ザ・イースト 劇場公開日 2014年1月31日
解説 脚本も手がけた主演作「アナザー プラネット」(2011)がサンダンス映画祭で賞賛された女優ブリット・マーリングが、製作・脚本・主演の3役を兼ねたスパイスリラー。環境汚染や健康被害をもたらす企業を標的に過激な報復活動を重ねる環境テロリスト集団「イースト」からクライアント企業を守るため、正体を偽ってイーストへ潜入した元FBI捜査官のサラ。当初は彼らのやり方に反発を覚えるが、次第にその理念に正当性を感じるようになり、カリスマ性をもつリーダーのベンジーにも心ひかれていく。やがてイースト過去最大のテロ計画が実行されることになり、サラは当初の目的と自らの本心との間で揺れ動くが……。共演に「トゥルーブラッド」のアレクサンダー・スカルスガルド、「JUNO」のエレン・ペイジほか。監督は、カルト教団に潜入するカップルを描いたスリラー「Sound of My Voice」(11・日本未公開)でもマーリングとタッグを組んだ新鋭ザル・バトマングリ。
2013年製作/116分/G/アメリカ 原題:The East 配給:20世紀フォックス映画
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2020年11月20日
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決して派手ではないですが、なかなか面白い作品でした。 シーシェパードのような自己本位な環境テロリストには嫌悪感しかありませんが、この作品に登場する“The East”という組織(やり方こそ犯罪ですが)主義主張は間違っていないだけに、サラが共感してしまうのもわからないでもないですよね。 勿論、仕事であり自分の立場を弁えていない事についてはどうかとも思いますが、やっぱりこれが潜入捜査の難しさなんでしょうし、自分の勤務する会社の拝金主義や企業のやり口の汚なさ、更には企業の利益を守るために政府機関まで動いている現実を目の当たりにしてしまうと仕方なく思えてしまいますね。 そしてベンジーと袂を分かち、自分と同じ潜入捜査官を仲間に引き入れ、企業の悪事を公表していくという暴力に頼らないやり方も良かったと思います。 企業の利益を守るために政府が動いたり、このような民間の情報組織が存在していたりと、驚かされると同時にいろいろ考えさせられた作品でもありました。
2020年10月23日
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鑑賞方法:映画館
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ザル・バトマングリ監督、ブリット・マーリング主演の映画。 どちらも聞いたことが無い名前だけど、何と主演のブリット・マーリングは脚本にも参加している。そして20代かと思ったら31歳とのこと・・まさに才女。演技も素晴らしかったし、この映画でしっかり名前も覚えた。役者としてだけでなく、作り手としてもこれからが楽しみな女性です。 さて、この映画は、アメリカの民間情報(諜報)機関に転職した主人公サラが、環境テロ団体「イースト」へ潜入捜査に入るところからストーリーが始まる。 面白いのがこの民間情報機関。なんと実在のモデルがある。 「ストラトフォー(STRATFOR:Strategic Forecastingの略)」と呼ばれる組織。 アメリカのCIAは政府の諜報機関として有名だが、国営だけでなく民間の諜報機関まであるのが驚きだ。戦争の民営化は現実に進んでいて、国を後ろ盾とした軍だけでなく、民間会社の傭兵が様々な戦地へ赴き商売を行っていることを、知ってる人は知ってる。しかし、まさか諜報機関まで民営化されていたとは。。 政府の諜報機関は当然国のために情報を集めるわけだが、民間の諜報機関は企業のために情報を集める。ある特定企業に害を及ぼそうとしている個人/組織がいれば、被害を受けそうな企業がクライアントとなり、その被害を事前に防ぐことが諜報機関の目的となる。 この映画の中で、主人公サラは様々な葛藤に苦しむ。 公害を出しても公表せずに何事も無かったのように利益をあげる企業、手段は間違っていたとしても目的は正しい環境テロ組織、そして、諜報機関の潜入員としての自分の責務。 葛藤に苦しんだ結果サラが下した結論は正しいと思う。 環境テロはどんなに目的が正しくても起こすべきではないと私は思うので。 しかし、この背景を理解した上で映画を観ると、サラの心の変遷を描く縦軸のストーリーが重要なのではなく、そもそも「民間の諜報期間」など成立するのか?という構造的な問題を考えてほしい、という制作者の意図が感じ取れる。 (こういった社会的な問題を真正面から描けるところが、アメリカ映画の底の厚さを感じさせるな。。) 政府の諜報機関なら理解できる。色々と各国の諜報機関に問題はあるとは思うが、あくまでその組織は「国」のために存在する。その行動は国民のため(であるべき)だし、「正義」という建前も立てやすい。しかし、民間の組織だと、会社である以上は「利益」を上げることを目的とせざるをえない。 映画の中でも、サラの上司は、被害を受ける人達よりも会社の利益を優先すべき、という言葉を発する。 倫理的に正しいかではなく儲かるかどうか。民間の会社であれば当然と言える理屈。企業が腐る一番の理由でもある。 しかし、それでいいのだろうか? サラの悩みの根本はそこにあるように思える。 (サラの前職が政府機関のFBIという設定もその伏線だろう。) 諜報活動というのは要するに「スパイ活動」だ。しかも、「予防」という性質上、どうしても「先制的」にならざるをえない。何か問題を起こすという「可能性」があるだけで相手を攻撃できる。そんな重要な役割を、「利益」を目的とした民間企業が担えるのだろうか? この映画のラストでサラが出した答えは、その解答のような気がする。 だからこそ、私は共感する。
2016年9月24日
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鑑賞方法:DVD/BD
ある意味テロを肯定したストーリーの様に思うが 実際には大企業が=悪とは限らないのでは無いかなと。 それでも正義を誰かが行わねばと言う熱い思いを持っている人達がいる事は救いなのかもしれないなと。
2016年8月6日
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鑑賞方法:DVD/BD
環境破壊をもたらす企業を標的にするテロ集団“ザ・イースト”へ潜入捜査した元FBI捜査官のジェーン。 やがて彼らの理念に共感していく…と聞くと肯定しているようにも思えるが、 例えば、現実社会のニュースでこういう集団の存在を知ったら社会悪と決め付けてしまう。 彼らの理念は分かる。 が、その行動は決して許されない。 犠牲を受けた企業には同情する。 が、その行いには憤りを感じる。 これは正義か、テロか、偽善か、社会悪か。 単純に割り切れない善悪の疑問を、葛藤しながら行動するヒロインの姿にダブらせていた。 タイトルだけ聞くとB級ホラーっぽいが、 社会派テーマとスリリングな潜入サスペンス、若者たちのドラマ、エンタメとしても見応えあり。
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