鑑定士と顔のない依頼人のレビュー・感想・評価
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クライムサスペンスとしては素晴らしいと思いますが…好きになれない映画
前半は面白いです。美術も展開も素晴らしいと思います。
ただ、ラストがとてつもなく嫌でした…。
なので評価低めです。
ストーリーの結末が中盤くらいから予想出来るんですよ。
こんなバレバレならもっとシンプルに
みんなハッピー!おしまい!ちゃんちゃん!でいいじゃん…って思ってしまいました。
ドンデン返しにしてやりたいっていう脚本の見えすいた意識が溢れてていやらしいです。
サラが忠告をしてくれたシーンでラストの景色がバッチリ浮かび、覚悟しながらラストまで観ていたんですが、それでもラストは胸が痛かったです。
こんな仕打ちしなくてもいいじゃないかと。
もっとシンプルなハッピーエンドにしてくれてもこの映画は充分クライムサスペンスとして魅了的な良作だったのに何故こんな悲壮感漂うラストに…。
残念です。
幸せなおじいちゃんがみたかったです。
ハッピーエンド?
事前情報なしで観た。
そのせいもあってかストーリーの着地点がまったく見えず、鑑定士と同じくずっと情緒不安定な2時間ちょい。
だいぶ引き込まれた分、残酷すぎる仕打ちに放心状態だったけど、冷静に考えるとある意味あれはハッピーエンドとも言える気もしてきた。
一旦は廃人ギリギリまで落ちたものの、人生の終盤において、人間らしい感情を呼び覚まされた主人公。んー、よく出来てる。
二回観た。。あのひとってさー
勝手に想像・・・・・
ビリー(サザーランド)ってあの子のお父さんなのかなー?と思った。昔、お母さんの絵を描いて、一度あの鑑定士に見せたことがあって。でも鑑定士はその絵を見ても思い出さなくてやっぱり「駄作」と一蹴、もし評価はともかく鑑定士があのダンサーの絵を見てビリーの画風だと思い出してくれてたら、ビリーは違う結末にしたのかなーと。
最初、あの小人病の女性って実はオートマタ!とか思っちゃった。
そんな想像が膨らむ場面がたくさんあった。
二回観たが、あと二回観ても発見が増えそうな作品。
二回観れば全ての謎が解ける
一度目はラストのネタばれではなく、ヴァージルの『ナイト&デイ』でのラストシーンに驚愕(あまりに残酷に感じました)。でも次の日に、あの結末は悪くなかったのかな。。と思い直しました。
そして二回目の鑑賞後、ヴァージルの表情が全てを受け入れたように感じました。
クレアが来ないことを知っていて、『連れが来る』と告げたのだな。。と。
それは、大切なものに出会えた有り難さを噛み締めた瞬間なのだと思います。
クレアは、まさに人生の『ベストオファー』全て(虚飾の財産や名誉)を無に出来るほどの存在だったのかな…と。
人間は自身の欠点を知ってから初めて、幸せな人生を生きられるのかもしれません。
とても面白く、勉強になった作品でした。
バージルに感情移入すると危険
驚愕、啞然。こんな結末があっていいのか。 「ハッピーエンドと受け取るか、アンハッピーエンドと受 け取るか分かれる」とある批評に書かれていたが、いやー これはハッピーエンドとは受け取れない。 だってバージルは偏屈で一種の変態かもしれませんが、孤児院育ちで地道に努力して自力でここまでの地位を築いた のですよ。 そりゃ例え違法スレスレ(というか違法なのか?)に自分の審美眼にかなった絵画を落札させていたとしても、それ は彼以上の目利きが周囲にいなかっただけの話で、あんな仕打ちをうける謂われはない。 むしろ真の理解者にこそ絵画を所有する権利があるともいえるだろう。
主犯に違いないビリーは自分の才能を認めてくれなかった バージルに恨みを募らせていて、虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのだろう。 機械工ロバートは「本物のクレア」の口述によると「映画関係者」ということだが、「カモにするための家探しが可能」という点で、これは額面通り受け取っていいのかもしれない。
そして「クレア」「管理人」もグル。 ビリーが彼らとどこで知り合ったかは、もう本当に想像に任せるしかないのだが、まあよくこんな手の込んだ芝居をうったもんだ。
バージルを夢中にさせたカラクリ人形は、偽物だと看破されてしまうので、本物なのだろう。 あの人形だけ残したのは、皮肉というかせめてもの手向けなのか。
例え偽りだったとしても、バージルが束の間得た幸せは得難いものだったに違いない――。 上記は「ハッピーエンド」派の救いを求めるような理由の根拠。 ですが、現実から逃避し、その偽物の思い出に閉じこもる事がバージルにとっての新しい「幸せ」だとは、やっぱり到底思えない。
「ホテルのように居心地の悪い家を、本物の家にして欲しい」 映画史上ぐっとくるプロポーズを決めたバージル。
ビリーの絵画を持って、まだ一縷の希望をもってプラハへ 赴き、「ナイト&デイ」で「連れが来ます」と告げるバージル。 切なくて胸に鉛が乗ったような苦しさを感じました。
ここまで書いて私はとんだ批判をしていると思うだろうが、映画の質は高いと思う。 ただ、受け手があまりにバージルに感情移入してしまうと、上質なクライムサスペンスから、救いようのない老紳士の破滅物語に転じる。
クレアは実はビリーの娘というシナリオで、最初は父の片棒かついでバージルを騙して絵画をごっそり頂いてしまったけど、最後に戻ってきて謝罪し、「これからは本物の女である、私を見て」と言ってバージルも納得するという勝手なハッピーエンドを妄想しましたよ。 エンドロールに入ったときに、本当にこれで終わりにしないで!と心中叫びましたよ。
本題に戻すと、バージルはもう少し「生身」の人間を大切にすればよかったのだろう。 30年間バージルがほぼ無関心だった秘書が最後に世話しているのを見て、一緒に過ごした年月というのが本当の信頼の証しなのだなと少しホロリときました。
人間とは、考えてみた
観る前から内容やオチは知っていたのですが、とても考えさせられました。主人公、ヴァージルの最後は自業自得だという人、意見も数多くありますが、本人が不幸だとは単純には思えませんでした。
まず、友人のビリーですが、彼には本当に絵の才能があったのか、いや、なかったのかと疑問に思います。
ヴァージルは鑑定士としては一流です、そんな彼が対等ではない関係の上で友人として繋がっていても、認めることはプライドが許さなかったのではないかと思うのです。
芸術、絵描きに対しての侮辱ではと考えたら頷けます。
ビリー自身にしても他の人間が認めても、彼が認めてくれなかったら意味がないのではないのかもしれません。
若い技師のロバートもです。
金の為ではないと言いながらオートマタを組み立てているときは本当に楽しそうでした、ヴァージルの恋の相談にアドバイスをする、若い友人達とでは共有できない濃密な時間だったと思います。
そして、クレア、偽りであったとしても彼がプレゼントしてくれた花やドレス、化粧品は本物です、愛したという事実も。
彼女の職業が物書きなら、彼と過ごした偽りの時間を小説の中で、かくも真実のように書いて懐かしがっているのではないか。
そんな想像をしてしまうほどです。
ヴァージルは善人ではなく愚かな人間だといえばそれまでですが、そんな彼を欺き騙した彼ら自身も愚かな人間です。
懐かしくなって、共有した時間を思い出し、もう一度会いたいと思っても、二度と姿を現す事はできません。
ときに、自分達のやったことを後悔するとしてもです。
コレクションの絵を手に入れたビリー。
でも、本物の絵に囲まれても彼自身が満たされる事はないと思います、自分には絵の才能はないのだと思い知らされるだけだとしたら、あまりにも酷です。
でも、そそれがわかっていて、このペテンを仕組んだのだとしたらどうでしょうか。
多分、そのときはただ夢中で、ただ、ヴァージルを見返したい為だけ、自分のプライドの為だとしても。
この点だけ、絵描きとしてのプライドというなら納得できる気もします。
技師のロバートは、本心からそうしたかったのか、騙している間、わずかながらも呵責は感じなかったのか。
クレア、最初から欺いていたとしても、本気で好きになってしまったなら、それを告白すれば幸せになれたかもしれません。
人を騙し犯罪者になったという事実が残るだけです。
見終わった後、そんな事を考え、映画とは違うラストの原作も読んでみたいと思いました。
原題のフレーズが出た時点でネタバレ
原題はthe best offer。
劇中そのフレーズが出てくるが、その時点でエンディングが読めてしまうのが残念。
変化してゆく主人公の様と、分かりやすく彼の性癖を映し出す描写は、単純かつ裏がなく深く考えずに観られた。
夜も昼も
これ、世間的にはドンデン返しの映画だという事を知り、ちょっとビックリ。
だって初っぱなから、おじいさんが謎の女に鼻毛抜かれまくりの話だったからなあ。
あと最初からドナルドが「何かやったるでオーラ」を出しまくっており、展開が読めるよう作ってあると思ったんだがなあ。(つうか、彼がキャスティングされてる時点で怪しさ満載。)
展開が読めるからツマラナイと言う訳では勿論なく、終点は何時来るんだ?という面白さがあった。
そして、これ世間的にはおじいさん可哀想、後味悪いっていう映画なんだね。まあ、感想は人ぞれぞれだからなあ。確かに可哀想な一面もある。
でも、冒頭でのおじいさんの哀れさ…秘密の部屋で美女絵画に囲まれて一人ウットリよりも、数段明るいラストじゃないの?とも思うんだが。個人的には『恋愛小説家』の荒療治版な感じだった。
人と触れ合うことを恐れ自分一人の世界に閉じこもっていた主人公。
人と触れ合えばそこに当然軋轢も生じる、傷つくこともある、だから彼は人間を避けてきたのだと思う。閉じこもったままであれば傷つかなかったのかもしれないが、そのままで本当に良かったのか…?
彼が、傷つくことを恐れずに自己の世界から飛び出して人との繋がりを求めたラストは苦いだけではないと思う。その「変化」がこの映画の胆なのかなとも思う。私自身が傷つくくらいなら別に変わらなくていいやと思ってしまう方だから、余計にその部分に反応したのかもしれない。
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ラストシーン、おじいさんは来るか来ないか分からない女を待っている。
「ナイト&デイ」という名前のレストランで。そのお店は、ゼンマイや時計がたくさん飾ってあってちょっと不思議な雰囲気だった。
日本でも有名な『夜も昼も』という歌を思い出した。
「時計の針が時を刻むように、私の心もあなたへの思いを刻み続ける」っていう甘いラブソング。
もしおじいさんが「純情なオレ、超かわいそう」と思ったままのラストだったら、本当に悲しくなるし怒りたくもなる。でも彼が、自己保身や自己憐憫や損得や見栄を振り切った彼岸の境地にいるのは、なかなか羨ましい限りだった。それでいて熱く胸を焦がしているなんて最高じゃない?
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追記:『夜も昼も』はいろんな人が歌っているがジンジャー&アステアの優しい感じが一番好きだ。
衝撃。
鑑賞後、2時間程映画館のカフェで放心してました。
さっきのラストは一体何だった?という思いに囚われ…
でも嬉しかったなー。思わず執着してしまう映画、久々!
今週もう一度観に行って、?なままの部分を確認してきます!
表面上は、他人をいいように操ってきた初老の男性がしっぺ返しを食らう、
じぃちゃん何とも救いようがないわ〜という胸クソ悪くなるようなストーリーです。
私も観た直後はそう思いました。
…が、映画の冒頭からラストまでの過程をよぉ〜く反芻してみると、
何てよく出来た、何でこんなの作れるの!トルナトーレさん!わぉ!
となり、人生って味わい深いわね〜という感想になりました。
この映画は観る人の経験値によって、かなり違う受け取り方になると思います。
私も20代だったら、本当にわかんなかっただろうなぁ〜。
追記
翌週、再鑑賞。?な部分をいくつか確認できました。全て分かった訳ではありませんが。でも、2回目も面白い映画でした。冒頭とラストの主人公の変わりように、愛の必要性と偉大さを感じます。たとえそれが偽りであっても。
後味悪すぎ
結末があまりにも辛すぎる 何の救いもないので、そういうのが苦手な人は避けた方がいいかも
ただ、ジュゼッペ・トルナトーレとエンリコ•モリコーネの名コンビは健在で、音楽、脚本、演出ともに完成度は高かった
あんまり好きなタイプの映画じゃないけど…
めちゃめちゃおもしろかった!
だんだん話が進むにつれ、加トちゃんの事が思い浮かんでしまいましたw
スクリーンの小さな映画館で見たのですが、できれば大きなスクリーンで、ラストは私も一緒に愕然としたかったな~と思いました。
壁を隔てた会話シーンが多く、音響の細かさも特筆の演出だなと感じ、新宿武蔵野館は音がとても良くて大満足でした。
エンターテイメント映画としては2014年1位決定かもしれません!気が早いですが!!
良き映画の後の切なさ。
本作は、主人公の対人間への傲慢な態度による復讐劇だ。
フェチを超え、気持ち悪いくらいの女性への偏見を持った
主人公のフィルムノワール。
あまりに悲しい結末は鑑賞時は想像以上であった。
しかし主人公の目線でなく、パートナーの絵描きの視点に合わせれば
見下されて過ごした人生は嫉妬や恨みが募っても仕方がないのだろう。
他人に対する態度、社内・街中でもほとんどの人に
人嫌いはあるが、配慮に欠けるところが
恨まれても仕方が無いのかなと思った。
凡人には、だ。
だが、当の本人にとって、人は信じられないもの。
そこを突かれ、見事にだまされた様は悲しいの一言だ。
鑑定士という鑑定の一流の目を見事にだまされた様は
滑稽なほどだが、老人であるが故に悲しい。
信頼をしていたロバート、ビリーにも
対等に話しつつも、どことなく見下しているところはあるし
感情が高ぶると容赦なく切りつける。
主人公に感情をいくら入れても、普通の人には
戒めを与えたくなるところがあり、
そういう人間の末路はやはりそれなりになるのだと
そう思い知らされるような映画であった。
ジェフリー・ラッシュの演技はとてつもなく存在感があり
クレア役のシルヴィア・ホークスの美しさは演出もあるが
決して美人ではないが、妖艶さが出て美しい。
鑑定士の映画に沿うように、美術品・そして洋服や
インテリアに至るまで細かい所まで配慮された美しい映画であった。
やはり、この監督は素晴らしい。
何もかもパーフェクト。さすが巨匠!!
【最初からネタバレです】
「ニューシネマパラダイス」「マレーナ」で大好きだったジュゼッペ・ベルナトーレ監督。今回の作品は過去の作品にもまして、ミステリー性、美術に関するオタク心をくすぐられた上に、「人間ってやっぱり哀しい生き物だけど、なんかいいとことあるよね」と思わせてくれるのが、ジュゼッペ監督の映画の醍醐味です。仕事で疲れ切った私へのフルコースのご褒美でした。
誕生日に一人でいる気難しい老人が、ラストシーンでは、「贋作にも真実がある」という自身の言葉を信じて、「ナイト&デイ」というレストランにあるの時計と歯車の向こうで、自分を騙した愛しい人を待ち続ける…。
なんて人生って素晴らしいんだろうって思ってしまいます(^^)。
また映画のそれぞれの「シーン」や「小物」もすばらしいです。最初に登場する潔癖症のヴァ―ジル専用イニシャル入りのグラスに始まり、ヴァ―ジルの宝物部屋、ヴァージルがクレアに関心をもつきっかけになったからくり人形の歯車、プラハの「ナイト&デイ」の時計と歯車などなど。
時間があれば、もういちど見たい映画です。
衝撃のラスト…後味の悪さが衝撃を上回る
もー、本当にいろんな意味で衝撃でした。
映画館で予告を見た時は、知的なミステリーで最終的にはおじいちゃんと若い娘が結ばれるのかね…くらいに思っていて、どちらかというと「知的」の方を期待していたのですが、とんでもない。
スタートこそオークションの裏側みたいなところはとても面白いなぁとおもいました。また、女性恐怖症のヴァージルが女性像の美しい絵画をオークションで安く落とし、コレクションをしているその部屋そのものの異様さが、この人物の屈折した人間像を物語っている気持ち悪さもとてもよかったです。
物語は人前に出ることを極度に恐る依頼人の依頼から始まり、ヴァージルを振り回しながら、二人の距離は縮まって行く。喧嘩をしながらも、クレアは美しくも気性が激しく気まぐれで、そりゃこんな娘に頼られたら勘違いもしますわ、特に初老のおっさんだったらこてっですね。
ただ、この物語の良いところは、ヴァージルのキャラがいちいちぶれない。もともと、鑑定依頼された美術品の中でも、自分の欲しいものは低い評価を下して、グルになっているビリーに安値で落札させるサギまがいの行為を繰り返しているヴァージル。クロエの家に行き続けたきっかけは機会人形の部品集め…。その部品を集めることを目的に最初は通っていたのでしょうね。
ヴァージルは完全にクレアにぞっこんになって、ドレスやディナーをプレゼント、クレアも好意を持つようになり…。そして、クレアが失踪をした時のヴァージルの狼狽っぷり…オークションも失敗だらけで、絵に書いたような恋に溺れた感じがすでに哀れでならないのですが…。
ヴァージルが何者かにクレアのお屋敷の前で襲われ救急車に運ばれるシーンではクレアが!なんと屋敷をでた!
いやこの時点でおかしなことは盛り沢山で、もう何が何だかわからないのです。襲われた理由がわからないし、何も取られてなっぽいし…。
そしてヴァージルとクレアは結ばれ、ヴァージルは最後のオークションへ。引退してクレアと悠々自適な人生を送ろうとしたのでしょうね。
ここからが、ドンデン返しの始まり!クレアは消え、収集した絵画も消えおうせ、失意にくれるヴァージル。実は、自信を評価することなく自信の画家としての人生を台無しにされたビリー(劇中で冗談めかして何度もふれてます)の大掛かりな復讐劇でした…と。
賛否は別れると思いますが、この話…騙された…で終わってほしかった。ここから先が本当に救いがない…。ヴァージルは警察の前まで行って警察に通報するのをやめて見たり、クレアがいっていたDay&Nightにいって、クレアを待ってみたり。Day&Nightが実在しなければヴァージルも騙されたで終わってよかったのでしょうが、中途半端に実在し、これがまたなぜかゼンマイ装飾の店…。「もうやめてー」と思わざるを得ません…。劇中で「愛は偽造できる」という話だったり、「どんな贋作の中にも必ず真作は存在する」という話だったりがありましたが、ヴァージルはクロエの愛だけは本物と思いたかったのでしょうね。
今まで自分しか信じず、たくさんの人を騙してきた報いといえばそれまでだし、そんな彼が人を信じることができた…という見方もなくはないですが、長年仕事を共にした友人に裏切られるは、生まれて初めての最愛の恋人にも騙されているは…。もう散々。
ミステリーとして見れば本当によくできた話だと思います。いや、フラグの立て方もうまいし、この結末…って思う本当にすげーって思いました…が、童貞男しかもおじいちゃんが若い子に入れ込んで財産を騙し取られる…でもまだ彼女を信じてる…何だか悲しすぎるというか、騙すならもっと騙されるべく悪い人にしてほしかった。いやヴァージルも普通に悪い人なんですけど…
後味の悪さがミステリーの凄さを上回った映画でした…
素敵な映画
邦題が初め気に入らなかったが…
映画を見終わって、邦題が素敵だなと。
映像と音楽は流石。
安心して見られる重厚的な作り。
ミステリアスな依頼人もとても美しい。
年老いた童貞が得た贋作。
贋作でも手元にあるからこそ幸せでいられる。
老人の切なさは、見る人の年齢によって重さも変わるだろう。
素敵な映画でした。
欲のある鑑定士と依頼人。
もしもこの依頼人が絶世のブスだったり(ゴメンなさい)、
あるいは屈強な肉厚男だったり(ホントすいません)、
まぁそういう部類だったら、こんなことには…という、
巧く描いてはいるけど、話としては大変ありがちなお話。
鑑定士にしてオークショニアの彼には、
隠し部屋に溜めた美女だらけの肖像画コレクションがある。
冒頭のこの行で、あーコイツはきっとやっちまうぞ。と、
私はすぐに思ってしまったけれど、普通はどうなんだろう。
タイトルの「顔のない」というところがミソ。
最後まで依頼人は姿を見せないかと思うと、そうではなく
後半からは頻繁に彼の生活に入り込んでくる。彼が愛し、
彼が認め、彼が許したのなら、それはコレクションと同じ。
しかし肖像画は動かないのに、人間は動く(爆)
精神病で部屋から出られない彼女が彼の徒労で変化する。
そして、生身の恋愛を知らない老鑑定士ならではの、
坂道を転げ落ちていく恐ろしい破滅に向けた助走が始まる。
確かに宣伝通りの面白さで、複雑に絡み合う?(でもないか)
登場人物達のラストでの収束は見事だ。
ただ奇想天外な話というのではないため、疑って観ていた
場合はその前に展開が読めてしまう。もう一度観たくなる
ためのカラクリを、おそらくは序盤から散りばめてあるので
そこを拾いたくなるというのは確かにあったけど。。。
終始、懸命なJ・ラッシュが大熱演。彼ならではの役どころ。
彼の恋愛相談に乗るJ・スタージェスもいい味を出している。
老人の恋愛にドキドキ?しながらも、この場面は何の為に?
と思いながら観進めていくと、ネタバレのあとが面白いかも。
立場違えど、オタク系の若者(生身のオンナを知らない)にも
通じるところがあるかな。2Dか3Dかっていう。
(観終えて思うのは、やはりカネかという事実。欲望の根源)
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