そこのみにて光輝くのレビュー・感想・評価
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“汚い”から美しい映画
風船のように自由に飛んで行きたい。
逃げたくなるような現実がそこにあるとき、そんな風に思うことがある。しかし、結局その自由願望は逃げでしかないため、逃げられない。
この作品は人生からは逃げられないのだという場面をこれでもかというほど見せつける。
地縁、血縁、歴史、罪。。
人生はまるで鎖に繋がれているようだ。
映画を見ながらこれほど息苦しくなることはそうそうない。何故なら、この作品には“メタ”視点をもたらす存在がいないからだ。全員が“ベタ”=主体。
誰かしらが何かに囚われ、苦悩している。
演出としても、メタが不在な上に、それを和らげる音楽も無いから、見る側は剥き出しのリアルを見せつけられているようだ。
とにかく“汚い”。街が汚い。人が汚い。現実が汚い。
しかしそれはリアルの間違いなく存在する一面だ。それを音楽や救世主で中和するのは嘘くさい。それを描くのが映画のリアルだろう。その意味でこの作品は映画らしい映画である。
そんな鎖に繋がれるような人生の中で自由な瞬間がわずかだが存在する。それを見せつけられてくれるのもこの作品だ。
池脇千鶴の素晴らしいセリフがあった。これを聞いた瞬間、私は主人公より先に涙してしまった。それだけ物語に入り込んでいた証拠だろう。
池脇千鶴は素晴らしい女優で居続けてくれている。
綾野剛ファン用か…
綾野剛版、実録DQNドン底物語。
丁寧な描写&作りで、引き込まれる作品ですが…
「凶悪」「共喰い」「海炭市叙景」に比べ、圧倒的に軽い。
のはやはり、いい演技を見せたけども綾野氏の俳優としての軽さなんでしょうね。
挙げた作品のように、鑑賞後時間を経て反芻するような物が残らない一本でした。
氏目当てであろう女性客を意識したであろう、明らかなサービスカットが冗長。
全体的にも間延びして感じる演出なのは、女性監督だからでしょうか。
判らない事だらけ
原作未読ながら、タツオは千夏の何に惚れたのか。哀れな女に同情してなのか?出会いからの2人の関係の発展にまず理解できない。
ライターのやりとりだけであの関係にまでなる男同士も判らない。
こういう事は、そういう人物です。では片付けられない筈で、唯一、頑張っても判るのは家族を護る為に生きる千夏のみ。植物状態の父にしたって、不労働の母然り、弟の面倒まで千夏が見ている。そこには彼女なりの家族への愛情があって、タツオがそれに惹かれるとしてもそれ以前の事だ。
彼が過去の自分との対峙の中で、彼女を救えるのかが問題なわけで、尚更彼女の何に惹かれ、如何に彼が突き動かされたかが無いと厳しい。
彼の素性が徐々に明かされてゆく展開が仇となった気がする。
体当たりの俳優陣に救われた作品かと。
そこのみ、かあ…
ロケーションと質感の良い映画でした。キャスティングもばっちりやね。菅田将暉が完全に主役食ってた、演技がすばらしくて久々にぐっときた。こりゃ彼の映画だな。末恐ろしや☆
池脇千鶴の埃っぽい親しみやすい肉感。最近ご無沙汰でしたが、やっぱり彼女の存在感は頼りになるわ、ステキね☆
菅田将暉がすごくよかった。
菅田将暉いいね。ほんとにいいね。これからが楽しみやわ。
エンドロールが特に気になったけど、文字とか人物の輪郭がぼやけてる映像だったんよね。あれは演出なのだろうか、上映の仕方なんだろうか?
お話は、千夏が切なくて苦しかった。水商売はまだしも、寝たきりの父の性処理なんて、考えられない…つらすぎる。
幸せになって欲しいけど幸せになれるイメージ持てないまま観つづけ、最悪のパターンとして中島がたくじをけしかけて、たつおを刺すとか予想してたけど、そうはならなかったのはほっとした。
他にも中島に千夏は殺されへんやろか?とか。けっか殴られてしまったけど…
ラストに、はっきりとした希望は、提示されなかったけど、2人は確かに微笑んだと思う。観ていた私は2人になんとか生きていって欲しい、生きてればなんとかなるよと祈った。
自分に対しては思えないのに、人には無意識に生きて欲しいと願ってしまう、この心はいかに?などとも。
あと、池脇千鶴のおっぱいに乾杯です。ジョゼから10年たってまたお目にかかれるとは、感激です。
最後に差す光はふたりの未来を照らす。
田舎とか都会とか関係なく、何処にでも、そして誰にでも起こりうる物語。
最後に千夏のとる行動は痛いほど心に刺さった。
壮絶な介護経験がある者なら理解できるはず。
ラストカットが素晴らしかった。
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