互いの心の中に深く刻まれる思い出だ
その同じ映像と台詞が2時間半の本作を観終わった時、私達は背筋が凍るものに見え、聴こえるのだ
結婚前の甘い記憶も、結婚後の日常を積み重ねた先にある結末の到達点はここなのだ
エイミーの綴る日記はフェイクのようで真実だ
ニックの振る舞い、言動は我が身を振り返って針のむしろであった男性が大多数だろう
聖人のような男性は存在するのだろうか?
しかし、それは鏡のように反射し我が身につきささり、結局は距離が生まれついには浮気に至る
そして妻の反撃がある
作用反作用の法則のように必然的だ
それでも大抵の夫婦は円満に老後を迎える
何が違うのだろうか
結婚前の甘いロマンチックな思い出と感情は真実のものだ
だけど日常の現実も真実なのだ
背伸びする日常、こうあるべきの日常なんて無理な話だ
お互いに楽な関係、ダメな自分をさらけ出せる関係でなければ、支配し支配される闘争になる他無い
そのことを理解しあえる夫婦であるだろうか?
そのような思いがぐるぐるといつまでも胸中で渦巻く
もちろん、それもまた男女それぞれ別の感慨をもって本作を観終わるのだろう
熟年離婚が多いとは、エイミーとニックが無数にいるという証左だ
いや本作のニックとエイミーのように離婚しなくて添い遂げるようになっている夫婦が多いのかも知れない
本作の魚眼レンズを取り去った時の現実の世の中だ
虚無的な感慨が残された
未婚者には夢も希望もない話だ
記者会見に望むニックの話し方の特訓は男性陣には大いに参考になるだろう
このように女性に通じる話し方をしているだろうか
頭の中に中で、自分にグミを投げるようにしていきたいものだ
監督の手腕は大変に優れており安定している
女性刑事の演出は見事だ
かってのベテラン男性刑事がタバコを咥えながら捜査したように彼女はスターバックスのコーヒーを常に持ちながら捜査する
音楽がまた秀逸だ
現代音楽のような不気味な電子音が違和感を常に観客に訴える
映像もまた彩度がわざと落とされている
監督の持ち味といえばそれまでだが、この彩度が本作の雰囲気を見事に支配している
夫婦とは何かを考えるマスターピースだろう
まさに同じテーマの60年代の傑作映画「バージニアウルフなんか怖くない」の再来だ
【今作は、家庭を持ちながらも”すねに傷ある男”が観ると、精神的に効いてくるホラー映画でもある・・。怖いですねえ。実に怖い・・。】
ー ロザムンド・パイク演じるエイミーの美しくも恐ろしい姿、及び行動に戦慄した作品。-
・夫ニックを演じたベン・アフレックのおたおたし、どんどん精神的に追い込まれていく姿も他人事ではない・・・。
・妻を持つ”すねに傷ある男”にとっては、怖い、怖い作品である・・。
・デヴィッド・フィンチャー監督の辣腕、炸裂である。(特に後半・・。)
・予想を超える、妻が夫を追い込んでいく姿に戦慄が走る。
- 個人的には、この辺りで”もう、赦してあげて、エイミー!”と手汗を掻きながら思ってしまったよ。-
<今作は、ロザムンド・パイクの傑出した演技を含めて、傑作であると思います。
愛すべきご家庭を持ちながら、後ろめたい事をやっている貴方!、貴方は観るべきです・・。
私も当時・・(以下、自粛)>
<2014年12月13日 劇場にて鑑賞>
結婚生活の末に
サイコパスの計画犯罪との防衛戦を繰り広げ、不測の事態にも対応できた方が勝利するというストーリー展開。しかし、予想外の結末からはどっちが勝つか負けるかという単純な話ではないということに気づきます。なかなか見ごたえのある映画でした。
ストーリーだけでなく、登場人物の存在感のバランスや映画全体の暗い雰囲気などがよく考えられており、完成度の高い作品だと感じました。
マイケル・ダグラスとグレン・クローズ共演でもう一度観て見たいね。も...
マイケル・ダグラスとグレン・クローズ共演でもう一度観て見たいね。もっと怖くなるぞ^^。
鑑賞日:2014.12.31
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