サイクリスト

劇場公開日:

解説

家族のために自転車をこぎ続ける男を描くドラマ。監督はイランの巨匠モフセン・マフマルバフ。

1989年製作/83分/イラン
原題:Bicycleran
配給:オフィスサンマルサン=アジア映画社
劇場公開日:2000年8月19日

ストーリー

アフガニスタンからの難民ナシムは子供を抱え貧しい生活を送っていたが、さらに妻が入院する事になり、その費用は家族に重くのしかかる。そんな時、興行師から、一週間自転車に乗り続けることに成功すれば多額の賞金がもらえると聞く。意を決したナシムは賭けに挑み、野次馬が集まる広場で自転車こぎを始めるのだった。3日目の夜中、見張りの者が寝るとナシムは極度の疲労から倒れてしまう。しかし、仲間達の協力が彼を助け…。

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映画レビュー

5.0精神的なハンセン病であり、治療できない

2021年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この前に、キアロスタミ監督のクローズアップを観て、是非、1987 年のモフセン監督のサイクリストを観たく思った。
やっとのチャンスに恵まれて、観始めたが、困ったことに字幕が薄すぎて読めない、最初の部分はまったく内容が掴めなく、他の部分でも白の字幕はこの映画と同化してしまっている。それに、古い映画であるから? イランの古い映画なんだからと思って、諦めたが、なんとかデジタルリマスターして欲しい。そうしたら、もう一度観て、別なレビューがかけると思う。

あらすじは抜きにして、簡単にコメントを書く。モフセン監督はなぜ、この映画を作ったんだろう。イスラム原理主義のなかの、イランや世界の人々に何を伝えたかったんだろう。どこにでも市民であっても適切な医療を受けられない人はいる。ましてや、この時代のアフガニスタンやパキスタンからイランへの流入難民。どこで難民として生活しても、ソ連の撤退前後の話だから、アフガニスタンの国としての行方がわからず、難民がアフガニスタンに帰ることもできないし、イランで生活もできない。悲惨な状態での、アフガニスタンの主人公ナシンの挑戦を見せたから、喝采を浴びたのか? お涙頂戴の映画だから、市民は好きだったのか? では、アフガン難民は? アフガン難民もイラン国民も生きていくのですら大変だったに違いない。

気に入った言葉がある。『精神的なハンセン病であり、治療できない』と言う言葉だが、サイクリスト、ナシンがハンセン病の見学者に言った言葉だ。裕福な見学者はナシンの伴侶の医療費を稼ぐと言う必死の挑戦に必死で賭け事をして挑戦している。ナシンの必死で稼ぐ医療費は他から見たら、ゲームになってしまう。見学者に向かって、『精神的なハンセン病であり、治療できない』と言ったのか、自分自身にとって、『精神的なハンセン病であり、治療できない』といったのか、全く意味は違ってくるが、自分自身に言ったのなら、現在の貧困難民では、もし治療費をここで稼げても、この状態はずうっと続くから消え去らなく精神がやられてしまうと言う意味だと思う。外野のいう、アフガニスタンの勝利にかけるということも、イラン人もパキスタン人もなく、貧富の差だけが問題になっているから、ナシンを応援していたのだと思う。その中でも、看護婦のように貧しい人々の気持ちが理解できる良民もいると言うことだと思う。

映画の最後でモフセン監督のメモを読んだ。パキスタンの難民が10日間、自転車に乗って、パキスタンの洪水の被害者を救うためにチャリティーに挑んだ話を読んで映画にすることを思いついたらしい。

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