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こんな上映禁止レベルの、中身もスカスカな変態映画にモスクワ国際映画祭がどういう意図で賞を分けてくれたのか。
過去の受賞作、および過去のコンペ作品の横並びはしていないが、少なくとも本作においては、日本人は、こんな変態映画をコンペに出して頭おかしいので、受賞させて浮かれさせておいて、油断したすきに・・・・・、と思っててもおかしくない。
とは言いすぎかもしれないが、過去の日本の受賞作もやや疑ってかかる作品が多いのも事実。
熊切監督の映画は「鬼畜大宴会」「フリージア」「海炭市叙景」しか見てないが、特にひどいのが「海炭市叙景」で、このひどさは、北海道出身のくせして、北海道民を敵に回すような描き方だった。
とにかく、生活臭とかなんとか言っている割には、物語とまったく関係もなく、思わせぶりな絵ばっかり差し込んで、重要な心情はすっかり描き忘れるという有様。
本作「私の男」も、ものの見事にそんな作品。
思わせぶりなオープニングも、その効果が全然、びっくりするほど全然後半に活きていない。
確かに浅野忠信ぐらいだろう、いい男だが、利己的で気色悪さとすさみ感、そこからの、後半の疲弊感を出せるのは。
確かに二階堂ふみぐらいだろう、この役の、間違いなくキ〇〇イな感が出せるのは。
しかし、その役に彼らをもってしても、深みがまったく画面から浮かび上がってこないのは、びっくりするほど演出がおかしな方向にいっているからだ。
他の役者は全然箸にも棒にも掛からない。
高良健吾なんて、こんな役ばっかり。「上半身だけですよ」には笑ったが、「お前には無理だ」と言われて、本当に無理だったのはもっと笑ったけど、使い捨て感はなはだしい。
高良健吾、世之介がいいとは決して思わないけど、この人、思ったほど伸びねえなあ。
しかしまあ、今年騒がれた日本映画の期待外れっぷりはどうよ。
だが、それでも同じ変態映画の「渇き。」、バカ勢ぞろいの「そこのみにて光り輝く」のほうがまだほんのちょっとだけよかった。
それを言ったらおしまいよ、かもしれないが、この映画、原作がどうだろうが、この内容だと、はっきり言って、セックスシーンは要らない。