馬頭琴夜想曲

劇場公開日:

解説

鈴木清順、黒木和雄、熊井啓などの監督作品を始め、200本以上の映画で美術を担当し続けてきた日本映画界の至宝ともいえる存在である木村威夫。2004年から映画監督に挑戦し始め、「夢幻彷徨」「OLD SALMON 海をみつめてすぎた時間」に続く第3作目である。原爆をモチーフとし、戦争に対する悲しみを根底に潜ませながら、極彩色の映像と、多様なジャンルの音楽表現を融合させ、メタフォリカルで、アヴァンギャルドな世界観を確立した。摩訶幻想空間を浮遊するのは、独特の存在感を持つ映画界のカリスマ鈴木清順と、世界的ファッションモデルの山口さよこ。

2007年製作/55分/日本
配給:太秦/エアプレーンレーベル
劇場公開日:2007年7月21日

ストーリー

雪の降るある夜、馬頭琴と共に教会に捨てられた赤子。その馬頭琴に見覚えのある修道院長(千秋みつる)は、赤子を世羽(ヨハネ)と名づけ、教会で育てることにする。修道院長は、1945年の長崎の原爆で間一髪難を逃れた経験を持つ。彼女が失った多くの人々の中に馬頭琴奏者のナランがいた。彼は被爆し亡くなったが、馬頭琴だけは焼けずに残り、一時期彼女が預かった後に、息子が引き取りにやって来た。そうして月日は流れ、再び現れた馬頭琴。やがて赤子は少年(原田光)となり、宇宙に思いを馳せるようになる。生まれつき足の悪かった世羽は、ある晩、高熱にうなされる。爪弾かれた馬頭琴の音色と共に、夢の扉が開かれた。妖艶な賓(まれびと)ザロメ(山口さよこ)。彼女が奏でる馬頭琴が、世羽を時空を超えた世界に誘う。モンゴルの伝統的な楽器である馬頭琴の独特の音色は、胡弓に比べ力強く、草原のチェロとも形容され、モンゴロイドの血筋を受け継ぐ日本人の琴線に触れる。人間の歴史は戦争の歴史。まるで、断ち切れない人間の業のように思える。しかし、戦いに流れた血を洗い流してきた馬頭琴の調べは、ついに、民族・宗教を越えて愛の奇跡を呼び起こす……。

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