猿の惑星:新世紀(ライジング)のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
もはや人類は相当死に絶えていた世界で細々と生き残った人々が電力確保の為に水力発電所を稼働させるべくボス猿のシーザーが支配する森に侵入したことからまた猿対人間の争いが始まる・・・という地味でミニマルな物語かと思いきや、実はシーザーとその腹心のコバとの確執が話の肝で、スカーフェイスのコバがもうアル・パチーノにしか見えないくらいに人間臭くてほとんどギャング映画の様相。それでいて「猿は猿を殺さない」という命題を巡って沢山の血が流された末に辿り着く結末がジンと胸に沁みます。
監督が『クローバーフィールド』のマット・リーヴスなので終末観の映像は見応えあり。そしてとにかくアンディ・サーキスの演技が素晴らしい。自身の動作が直接映像にならないモーションキャプチャーでここまで個性を滲ませる役者は地球上に存在しないのではないでしょうか。リメイク版キングコング、ゴジラとこれはサーキスなかりせば成立しなかった映画ではないかと思います。
猿の惑星
猿がすごいよー
本当の強さとは
遅ればせながら見てきました新世紀。前作は普通に面白いぐらいの感じだったのですが、今回は人にオススメしたいレベルで素晴らしい作品でした!
2時間の映画で信頼、共存、戦争及びその発生、エネルギーなど様々な問題提起提起をした上で、全体的にシリアスなトーンながら娯楽作品として纏め上げる手腕が見事。
1番強く思ったことは、「本当の強さとは相手を倒す力を持っているということではなく、未知なるものや種族への恐怖を自身の中で抑え込み、相手を信頼できることなのではないか。自分の中の恐怖に打ち勝てることなのではないか。」ということでした。色々なところで聞いたことのあるようなフレーズですが、こういう言わば綺麗事をこうして心から実感できる時映画を見ていて良かったなとおもいます。
シーザーや主人公が相手を信頼しようとする様には胸を打たれるし、(特に赤ちゃんや漫画のなどの)猿と人間が触れ合うシーンの多幸感は忘れがたい。その度に次のシーンでは互いに信頼し合えない様が挿入される構成が憎らしい。
前作より更に進化した猿たちの素晴らしい表情に目を奪われがちですが、ゲイリー・オールドマンの泣き演技には「どうじゃこれが人間の生演技じゃ!!」という主調の様なものを感じ、とても印象深いシーンとなっていたと思います。
全体的に鬱々としていたけど熱い展開もあり見るのは全く苦痛じゃなかった。見せる力がすごい映画でした。シーザーかっこよすぎ!!!
いろいろ考えさせられます
種は変わっても繰り返される暴力の歴史
SF映画の傑作『猿の惑星』の前日譚を描いた前作
『猿の惑星 創世記』の続編(なんかややこしい)。
猿の知能を発達させ、人間には致命的な病をもたらす
ウィルスが世界中で蔓延してから10年後。
山奥で平和なコミュニティを築く猿のシーザーたちと、
絶滅寸前となった人間たちとの衝突を描く。
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前作ではまだ『CGの進歩スゲー』と考えていられたが、
本作はもう猿たちがCGキャラであることをしばしば
忘れてしまっているくらいのリアルさ・自然さ。
ほとんど違和感を感じないんだからスゴい。
で、今回も猿のリーダー・シーザーさんが威厳バリバリでして。
馬に跨がって人間たちに堂々と語りかけるシーンなんて
「これ完全に猿に主導権握られちゃってるよね」感が
半端ない訳です。
対する人間側の心許ないこと……。
そもそもの衝突の発端を作ったのも人間側だし、
『知能を備えた猿』という得体のしれない存在への
恐怖も相俟って、敵対心はどんどん増大していく。
あの迷惑大将カーヴァーさんさえいなけりゃ
もっと穏便にコトは進んでたと思うんだけど……
まあ猿を怖がってた人間は彼だけじゃないし、一部の
猿は何があっても人間を拒絶しようとしていたし、
遅かれ早かれあの結末は避けられなかったのかも。
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未知の存在への無理解が恐怖を生み、
互いへの恐怖が互いへの暴力へと発展する。
理解しあえる余地は確かに残っていたはずなのに、
有史以来、異なる人種間で幾度となく繰り広げられ
てきた醜い闘争の歴史を再現する猿と人間たち。
また今回は、猿VS人間という構図も変化。
前作でも不穏な空気をビシバシ放っていた
副官コバ君が色々とやらかしてしまう。
人間の善と悪の部分を知るシーザーは
人間たちとの共存の道を探ろうとする。一方で、
人間に虐げられた記憶しかないコバはそれを拒絶する。
(人間を死ぬほど恨み蔑んでいるのに、人間の前では
道化を演じ切る彼が怖すぎる)
2人の決着は、猿の中でも意見を違えるものが
現れたという意味で象徴的。シーザーが目指した
平和なコミュニティは崩壊へと向かっている。
それも彼自身の手によって。
人間と猿の争い、そして猿と猿の争い。
殺し合いというのは生き物にとって
必然なのだろうかと思うと悲しくなってくる。
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ただこの映画、映像技術の進歩には目を見張るし、
これが異人種間の争いを描いたドラマと観られる深み
もあるのだが、猿を人間に置き換えて考えてみると
物語の展開はかなりオーソドックスとも言える。
友好の兆しを見せつつも戦いへともつれ込んでいく流れ
や、副官コバとの対立なども予定調和的ではある。
そこだけが不満点と言えば不満点かなあ。
物語の展開にあとひとヒネリ欲しかった、というのは
これだけ楽しませてもらっておいて贅沢言い過ぎかしら。
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3作目も作られるのであろう新『猿の惑星』シリーズ。
次回は遂に全人類と猿たちとの全面戦争が勃発するのだろうか。
オリジナルのあのラストに繋がるような終わり方が
用意されているのかもしれないと考えると、
今からワクワクする。
<2014.09.12鑑賞>
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余談1:
エンドロールで驚いた。
ジェイソン・クラークやゲイリー・オールドマンと
いった役者さんよりも先に、モーションキャプチャーで
シーザーを演じたアンディ・サーキスの名前が
一番最初にクレジットされてるんだもの。
顔が出ないのにこれだけ有名な役者さんも珍しいが、
ここ数年の彼の活躍って目覚ましいものがある。
ゴラムにキングコングにゴジラ(一部だけ)にシーザー!
そろそろアカデミー主演男優賞とかにノミネートして
くれないかしら。
余談2:
文脈に沿わなかったので書けなかったが、
人間側のリーダー役ゲイリー・オールドマンに
泣かされた。彼が電気を取り戻したかったのは、
本当はスマートフォンのあの写真を見たかっただけ
だった……なんて想像はロマンティック過ぎますか。
悪役では括れない良い役でした。
壮大なことに。
家族を大切にしよう
すごく迫力があって引き込まれました。不気味で怖い所も多々ありましたが、最後には家族を大切にしようとしみじみ感じさせてくれる素晴らしい映画でした。
シーザーは非常に賢い上に、とても愛情深く、常に仲間や周り(人間や環境)のことを考えていることに感心しました。愛をたっぷり注がれて育てられるということは、あたたかい道徳観が育つのだな、としみじみ感じました。
猿人類と人類、それぞれ自分たちのことしか考えない者と、シーザーやマルコムのように共存を考える者。種は違えど同じなんだなと思わせる箇所が多々ありました。
共存を考えられるのは心を持つ生き物しかできないと思うので、せっかく人間として生きているのだから、お互いを思いやり、戦争なんかしてないで仲良くやっていこうよ、と思いました。
進化の夜明け
前作の猿達の反乱から10年後の世界。進化の黄昏にある人間と、夜明けにある猿が対峙した先には…。
冒頭の映像から迫力、とても見応えがありました。
他種族との関係、同種族の中の関係、演技達者たちが多層的にズッシリと見せてくれました。
人間に育てられた猿シーザーの、カリスマリーダーぶりに見惚れます。演じるアンディ・サーキスに大拍手です。
人間社会を経験したシーザーやコバとは違った環境で育った、ブルーアイズやアッシュら息子世代も上手く描かれていると思いました。
ニック・サーストン演じるブルーアイズ、良かったです。初めて人間と関わる中で何を思い考えたのか。そして意思を伝える事の重さにハッとしました。
ゲイリー・オールドマン演じる人間側のリーダー、ドレイファスの拡張器での演説は印象的。心のひだを繊細に見せて、流石でした。
実はジェイソン・クラークの出演を知って、てっきりあちら側かと、強面の猿かと、迫力あるし…。
ポスターを見て勝手な思い込みに苦笑したのですが、猿に囲まれても体格も迫力も負けておらず、誠実なマルコム役にぴったりでした。
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