ぼくたちの家族のレビュー・感想・評価
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こういうときは…
『そこのみにて光輝く』『WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常』と良作な邦画が続いたので、並の映画だったらガッカリしてしまうところだが、さすがは石井監督、前記の2作品に劣ることのない作品だった。
日頃から妻(母)の存在には(いろんな意味で)頭が下がる思いだが、本作を観てあらためてその大きさを感じずにはいられなかった。
映画『火天の城』の中で、妻役の大竹しのぶさんが仕事が上手くいかない夫の西田敏行さんに当たり散らされても笑顔を絶やさずにいるとそれを見た夫はバカにされたと思いますます逆上するシーンでの台詞「おなごが笑わぬ家は陽が昇らぬ家でございます。男も女も泣かぬ者はおりますまい、その涙を人に見せるか、微笑みで包むかの違いです。」私はこのシーンに感銘を受けたのを思い出した。
どの家庭にも大なり小なり問題があると思うが、その中心となって頑張ってくれているのが妻であり母なのだ。日々の生活の中で家庭内の北風を太陽に変える力を持っている。
そしてその明るさがどれだけ家族を救っていることか。
その明るさの陰に潜む問題を家族だからこそ直視せずに過ごしてしまう。
もしそこに万一のことがあれば、当然その穴はデカく、隠れていた真実が子供達の前にも姿をあらわす。
前作『舟を編む』のレビューで石井監督は人を魅力的に撮るのが上手いと書いたが、本作の前半では登場人物のイヤな部分や感じの悪さを見せられる。
イヤな感じに撮るのも上手いなと感心していたが、前半振った感じの悪さを愛に変えて回収するという素晴らしさ。
イヤな感じだった登場人物も観賞後にはすっかり好きになっていた。
この魅力こそが石井監督らしいと思っている。
今もっとも旬で安定感があり、安心してお金を払える監督の一人ではないでしょうか。
今年の邦画の頑張りは嬉しい限りだ。
良い映画を続けて観れて幸せだ。
それだけで楽しく生きられる。
だから映画ってサイコーなのだ。
再生ではなく、成長。
劇場では、超大作や話題作を見る事が多いです。ですので、「晴天の霹靂」の空き時間でなんとなく鑑賞。
期待も不安も何にもなかったが、これは面白かった。
これは、家族の崩壊に気付き、そこから成長を期す話。
再生というより、成長と言った方がイイと思います。
長男に頼りっきりで一人じゃ何の決断も下せないダメダメ親父。最後は義娘に自分から頭を下げるなんて...成長したね。
大学を留年し、親に金を強請る親不孝次男。最後は自分から、親父の会社への就職を志願。しかも借金の返済もするつもりなのか...成長したな。
過去にはひきこもり、今でもあんなに暗い長男。最後の満面の笑み...成長したね。ホントによかった。そこでは、ママと兄弟の三人でフラダンスをしてて、長男が次男に「ちゃんと踊れよお〜」と言って劇場は笑いに包まれてたけど、ママの事が本当に好きなんだなと自分は感動しました。
この映画は、特別に斬新な演出手法もないし、全編通して台詞も少なめです。しかし、キャラクターの心情を表す演出が分かりやすくて、上手い。暗くてつまらない映画だと思っている人も、楽しめると思います。
若干30歳の石井監督。是枝臭をプンプンと漂わせていますが、次期巨匠候補筆頭ではないでしょうか。
印象を”笑える”としたのは、長塚京三さん演じる親父がウザすぎて笑ってしまったからです。笑
不覚にも、涙が零れました。
初めて出会う、家族の物語。
でもいつか出会う、真実の物語。
パンフの表表紙のメッセージですが…
いやまぁその通りだなぁと。
もし起こってしまえば、避ける事のできない
それでも、どこの家族にでも起こりうる出来事だと思います。
今自分もちょうど息子世代なのでね。
自分に重ね合わせて観ていました。
ストーリーは作品情報そのまんまなのですが
義務感とプレッシャーに苛まれ、言いたい事を言えずに
いつも我慢している様な面持ちの浩介と
気持ちを隠すこと無くストレートに言葉にし
どこか少しおちゃらけた雰囲気の俊平。
このまるで対極にいるような二人の兄弟像は
まさしく何処にでもいる兄弟そのもの。
そんな雰囲気を醸し出しています。
その二人を演じた妻夫木聡と池松壮亮。
池松さんのほうは最近別の作品を観ていたので
雰囲気は何となく分かっていたのですが
妻夫木さんに関しては、正直爽やかなイメージしかなかったもので
こういう、いつも苦虫を噛み潰したような雰囲気の演技はかなり意外でした。
でも素晴らしかった。
あることを契機に兄は吹っ切れ、弟を巻き込んで「悪あがき」をしていくのですが
ここからの子供二人がメインで動いていく様がまた観ていて素晴らしい。
(男三人とありますが、お父さんは家族の為今まで以上に仕事を頑張る様がちょい役として描かれるだけです。
それでも十分なのですが…お父さん役の長塚さん不憫。)
どちらかというとお父さんは見守り役になるのかな。
お互いを気遣い合う兄弟。やっぱり家族だねぇ。
そんな悪あがきの行動に、やがて転機が訪れ
クライマックスに繋がっていくのですが…
最初の居酒屋では三人がどこか違う方向を向いていて組めなかった円陣。
それが物語の中で同じ方向を向き
最後には感情を吐露しながら、中途半端な形でも組めた円陣。
ここで不覚にも涙腺決壊。
いい大人が…スイマセン。
やっぱり家族は
お互いにとって親であり、また子であり
また伴侶であり、兄弟なんだなぁと。
家族っていいなあ。(人並み感)
騙されたっていいんです。
素晴らしさを再実感できるのなら。
最後に。
池松さん美味しい役どころだったよなぁ。
ぼくたちの家族(何回でも観たい)
現実感があって、最初から最後までのめり込んでしまいました。
序盤で「円陣でも組んで、「オーッ」ってやるかァ?」みたいな薄っぺらい言葉を吐いていた弟に対して、こいつ苦手だなと思ったものでしたが、後半、期せずして本当に円陣を組んだ(ような立ち位置になった)場面では、私も号泣してました。弟さん、すいません好きです。
兄は作中何回も笑顔になっていたけど、観ていて心が詰まらされる笑顔、本当に胸が撫で下ろされる笑顔、笑顔の度に心が揺さぶられました。
「悪人」でもそうだったけど、妻夫木さんの笑顔は力があるなァ
良い映画すぎて初めてレビューを書いてしまったが、それで何かした気になったと思ったのなら、
それは間違ってるぞ、オヤジ! うるさい!
どんな家族も不完全。
エンドロールで「えっ、もう終わり⁈」と思ったくらい物語にひきこまれた。
母の病気をきっかけに、バラバラだった兄弟父が再び結束して奔走するストーリー。特に兄弟二人のキャラクターがとてもいい。
弟は、チャラく振る舞いながらも兄がまた自分一人で家族の問題を抱え込んで壊れちゃうんじゃないかと心配している。
兄は、調子・要領よくて親にもより可愛がられている弟が羨ましく妬ましくもあり、でもすごく頼りになる奴だと認め始める...。
父は亭主関白風だがいざとなるとてんで役にたたずw
兄か弟かおおまかかに分ければ性格や行動パターンの特徴は万人にあてはまりそうだから、人によってそれぞれのキャラに感情移入してしまうと思う。
長男の嫁役・黒川芽以ちゃんが「自分も長女なので兄の方に共感しながら、役としては現実をつきつける役なので、客観的に家族の問題をみながら演じた」と言っていたけど、わたしも長女なので同様に感じた。
兄の不器用さに共感しながらも、自分の短所を見ているようでもどかしく...。
だけど、最後の兄・弟の姿はどちらもかっこよくて清々しかった。
「完璧な家族なんていない、でもそれでいい」
舞台挨拶で妻夫木くんが言ってた言葉がすべてかも。
子どもは反抗したりしながらもやがて親の手を離れて成長し、いつか親を心配する側になり、親の気持ちを考えられるようにもなり。
きょうだいは時にライバルでありながら、ピンチの時は助け合う仲間となったり。
そんな風に助け合える素敵な家族像に、自分が育った家族やこれから築く(かもしれない)家族のことを重ねて考える。いつの間にか泣いていて、でもけしてじめじめせずに笑えるシーンもあって、鑑賞後の満足度は◎でした。
感動!というより、じんわりとあたたかい気持ちになれる映画です。
自分を育ててくれた家族、育てている家族を振り返る
あの時、もし親父が余命3日と伝えてくれたなら、今の僕ならできたことがあったと思う。けど、小6の僕には何もできなかった。そんな悔やみを40年間ずっと持ち続けている。
育ててくれた家族のこと、すっかり弱弱しくなってしまった母のこと、映画と同じ男兄弟のこと、そして、今、自分が育てている家族のこと。
そんなことを思いながら、僕の頬には涙が伝わっていた。
88番 黄色を貴方は信じるかな?人生は大切なものを失いかけるとその価値に気が付くらしい
昨年の邦画界の賞を独占した「舟を編む」の石井裕也監督の新作となれば、誰もが期待と共に、息を飲むように注視しながら作品を観てしまうだろう。
それだけにかなり良い作品を送り出さないと、評価は厳しいのかも知れない。
正直に言って期待値が高かった為か、何か肩すかしに有った様な今回の作品、悪くはないけれど、極平凡な映画のような気がした。
昨年の「舟を編む」では主人公光也を演じた松田龍平と膾炙の先輩正志を演じたオダギリ・ジョーと言う主人公と彼を取り囲む人物のキャラクターが対極のキャラをブツケル事で、主人公の特徴が際立つと言う描き方、演出の仕方は今回の「わたしたちの家族」も前作と同様の作風で理解し易く、笑いの有る作品に仕上がっていて好感が持てる作品でした。
学生時代に引き篭もりであった長男も今では何とか家庭をどうにか持てるように成長する事が出来たが、母の急病を機会に、それまでチグハグしていた家族が、元の健全だった頃の家族へと戻るまでの過程を描いた、心がほっこりと安心出来る作品になっている。
こう言う作品の始まりは、雨降って地固まると言う家庭のゴタゴタを人情味豊かにユーモラスたっぷりに描いている作品は、いかにも邦画の良い点を濃縮させた様な作品なので、石井監督がこれまでの作品で様々に描く家族の在り方は、松竹の人情喜劇が描いてきた作風を今の時代に合わせた新しい家庭の、ホームムービーになっていると言う気がするけれども、他の方はこの作品を観てどんな感想を持たれるのだろうか?
原田美枝子、長塚京三、そして妻夫木聡と邦画界の良いキャストで固めているけれど、今回この作品で一番良かったのは、次男を演じた池松壮亮だと思う。
この映画がお涙頂戴の暗い安っぽい作品にならずに、テンポがある、コミカルな味を巧く出せるように家族を牽引していく役処を頑張った彼があってこそ生きている気がしてならないな。今後の彼の作品が本当に益々楽しみです。
でも考えてみれば、「ラストサムライ」に出ていたと言う事は、いくら子役だったとはいえども、あのビックスターの、トムさま主演の作品に出たのだから、やっぱり今後は世界に羽ばたく大物スターになるかもね!
お話的には何となく納得出来ない、極端な部分などもあったようにも思うけれども、将来を期待したい石井監督の作品なので、みんなで応援していけたら、また世界の中で邦画作品が評価される時代が来るかもしれないね。映画は作家の才能もあるけれど、観客が応援して、良い作品が出来るように、邦画界を支える事で、日本の芸術や、文化も初めて開花するのだから、一般人のみんなで応援出来たら良いよね~
母親って 幸せだね
見た目は まともな普通の家族。
中身は 問題だらけの バラバラな家族。
母親の病気で みんながひとつの方向を見るようになり 問題を解決しようとし始める・・
お互いに 向き合うのが 遅すぎるように思うけれど・・
まあ 母親の病気っていう キーワードだけで 向き合えるなら・・・母親って 幸せだね・・と思います。
まともに家族に 向き合ってこなかった母親なのに?
男性って こんなにも単純でしょうか・・。
男って…
入院していた母が退院した日、父はお赤飯を買ってきた。そんなもの食べられる訳がないとからかうと、和室に寝転がり「俺だって大変だったんだ」と…初めて聞く父の泣き言だった。友の旦那も家が窮地に立たされた時にキャバクラの女の子とメールのやりとりをしていた…今まで見てきた男性像がすべてこの映画に写し出されていて笑った。泣くんだよね…男って…だから、優しくしてあげないと…笑顔で明るくしてれば、頑張っちゃうんだよね…男って…
いつかみたTwitterにバブル世代は「男らしさ女らしさ」があったと書かれていた。
エンドロールの制作に竹内力の名を観た時に腑に落ちた。
私達の年代には伝わるものが多いにあった。
私達より下の世代は、この映画がどう写ったのかな?
今私はそれが一番知りたい。
余談ではあるが、長男の引きこもりについて、もう少し背景を描いて欲しかったかな?母親が自分を思い出してくれ、褒めてくれて奮起したのはわかるが、なんとなくひっかかったままなのだ。
もやもやする~
思いがけずリアリティー
明日は我が身…というか、なんというか。
若菜家の出来事が全て自分にも起こりうる事ばかりで
見入ってしまいました。
若手実力派の妻夫木さんや池松さん、ベテランの長塚さんや原田さんの演技に石井監督のスパイスが混ざり合って
本当にバランスのいい映画だと思います。
マイナスなことが原因で集まった家族が
プラスになって行く…ありがちなお話かもしれませんが、
真面目な映画の中にちょっと笑ってしまうところもあって
この映画と観る人との距離をぐっと縮めている気がします。
母は家族の核
余命7日と告げられた母。そして在宅へと、病院から追い出し。
兄弟が協力し母を助け様と努力し、そして・・・・・。
母は家族の核・太陽だと教えられる作品。
母親役の原田美枝子の演技は最高!是非鑑賞して欲しい作品。
身内って。
うん、そうだね。「ぼくたちの家族」だね。
正直こんな家族がどこにでも居たら困る。
母ちゃん、病気。とうちゃん、限りなく頼りない。
次男、母ちゃんにお小遣い要求。
で、さえなさそうな兄ちゃんの身籠の奥さんは旦那の晩ご飯の支度などそっちのけで「先に寝るね」
冒頭からダークサイドまっしぐらを予感させる展開でどうなることかと思ったら。。。
母ちゃんの明るさ。次男の優しさ。兄ちゃんの奮起。
それぞれの人物の人格描写がとても丁寧で。
親父もちょっとはがんばるんだけど、大黒柱としてはどうかと思うよ。うん、もっとがんばろう!
どんなに頼りなくてもどんなに情けなくても、家族だから仕様がない。
助け合うのだ。それが家族。
でも、ちょっとだけこわい。現代社会、こんな借金がある家庭が増えているのではないか。いや、ひょっとして沢山あるの?
お金がすべてじゃないって言いたいけど、大切なこと。
大切な人を守るためとても必要なもの。
今一度みなさん、ご家族の家計を見直してー。
現実味があるセリフと描写。良作。
やはり、良作だった。
母の病気でお涙ちょうだいではなく、現実味があるセリフと描写にリアルさを感じた。
どこにでもいるよね。こういう家族。だからこそ、自分自身に置き換えて考えるし、家族と話すきっかけになる。
笑わそうとするのではなく、笑っちゃうぐらいの占いのシーンでの黄色や数字。
変わるんだと決意した坂の上でのシーン。
グッときた。池松くんと妻夫木くんの兄弟が最後には本物の兄弟に見えた。
バカだけど頑張ろうとしてる弟。
全く頼りにならない父。
引きこもった過去を引きずりながらも変わることを決意した兄。
病気になっても家族のことを思う母。
愛しすぎるよ。この家族。
最後にタイトルがでたのはなんかわかる気がする。最後の最後に、家族になれたと思うから。
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