そこのみにて光輝くのレビュー・感想・評価
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【生きること/汗ばんだ肌感】
函館三部作とされる作品の2番目が、この「そこのみにて光り輝く」だ。
「海炭市叙景」で感じたのが、温もりを求めながらも、どこか冷たい肌感だったとすれば、この作品で感じられる肌感は、汗ばんだ感触だ。
映画は原作の1章と2章を併せて改編し、ところどころ異なるが、エンディングは原作にもある希望が感じられるものになっている。
達夫が、中島と対峙した時に、中島が吐き捨てるように言う”(家族を)大切にしているから、おかしくなるんだ”とは、実は、千夏の言葉ではないのか。
過去には一人で生きていくことも考えたと言うが、身体を売ったり、自分を最大限に犠牲にしながら、現実の不条理のなかで、家族を支えようとしている。社会福祉の恩恵にあずかることすらしないのだ。
実は、この函館三部作に共通するものが、次回作の「オーバー・フェンス」に聡のセリフとして表現されているように感じる。
「もう死んだみたいに生きなくて良いと思った」
「死んだみたいに生きる」......閉塞感で希望を持ていないまま生きることだ。
死んだみたいに生きなくてもいい状況になるには、千夏は父親を殺さなくてはならないのか。
そんな人が存在していることが、僕たちの生きる社会の現実なのか。
千夏と拓児が抱える現実と、過去の事故から立ち直ろうとする達夫が見出した答え。
時に、ぶつかり、傷つけあいながらも、片隅で(「そこのみにて」)寄り添い、希望を見出そうとする姿が太陽に照らされてまぶしく(「光輝く」)感じる。
社会の隅々であっても、人はきっと光り輝いているのだ。
佐藤泰志作品は、絶望を描きながらも、希望を見出して生きようとする人々を表現しているのだ。
底辺の男女の恋物語
三つの家族
舞台は北海道函館。
ある事件からニートとなりパチンコをするだけの達夫、パチンコ屋で知り合った拓児に連れられたどり着いた拓児の家には、彼の姉の千夏、寝たきりの父と世話をする母が暮らしていた。
達夫と千夏は惹かれあい関係を重ねるうちに、彼女の家族の状況とバックにいる中島という男の存在を知る。
自分がまだ映画もエロも知らなかった頃、濡れ場見たさに母親が録画していた本作を母の外出時にこっそり観た思い出の作品。
今考えるとそんな濡れ場メインの映画ではないけれど、当時は池脇千鶴が脱ぐのも綾野剛がおっぱい舐めるのも衝撃的だったわけで…
まあ、それはさておき、今回はちゃんと観ました。
一見、大城一家が不遇すぎる終始重たく暗い映画であるものの、苦しい現状の中にもほんの少しの幸せや希望を見出せる、そんな映画なんじゃないかと。
家族を持つ者、家族を持たない者、家族を支える者。
三方向から見た家族のかたち。
隣の部屋から性の塊のような呻き声が聞こえようが、どんなに問題を起こそうが、家族は家族。
達夫と千夏の浜辺でのラストカット。
あの瞬間、達夫は家族になったんだろう。
脚本や演出、カメラワークなども良かったが、やはり演技派俳優陣の魂こもった芝居が1番の見どころ。
綾野剛は北海道似合うし、池脇千鶴は幸薄似合うし、菅田将暉は夏祭り似合う。
とにかくどの役者さんも熱量が凄かった。
あと北の方言は聞き取るのがやや難だけど、それで良し。
スダマサキを知った作品
そこが、底だけで終わると、訳わかんない❓‼️
原作は再生して結ばれていくまでが描かれているそうですが。
途中で、終わらせるのが、アートなんでしょうか。
映画はリアリティが凄くて、演じるキャストはさすがです。
綾野剛、菅田将暉も凄いですが、社長役の親父はそのもので吐きそうです。
暴力も性行為もリアルすぎるのは良いことですが、余白が無いと思うのは贅沢でしょうか。
生活や環境が底辺とゆうこともあるでしょうが、精神状態が底をついてるんでしょうね。
トラウマが有れば、人生を休息することも有りです。
原作者みたいにエンドにすることなく。
池脇千鶴は演技が良すぎて、そのまんまにすら見えます、恐るべし。
それぞれ演技が上手いなー、そう感じるのは、共感を覚えないし、感動することもないからです、ただし、映画の品質は高いと思います。
でも、映画との相性はあると思います、原作に忠実に起伏に乏しい暗いだけの展開ですから、鬱な感情で負のスパイラルが出る恐れありです。
健全な精神状態で、菅田将暉や綾野剛のファンなら、是非。
夜明け前のような雰囲気のある映画
チャラ系名優。
そこのみ
どうしようもなく、逃げ場がない生活
どん底
今ならきっと福祉の手を借りられるはずだけど、何をどうしたらこのどん底から抜け出したら良いかわからない家族。
キャストが良い。
菅田将暉さんも人懐っこい役がハマるし、
池脇千鶴さんは子役から知っているけど本当に大人になって、仕草、表情、全てが千夏だった。
綾野剛さんは役のためにわざと函館の街で毎晩飲んで、顔を浮腫ませて挑んだとありました。
もちろん自身も事故で重いモノを背負っているけど、千夏の家族と前向きに生きて行けたらよいね。
『きみはいい子』の池脇千鶴さんを観てからこの作品を観ました。ギャップが凄い。
全国で公開されなかったんですか?アマプラのおかげで観ることができて良かったです。
不幸体質
赤いママチャリ、拓児!
拓児と千夏が親と住んでいる家を見て、「ヒミズ」の染谷将太演じる男の子が住んでる家とその周辺の風景を思い出した。それで胸が痛くなり辛かった。でも、拓児が人懐っこくて可愛くて、服も髪型もキャラクターにぴったりで、いつでも美味しそうにモリモリご飯食べていて、救われた。菅田将暉、上手い!音楽と照明もとても良かった。
達夫は千夏に一目惚れした。綾野剛、巧いなあ。千夏が海に入りたいと言ってたから、千夏に謝りたかったから、達夫は泳ぎに来た。千夏は服を着たまま達夫のところまで泳いできて、海の中で笑顔でキスをした。
達夫に抱かれて達夫を抱いて、千夏は自分の体が清められていくように感じたのだと思う。だから、長いラブシーンだったけれどその意味が伝わった。自然で素直で美しかったし、千夏の思いがわかったから。だから早送りしないでそのまま見ることができて嬉しかった。千夏と達夫の笑顔はとてもいい。池脇千鶴(初めて知った)と綾野剛、とても良かったです。
堰を切って
これからも生きていく
これまでは、一人で生きてきた。
これからは…自分の眼差しを受け留めてくれる人、そんな人がいれば…。
途中から、三人の中の誰かが死ぬバッドエンドを想像してハラハラしていた。
手放しのハッピーエンドではないけれど、
終わりと始まり。そんな予感を持たせるラスト。
達夫が初めて千夏を見た時。
ああ、雷に打たれたような一目ぼれってあるよな、
そんな描写が、大仰な台詞や演出ではなく、とつとつとした日常の中で表現される妙。
そんな出会いをした女は色々抱えており、
そんな思いがふつふつと胸に燈った男も抱えるものがあり、
それでも少しずつ距離を詰めていく様が愛おしい。
その二人のキューピットになるはずの弟は、何が起こるかわからない危うさをまき散らす。
だのに、姉と達夫を好きな様だけはビンビンに伝わってきて愛らしい。
その三人を取り巻く脇も手堅く締めてくださる。
息をするのさえ、苦しくなるような日々。
その中での、些細な、しかし明かりが灯ったような幸せ。
それなのに…、いや、それだからこそかの展開。
そして、
ラスト、二人を包み込む輝きが尊い。
幸あれとこんなに願った映画があったけ?
見る人は選ぶと思うが、珠玉の一本。
期待していたんだけど。
評価がいいので楽しみにしていたのだが、
暗いというか、セリフがない時間がすごく
長く感じてしまって、途中で飽きてしまった。
物語のスタート、石の下に誰かが
下敷きになっている場面がある。
これと、綾野剛はどんな関係があるのか。
過去に夢にまで出てくるほどの悲しみがあったことがわかるが、これがなんなのかが
なかなか出てこない。
自分の失敗で、一人死なせてしまった。
このことから、ひどく塞ぎ込んで
生活するようになる。
そこで菅田将暉に出会う。物事を軽く考えていてちょっと危ないやつ。
この妹のことを好きになる。←ここ、
なんで好きになる?って思っちゃった。
お金を稼ぐために、体を売る仕事をしてるし、
ちょっとやばい男と付き合ってるし…
私が男ならこの女はやめておく。
そして、また同じ仕事をしようとは
思わない。
もう一度見たら、感想変わるかな…
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