THE DEPTHS
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2024年7月25日濱口竜介監督の自主製作『何食わぬ顔』は映画を作る青年たちの話で、『親密さ』と『ドライブ・マイ・カー』は演劇を作る人の話で、この『The Depth』はカメラマンとモデルの話だ。『親密さ』や『ドライブ・マイ・カー』は映画や舞台を通して、人と世界を見つめる人の話だが、そうした作品群とも共通点のある作品だと思う。韓国から友人の結婚式を撮影しにきたカメラマンが、男娼の青年を見出し、撮影してゆく。モデルとカメラマンの関係はいつしかそれを超えていく。
石田法嗣演じる男娼の青年は、カメラで撮られることでその魅力を高めていく。カメラは現実を切り取る機械だが、一人の人間に向けた時、その人物に関わっている。カメラはただ現実を切り取るだけでなく、ある意味で介入している。
ラストカットが本当に素晴らしい。同じ方向を向いていたはずだけど、決定的にズレていく人間関係というものがあるが、そういうものが象徴的に映されていた。『ドライブ・マイ・カー』にもこれと似たようなシーンがあった。これの引用だったのだろうか。
もちろんところどころ手堅いし巧みに組み立てられてますよね。でもつまりはいくらでもある韓国クライムの新たな1本というだけです。「こんな脚本・こんな性格の人物は好きだろおまいら」みたいな韓国映画の悪しき戦略性をもろにかぶったつくりで、濱口流の演技介入も、カメラの設計も、この段階ではとくに明確には見えていません。
『永遠に君を愛す』と双璧をなす濱口竜介の黒歴史という感じの作品というほかなくて、こんなのを濱口映画というだけで変に深読みしてちゃだめです。
しっかし藝大の教授が全員エンドクレジットに出てんだけど、それでこのレベルになっちゃどうしようもないですね。
濱口竜介監督の「初期」の作品の一つ。韓国との合作で、俳優陣も作品内で使われる言語も日、韓、言葉は英語も。一種のノワール。
面白かった。緊張感がずっと続いて、綱渡りの綱からおろして貰えないような感じ。
キム・ミンジュン、カメラマンの仕事も家庭も大成功、しかも友達思いのいい人、を十分説得力をもって体現していた。けど石田演ずるリュウに惹かれるのだけがよくわからず(後述)。村上淳、怒鳴るとか暴れるとかほぼないのに、地獄のように怖い。そして哀しみがある。素晴らしいですね。米村亮太朗はちょっと情けないけどそれなりに根性のある悪いやつで、これも最高。リュウとの愛憎もなんとなく想像できる。
ということで、脚本、演技陣、韓国っぽさがありながらやり過ぎにならない演出、みな良い。しかししかし、この映画を成り立たせる最重要要素がどうにも不安定なのである。この映画が描くのは、リュウ(若い男娼)のもつ渦に引き込まれたり振り回されたりする人々の人間模様である。つまり、関わらないほうが良い相手と分かっていても取り込まれてしまうほどの圧倒的な魅力がリュウにはある、と観客が思えるかどうかにこの映画の命運はかかっているのだが、石田法嗣の演じるリュウは残念ながらそうは見えない。被写体としてペファン(キム・ミンジュン)の作品に出てきても、やはりそうは見えない。
その結果観客は、ペファンやその友人の行動に今一つ納得がいかないまま置いてきぼりにされる。もどかしい感じがのこる。ベタな例しか出てこないけど、『ヴェニスに死す』におけるビヨルン・アンデルセンのようなキャスティングができていたら。