仲倉監督自身も車椅子生活をしているからなのでしょうか、病院でのリハビリの様子や、車椅子生活の細かい部分に関しては、とてもリアリティがあって何かと考えさせられることの多い作品でした。
これは自身が体験していないとなかなかこうは描くことができなかったことでしょう。
リハビリは厳しい、退院してからも厳しい道のりが待っている、しかし一人で十分生きていける社会であることも示されている辺りは、説得力もあって希望が持てる作品に仕上がっていましたね。
ただ車椅子生活のリアリティ描写とは裏腹に、物語の方はいつの時代に考え付いたものなんだろうと、ちょっと疑問に思ってしまうような古臭さもあって、もう一つ入り込めなかったです。
まるで2○時間テレビ内のSPドラマを見ているようで、何かちょっとむず痒くて・・・。
特に秋元才加が演じた主人公・彩夏と病院内で知り合ったNAOTO演じる同じ車椅子生活者の翔太との恋愛描写に関しては、いくらなんでも酷すぎた。
終盤の唐突なラブシーンには、呆れて物も言えませんでしたよ(苦笑)
教材としても十分使えそうな題材の映画だっただけに、勿体無かったですね。
彩夏が半身不随になった経緯や、不倫していた話とかも、もう少し何とかして欲しかったような。
ある意味リアルと言えばリアルな設定なんですけどね、でもこれだと映画的に感情移入し難いので・・・。
とは言え、自暴自棄になった彼女が運命を受け入れて前へ進もうとするストーリー展開は、ベタながらリハビリ描写の秀逸さや周りの支えが上手く描かれていたこともあってか、何だかんだで心揺さぶられるものはありましたけどね。
まあどんなに健康な人でも、病気や事故でいつ車椅子生活を送ることになるか分からないのが現実なんだ、そしてそれでも生きていかなければいけないんだ、そんなこともふと思わされた映画でした。
主演の秋元才加は、難しい役どころを見事にこなしていたと思いましたよ。
気の強そうな顔立ちが、役柄にピッタリだったのも功を奏しましたね、鍛え抜かれた肉体も見事に生かした印象です。
翔太役のNAOTOは演技が少し硬かったかも?まあ本業ではないので仕方ないですが、EXILE系の方は何故皆ヤンキー臭漂う役ばかりなのか。
彩夏と同室の妹分・千尋役の吉岡里帆は単純に可愛かったなぁ、ブレーク前の吉岡里帆を見たい方には必見の映画でしょう。