アメリカン・ハッスルのレビュー・感想・評価
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脚本が、良かったです。
この作品は、それぞれの登場人物達の絡み合いを1970年代のファッションと歌で、鮮やかに表現していた作品でした。何と言っても、この作品は脚本が、良かったです。なぜなら、テンポよく、鮮やかにストーリーを進めていたこの作品は、見ているこちらを引き込ませてくれたからです。そして、最後の最後まで、見ているこちらを騙させてくれました。この作品なら、アカデミー脚本賞を受賞してくれると私は、思います。役者さんたちの演技も、良く、カメオ出演していたロバートデニーロさんが、貫禄をそなえていて、少ししか、出ていないけど強烈な印象を与えてくれました。
まあでも人間てよくわからんよね、って
「人は自分すらも騙せる」と劇中でも語っているように、この映画に出てくる登場人物は全員他人にウソをつくと同時に自分をも騙している。そもそもはじまりからして、主人公が鏡を見ながらカツラをつけるシーン。
カツラは「ハゲた自分」を糊塗して見栄を張るためにつけるものだけれど、誰に対して見栄をはるか、ウソをつく最大の相手は誰かといえば、自分自身だ。そして、そのウソを自覚しながらつけなければいけない。カツラと鏡はそういうとりあわせだ。自覚しているからこそ、ブラッドリーにカツラを飛ばされるとキレる。なぜなら、主人公には生の自分と向き合う度胸がない。
彼は眼をそらしつづける。自分の犯罪から、自分の家庭から、自分のほんとうの気持ちから。逃げ続ける。
ブラッドリー・クーパー演じるFBI捜査官も逃げている。彼の異様なまでの出世欲は、せぜこましい実家のしがらみから逃げたいその一心に由来する。数畳一間の小さいお家に三世代同居するサラリーマン、そんなしょぼい小市民が自分の末路なのだろうか? もっといい生活、いい女がいるはずではないのか?
米国人なのに英国なまりで喋るエイミー・アダムスあるもそうだ。ふたりの男を同時に愛していて、それがゆえにどちらを愛しているのか自分でもわからない。だから、どちらも傷つけてしまう。
主人公の奥さんのジェニファー・ローレンス。一見バカまるだしのセレブ妻タイプ(実際に電子レンジにアルミホイルぶちこんでぶっ壊したりする)だが、実は自分がどういう立場にあるのかよく自覚している。
映画全体を通したどうにもつかみづらい、悪く言えば胡乱な印象は、そんな彼らの複雑な心理模様から生じる。他のミステリー映画や詐欺師映画なら、ラストで物語の謎から人物関係からすべてを快刀乱麻に断ち切ってくれるけれど、本作にそんなものはない。
見た目「それ」っぽいことは起こる。だが、「それ」は物語全体を解くためではなくて、主人公を救うために用意された、あまりにささやかなイベントだ。同時に最重要なイベントでもある。
嘘つきだらけの主人公の周囲で、たったひとり無垢で正直だった人物。主人公が唯一ウソを貫き通せなかった人物。その人物に対して償うことで、主人公は自分を含めた全員の嘘を償おうとしたんではないかな。
演技と役作りがすごい
アカデミー賞に10部門がノミネート、という言葉に惹かれ、さらに初日1000円という値段にも惹かれ鑑賞。うっとうしさに堪える会話の面白さ!髪を抜き20キロ?太ったりするなんて、すごい役作りにも関心。ストーリーの上手い進み方。最後のスッキリ感もよかったー
ウソと言うお洒落にまみれて
ただ一言。映画と言う、娯楽と言う大いなる虚構の為に見た目の全てを投げ打てるクリスチャン・ベールの存在にこそ敬意を払いたくなった。
嘘の為に死ぬ気で努力する。
その姿にリアルが宿ってしまうのだから、嘘なんてものはホンマは存在しないのかもね。
クリスチャン・ベールは相変わらず……
「アブスキャム事件」という実際にあった出来事を基にした作品。
FBIが天才詐欺師に協力を強いてオトリ捜査を始めるが、すったもんだあってえらいことになっていく話。
おもしろくなかったわけじゃないけどかなり長く感じた。
展開がこじれまくるので、集中して観ていなきゃいけないし、結構体力必要。
僕はかなり疲れました。まぁ合わなかっただけかもしれない。
『ダークナイト』のクリスチャン・ベール演じる詐欺師のアーヴィンのキャラクターが素晴らしい。詐欺師なのに妙に人間臭いわ苦労人だわで、鑑賞中は彼の幸せを願わずにはいられなかった。この映画の苦味ある余韻は、アーヴィンがいるからこそ。そんなわけでけっこう感情移入しちゃって妻のロザリン(=ジェニファー・ローレンス)が出てくる度に本気でイライラしてしまった。
クリスチャン・ベールといえば役作りの話(激痩せしたり直後に筋肉つけまくったり)が有名だけれど、今回もたいがい頭おかしい(褒め言葉)。これ太るだけじゃなくて髪の毛の大部分抜いてますよね?
情報仕入れずに観に行ったので彼だとは気付いたときはかなり驚いた。クリスチャン・ベールのためだけにでも観ていいレベル。
大ハズレ。文句なしの駄作。
アカデミー賞に10部門ノミネート、ということで、それなりに期待して、上映に臨みました。しかし、上映開始後30分くらいして、嫌な予感が・・・。これ、もしかして、もの凄く、つまらないんじゃないのか・・・。予感は的中しました。笑わそうとしている演出が悉く空振り。全く、笑えません。薄っぺらい脚本に、緊張感を欠いた演出、全く、魅力のない役者たち。アメリカ人には受けるのかもしれませんが、私は全く駄目でした。使われている1970年代の音楽も疑問符だらけでした。エルトン・ジョンの「グッバイ・イエロー・ブリックロード」が流れましたが、そのときの画面と完全にミスマッチになっていました。ウィングスの「007死ぬのは奴らだ」の音楽に合わせて女優(名前は知りません)が暴れる
場面では、観客をなめているのか、と怒りがこみ上げてきました。
先に投稿されているレビューを見てみると、一様に絶賛の内容であったので、ひとつくらいこのようなレビューがあってもいいのではないのか、と思い、投稿しました。本当は☆ゼロにしたいのですが、そうもいかず、☆半分にした次第です。
この映画を観終わったときのつまらなさは、ジョン・トラボルタが主演を務めた「ゲット・ショ-ティ」(監督の名前は忘れました)を観たときのつまらなさに似ています。とにかく、緩いのです。徹頭徹尾、緩みまくっているのです。
映画を観て、久し振りに腹が立ちました。
断言してもいいですが、この映画、日本では興行的に大惨敗を喫するでしょう。
尚,この映画では詐欺師のことを、con man(confidence man の略だそうです)と云っていました。詐欺師というと、deceiver か、swindler くらいしか知らなかったので、いい勉強になりました。
存在感あふれるキャラクターたち
70年代ポップスの絶妙な選曲や、キャスト自身の個性を役柄と見事にシンクロさせたラッセル監督。
一体誰が誰を騙しているのか、そう考えていると、随所に散りばめられたユーモアに気をゆるまされて翻弄される。
主人公の妻でもあり躁鬱病のロザリン役を演じるジェニファー・ローレンスが特に愛らしくて、もっと彼女の活躍が観たかったのが心残り。
個性が際立つ!
のっけから、クリスチャン・ベイルの変身ぶりに、びっくりしました(≧∇≦)
登場人物が、それぞれに、情けない姿をさらけだしたりするんだけど、なんだか皆、かっこよく見えた!見終わった後は爽快感でした。
詐欺師の妻、なんだか天晴れ♪
もう一度見て、かみしめたい!
これぞアンサンブル映画の醍醐味
冒頭、クリスチャン・ベールのでっぷり肉の付いた腹からバーコードハゲ頭にカメラが移り、鏡でチェックしながらカツラをペタペタとノリ付けして丁寧に頭上に乗せていく一連の動作。それにまあまあ結構な尺を使ってくるから、ただじっと観せられてる我々は「何をそんなじっくり見せとんねん」という無言のツッコミw
しかし、それが「これから何やら珍妙な騒動が起こるぞ!?」という暗示というか予感というか、期待感というか。不安というかwを煽る訳で、まあ実際にそうでしたね。
デ・ニーロ・アプローチを地で行くチャンベーの独壇場になるのか!?と思いきやさにあらず、登場するキャラクター登場するキャラクターがまあ濃いのなんの!
エイミー・アダムスのスケベったらしい悪女振り!
ブラッドリー・クーパーの勘違いFBIクソ野郎感!
ジェレミー・レナーのごうかい愛されおじさん振り!
ジェニファー・ローレンスのおしゃべりヘリクツビッチ感!
ロバート・デ・ニーロの其処に居るだけでデ・ニーロ!
登場する主だったキャラクター全員が座長というか、全員の独壇場というかね、いやもう本当伸び伸び演じてますよね。
それもやっぱ足場がしっかりしてないと成立しない訳で。
伏線配置というか、フラグの立たせ方が非常に巧みで絶妙。決して目立たせず、どれもさりげない。さりげないけれど、どれもしっかり機能して、だから痛快にハジケる。完璧に整った舞台があるからこそ、俳優達がはっちゃけられるというか。
いやあ新生ラッセル劇場!堪能いたしました!
ハリウッドに騙された!
試写会にて。
デヴィッド・O・ラッセル作品はどれも好みだけど、これは格別!
サスペンスかと思いきや、愛も笑も全部詰まった遊園地みたいな作品。
過去作もそうだけど、絶妙な音楽と笑いを誘う会話劇にますます磨きがかかってる。
ラストの爽快感は最高の酒のツマミになりました!
いやー、ほんと良かった!
もう1回みたいなぁ。初日¥1000らしいし劇場行こうかな?
いや、行く!!!
これぞエンターテイメント映画のおもしろさ!!
FBIと天才詐欺師のだまし、だまされの心理戦かと思いきや・・
エンターテイメント作品としてもおもしろさがすべて
つまっている、大興奮の映画でした!
とにかく登場人物みんながとても愛らしい。
クリスチャン・ベイル演じる詐欺師は、
1:9分けでおなかもポッコリ。
エイミー・アダムス演じる女性と恋に落ちてからが、
特に愛らしく、時折見せる表情が最高にダンディ!
ほかエイミーアダムス、ジェニファーローレンス女優陣たちの大胆な演技も見どころ。
互いの感情を激しくぶつけあうシーン、
その感情が歌とリンクしていくシーンなどは、
高揚感たっぷり。
単なるBGMにとどまらず、
物語と映画が一体化していく流れで、その興奮は最高潮に!!
これぞ最強のエンタメですね。
とにかく面白い!
監督であり、脚本にもかかわっている“デビット・O・ラッセル”に感服しました。
個人的に気に入ったところを羅列します!
1.キャストの豪華さ
この旬なメンバーはなかなか集結出来ないです。凄いね。
2.キャストの変貌ぶり
特にクリスチャン・ベール!(最初誰だか分からなかった・・・ここでも騙されたよ〜笑)、ブラッドリー・クーパーのパンチパーマ(笑えます)
3.最後まで結末が読めないストーリー展開
4.エイミー・アダムスとジェニファー・ローレンスのセクシーで小悪魔的な演技・衣装
5.ロバート・デ=ニーロがなんとかなり重要な役所で出演
とにかく、もう一度観たくなる素晴らしい出来栄えでした。
ゴールデングローブ賞3部門受賞やアカデミー賞最多10部門ノミネートも納得です。
芸達者な役者ばかりで笑いがいっぱい
こんなに楽しい映画を久し振りに見た。愉快で楽しくて、痛快で心が躍る。
この映画を監督したデビッド ラッセルの前作「世界にひとつのプレイブック」では、ブラッドレイ クーパーとジェニファー ロレンスが不思議な恋人同士を演じたが、ジェニファー ロレンスがアカデミー主演女優賞を受賞した。また 同じ監督の「ザ ファイター」では、クリスチャン ベールと、エイミー アダムスが主演して、クリスチャン ベールがアカデミー助演男優賞を受賞した。今回、この映画で、クリスチャン ベール、エイミー アダムス、ブラッドレイ クーパー、ジェニファー ロレンスの主演俳優の4人が4人ともアカデミー賞ににノミネートされている。4人というか、ジェレミー レナーも含めて主演の5人がみんなとても芸達者で、生き生きしていて素晴らしい。それぞれの役者の味を心得ている監督なのだろう。
ストーリーはアブスキャム事件という、1979年に起きた大掛かりな収賄事件を扱ったもの。ニュージャージーで知事が人気取りのために大型娯楽施設やカジノの建設を計画し、業者からわいろを受け取った。上院議員と5人の下院議員がFBIのおとり捜査によって逮捕されて有罪となった。このおとり捜査には、男女のプロ詐欺師がFBIに協力した。バックには、イタリアマフィアの資金が関わっているから、おとり捜査も決死の覚悟がいる。実際にあった、この事件をミステリー風に怖いストーリーにすることも、ドキュメンタリータッチでまとめることもできたが、デビッド ラッセル監督は、5人の芸達者な役者を使って、洒落とユーモアで、面白おかしく上手に仕上げた。
プロの詐欺師カップルには、クリスチャン ベールとエイミー アダムス。彼らの弱みを握ったFBIのブラッドレイ クーパーが、二人の詐欺師に刑事罰を科さない代わりにおとり捜査に協力させる。FBIと詐欺師にまんまと引っかかるのが 市長のジェレミー クーパーという役回りだ。
同じような筋書で「ステイング」(1973年)という映画があった。「明日に向かって撃て」のポール ニューマンとロバート レッドフォードの二人が一番輝いていた時期の映画。二人ともうっとりするほどの男前だった。シーンが変わるごとに、つっかえとっかえ新しい三つ揃いのスーツをビシッと着て 洒落た帽子姿でハンサムなふたりが現れるたびに 深い深いため息が出た。とてもお洒落な映画で、ふたりとも格好が良すぎた。この映画を意識してか、意識しないでか、今回の「アメリカンハッスル」では 詐欺師のクリスチャン ベールが全然恰好が良くない。衝撃的な姿で出てくる。「バットマン」でも「ターミネイター」でも主役で男の中の男が、どうしてどうしてハゲでデブになって出てくるの。心臓が止まるかと思った。
かねてからクリスチャンべールの役者造りへの執念、というか役へののめり込み方は、普通ではない。「マシ二スト」(2004年)で 役のために30キロ痩せて、183センチ、54キロの体重になった。その半年後には、「バットマン ビギンズ」を演じるために体重を86キロまで戻し、また「ザ ファイター」では13キロやせてボクサーになった。役のために髪を抜いたり、歯を抜いたり、もう残酷物語か、我慢大会みたいだ。そのクリスチャン ベールが、この映画でハゲでデブな上、うさんくさい中年のおっさん詐欺師をやっている。彼はこの映画を主演するにあたって、当時の本当の詐欺師、メル ワインバーグ、89歳のところに行って、3日3晩 一緒に過ごしたそうだ。映画の中で、彼がエイミー アダムスとデューク エリントンのLPに二人してうっとり聞き惚れて涙ぐむシーンは、笑える。しかし、このおっさんが只者ではない。頭の切れるエイミー アダムスとコンビを組んで次々に詐欺を働き、女性フェロモンぷんぷんんのジェニファー ロレンスを妻に持ち二人の女を巧に操作している。エイミー アダムスに愛想を尽かされても大丈夫、しっかり心までつかんでいるから必ず彼女は帰ってくる。
エイミーアダムスとジェニファー ロレンスの愛人と妻との女トイレでの大喧嘩がすごい迫力だった。うーん。全くジェニファー ロレンスには負けます。こんな良い女には、誰にも勝てない。しかし女達の決死の争いに思わず笑い出してしまう。この明るさは、一体何だ。
FBIのやり手捜査官、ブラッドレイ クーパーがシーンが変わるごとに素敵なスーツ姿で現れる。スタイリッシュで頭が良くてカーリーヘアが愛らしくて、颯爽としている。そのエリート捜査官が、意外や意外にも 本当はメキシコ人で、貧困家庭に育っているという設定もひねりがあって面白い。彼が自宅のアパートに帰れば、所せましとスペイン語しかわからない母親や婚約者や、兄や姉の子供たちが一緒に暮らしていて所構わず走り回っていて混沌世界だ。妻の尻に敷かれているクリスチャン ベールに愛想をつかせて、FBI捜査官に乗り換えようとしたエイミー アダムスが、ラブシーンで、相手に自分の本当の姿を知ってもらいたくなって、「本当のことを言うと私メキシコ人なの」、と告白したとたんに、ブラッドレイ クーパーが度しらけて、「その英国人アクセントは何なんだよ。何だってイギリス人じゃないのか。」とぶっちぎれて女に怒りをぶちまけるシーンも大笑いだ。
ニュージャージーの知事に、「ハート ロッカー」のジェレミー レナーが出てきて、悪者のはずが、結構たたき上げの苦労人で 人の良い5人の子供のお父さんで、よくわきまえた妻をもった情に厚い男だった姿も笑える。最後に自分がおとりになって知事をだましたくせに、泣いて謝るクリスチャン ベールの格好の悪さ。まったく、だましたほうも、だまされた方も泣きながら情けタラタラな姿の大笑いだ。
カメオ出演で、ロバート デ ニーロまで出てくる。イタリアマフィアの親分だ。70歳、映画界には「デ ニーロ アプローチ」という言葉がある。「レイジングブル―」(1980年)でボクサーを演じるために体重を20キロ増やし、「アンタッチャブル」(1987年)で髪を抜き、「ゴッドファーザー」(1974年)でシチリアに住み着き、「タクシードライバー」(1976年)のためにニューヨークで本当のタクシードライバーをやった。徹底した役者造りをする人で、クリスチャン ベールの役作りのモデルにもなっている。貫録のデ ニーロが出てくるだけで、この映画がよく調味料の効いた仕上がりになっている。
この映画、もう とにかく5人が5人とも格好が悪くて笑えて笑えて仕方がない。楽しくてとっても愉快。10部門でアカデミーにノミネートされているというが、納得できる。ハリウッド映画の良さを堪能させてくれる。見て、損はない。
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