「ふりおとされない様に食らいついていったのに...」渇き。 みすたーピンクさんの映画レビュー(感想・評価)
ふりおとされない様に食らいついていったのに...
難しい原作を中島監督がどう料理するのか楽しみにして鑑賞しました。
「告白」の時と同様に、暗部をポップに表現することでとらえどころのない不安感・恐怖心を更に強めたり、陰と陽の対比でバランスを上手にとられているなと感じました。
オープニングのやんちゃっぷりにこれはやられたと期待感増幅し、スピーディに進んでいく展開や熱っけ100%の役所広司のセリフに前半はスクリーンにただただ釘付け。この後どう進んでいくんだ!?と胸がおどり、おいてけぼりを喰らわないように必死でした。
そして後半・・・。
あれ??なんかずっと同じ調子だし、人物描写が薄すぎて全然キャラクターがいきいきしていない。
どんどんただの勢い映画になってきてないかい??
肝心の娘もいざ確信に迫りだすとミステリアスさは影を潜め、なんとなくありがちな感じへ。
そして果てしなく長いラスト。
あんなにテンポ良かった映画をこんなに長いと感じるとは思わなかった。ラストに込めた監督の思いが、逆に一本の作品から抜け出てしまったんじゃないかなと思ってしまった。
全員どこかネジがとんでるような人物ですが、だからこそもう少し丁寧に描いて欲しかった。なんでもかんでも狂ってるで片付けるのはいかがなものかと。
役所広司のおかげで主役は狂気と悲しみの共存がみてとれたが、あとの人物はうすっぺらく見えた。
逆に娘はもっともっとしまいこんでおくようにしてほしかった。答えがあるように描くのは難しかったのでは。
妻夫木聡、オダギリジョーを活かし切れてないしキャラクターを立たせるだけではもったいない作品な気がしました。
エンタメ性と物語性のどっちつかずで中途半端になってしまっていたのが残念です。
原作と違うのなら、いっそのこと中島監督的な解釈で大胆にアレンジして欲しかったかな。
個人的にグロテスクなどには抵抗ないしそういう表現があってもいいとは思うのですが、この作品には過剰な表現と意味のない残虐さが多すぎた気がします(エンターテイメントのやりすぎ)
ちなみに、学生キャンペーンをする必要はまったくないと思います。見るのは自由ですが、わざわざ推す意味がよくわからん!!よっぽど映画好きだったりする人にはいいかもしれないが。
とまぁ、辛口になってしまいましたが中島監督の色は存分にでていたし、スクリーンには釘づけだったので星は3つです。