スノーピアサーのレビュー・感想・評価
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オレ、涙ボロボロ。。
「ノアの箱舟」というべき列車「スノーピアサー」には格差社会が存在し、前方車両に乗る富裕層から虐げられている後方車両の人々が革命・・・・・
じゃなくって!
前の車両に行ってみたいわ~、というだけでここまで超絶に面白い映画にするとは。
ポン・ジュノ監督なだけに、面白いのは初めからわかっている。それでも正直だれも撮りたがらないようなこの設定を韓国くさくなく、インターナショナルな作品に仕上げてしまうところがとにかくすごい。
先日見たパク・チャヌクの「イノセント・ガーデン」も面白かったが、それとの決定的な違いは、ハリウッドで、
「自分のスタイルを徹頭徹尾貫けた作品」と「スタイルをハリウッド型に装飾して、芯は自分のスタイルを通した作品」
であるか、どうかだと思う。
それはどちらが偉い、すごい、ではなく、「どちらともすごい」のだ。
日本は「テ〇〇〇・〇〇〇2~」、とか言ってる場合ではないんだが。。。
一両一両めくるめく世界、ある一両では「300」さながらの、スローアクション、あるいは三池監督大好きの閉所乱闘。近未来世界もいいが、一両クリアするごとに違った世界、展開が繰り広げられ、息つく暇はない。
本当に車両のキャラが立っている。車両の長さゆえのスナイプ・アクションもかっこいい。
さらにキャストも全員キャラが立っており、みんな見せ場がある。
韓国人親子はアジア人らしい立ち振る舞いで笑わせてくれる。
しかし、特筆ものは主人公のクリス・エヴァンス。
毎度毎度難しい、ポン・ジュノ監督作品の「主役」を見事にこなした。今までは「韓国人ならではの国民性あふれた人物の悲劇」という作品だったので、本作はそうではなくとも、比較的これまでと近い主人公像であるのは間違いなく、それをエヴァンスはきっちり演じきったと思う。
今回はこれまで続いていた「やるせない結末」から救いのあるものだと思っている。もちろんCGのシロクマ自体はアウトなのだが、ラストまでずーっと見せ場の連続で興奮させてもらい、笑わせてもらい、最後の決着はこれまでのジュノ監督作品の流れがあったのだから、CGであっても、俺はもう涙ボロボロ。。
これほどチープで救いのあるラストなんて見たことないぜ!
難点は子供教室の車両が説明過多な点。
このめくるめく映画マジックにしょうもない突っ込みや無理設定、ショボイCGなんて小さい、小さい!
もうすでに2014年のベストワンにしてもいいぐらい。
踏み出せ!飛び出せ!
スノーピアサーの「ピアサー」は、耳にピアス、のpierce。辞書を引いてみると、色々な意味がある。穴を開ける、突き刺す、突破する、突き進む、見抜く、洞察する…。ナルホド。原題そのままのカタカナ邦題なんて…と思ったが、これを超えるものは難しかったかもしれない。とはいえ、映画の魅力をダイレクトに伝える力は弱い。もどかしい。うーん…それはさておき。
とにかく贅沢なキャスト。ソン•ガンホにコ•アソン、『グエムル』のコンビ再び、が何といっても堪らない。ジェイミー•ベルの一途さや、オクタビア•スペンサーの肝っ玉母さんぶりも目を引く。ティルダ•スウィントンの怪演は言わずもがな。一方…正直、主役であろうクリス•エヴァンスは、前半ピンとこなかった。けれども、中盤の「世界最後の煙草」を吹かしながらのガンホとの会話で、印象はガラリと一変。なぜ彼は、リーダーらしく振舞おうとせず、どこかいじけたような態度でくすぶっていたのか。彼の抱える闇に、息を呑んだ。
最大の敵は、自分。自分の弱さ、ずるさ…。直視するにはおぞまし過ぎるが、そこから逃れることは出来ないのだ。また、理想のリーダーや絶対的な拠り所を探し求めても、そんなものは存在しない。本作は、非力を知りながらも、一歩踏み出すことの痛みと強さを、極寒の空気の中でじりじりとあぶり出していく。
そんな重たいテーマを扱っているとはいえ、やはりポン•ジュノ監督作品。ピリリとしたユーモアがしっかり効いている。様々な言語や文化が飛び交う車内、限定営業の寿司バー、明るく楽しく元気のよい教育の歪み、兵隊より侮れない薬物依存者たちのパワーなどなど…思わずクスリとしてしまうが、同時に背筋が寒くもなる。加えて、こんにゃくのようなプロテインタブレット、見聞きしたもの全てを活写する絵描き、車内でもてはやされる薬物など、さりげなく登場するアイテムの伏線が、後半ピリリと効いてくるところも巧い。
弱者たちが団結して革命を果たすことこそ勝利…と思いきや。物語は粗野にして美しい、壮大な結末へ着地する。がむしゃらに突き進むだけが全てではない。進む以上に勇気がいる、ある種アクロバティックな選択。行動を起こすには、鋭く広がりある視線が必要、と改めて感じた。グエムルで国家を、本作で世界を手玉に取ったポン•ジュノ監督。次なる獲物は、宇宙かもしれない。
車内で巻き起こる「祭り」にも似たカタルシス
列車は世界と格差社会の象徴————この構造を提示しただけでポン・ジュノの鬼才ぶりは証明されたも同然だが、さらに言うと、ぐるぐる回る列車がとある地点を通過すると年を越したり、これまでも17年にわたる走行時間の中で何度か新陳代謝とでもいうべき出来事が起こっているなど、この世界の中にはしかるべき記憶と時間も刻み込まれている。ただし、映画における「構造」というものは、堅持するかあるいは破壊されるかの二者択一で、カタルシスを伴う娯楽作では往々にして後者だ。
その結果、本作のレジスタンスは既存の構造を全て破壊しようとする。乱暴に言ってしまうと、そこに伴うものこそ「祭り」だ。「御柱祭り」に始まり、「暗闇祭り」、それに「お正月」や「聖火リレー」まで盛り込む発想力。しかも列車には神様まで鎮座する。この極限世界でこれほどの祭りを描き上げることなど常人には真似できない。この時点で私は興奮が収まらないのである。
ちょっと苦い
英語圏の俳優を使い、英語メインの映画を、韓国人監督のポン・ジュノが、作ったー(世界ウルルン滞在記の下條アトム風に)。けっこう有名な俳優がたくさん出演してるので、画面が豪華である。中でも、エド・ハリスの瞳の色がきれいで、思わず見惚れてしまった。役柄ではえげつない人物なんだけど、あの瞳で語られると、なんだか従ってしまいそう。ああ、青い瞳が欲しい。
設定は面白いと思う。細かいところが気になる質なので、エンジンの動力源とか、富裕層の資金源とか、食材の完全自給が本当に可能か(プロテインバー…げろげろ)とか、疑問は出てくる。が、展開が早いし、セットの作り方が上手いので、次々に広がる車両の世界観に引き込まれていく。ただ、バトルシーンはもう少し抑えてもいいかな。ちと長い。
人間の生来ある残虐性と、真逆の善性を、引きで見た表現で描こうとしているように感じた。ラストに希望がありそうだけど、サバイバル経験も武器もない子どもが生き残れるのか、決して明るい未来とも思えず…。鑑賞後の後味がいいわけではないけど、やはり記憶に残るので、ポン・ジュノは観る人の心に爪跡を残すのがうまい。あと、この作品のソン・ガンホは、髪型のせいか今までで一番かっこ良かった。雪のひとひらを目で追うところは、とても詩的だったわ。
スノーピアサーって、雪の中を突き進む的な意味なのだろうか。長く長く連なる車両が走る姿が、なんか針とか金属の棒のように見えて、刺されたら痛そうだな、なんて思ってしまった。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
「格差社会、階級社会に対する怒り」だけで突っ走る暴走列車型直情映画
地球温暖化の改善の方策をやりすぎちゃって氷河期に突入した地球。外の世界ではほとんどの生物は絶滅し、生き残ったのは列車の中の人間と生き物たちだけ。まったくなんてことをしてしまったのでしょうか。人類絶滅の危機を描いたフィクションはたくさんありますが、その中でも最悪に愚かな設定です。しかし天才実業家ウィルフォードさんの作った永久列車のおかげで少数の人類が生き残れました。ただしいくつか問題があります。
・なぜかこの列車は永遠にぐるぐる走り続ける定めである
・外は寒いので出られない
・中は階級社会で格差が激しい
・列車内の秩序は銃と暴力で維持されている
・最下層の人たちは食料がなく共食いが発生、子どもを守るために善意ある大人は自分の手足を差し出す
・プロテインバーという食料の配給制が始まり共食いは終わる
・子どもはさらわれ機械の代わりに
堪忍袋の緒が切れた最下層の人々はついに立ち上がります。彼らの目的は列車の最前列まで到達し、ウィルフォードさんを殺し聖なるエンジンを奪うこと。まさに暴力革命です。主人公たちは敵味方双方に多大な死者を出しながら先頭車両めがけ突っ走ります。そんな彼らは一度走り出したら止まれない暴走列車のようです。暴走列車in暴走列車。ソン・ガンホのように、もう少し外をよく観察して、もう少し辛抱強く待てば、寒冷化が和らいだ地球にみんなで降り立てたのではないでしょうか。彼らの暴力革命は結果的に「社会の真相」を暴くことには成功しますが、列車は脱線し壊滅的なカタストロフィを招いてしまいます。
現実世界において、私たちは革命後の世界のほうがもっと悲惨である可能性を学んでいます。もし本作の暴力革命が成功したとしたら、支配層の白人たちが今度は最後尾に押し込められ、被支配民だった革命の戦士たちが支配層として支配する、革命戦士たちも総括と粛清を繰り返す、そんな人間の愚かさも描けばより深みが増したのでは。
監督が「虐げられた者たち」に寄り添い、「格差社会、階級社会に対する怒り」を描きたいのはよく分かりますし、そうすれば観客もそれなりに入るのでしょう。でも映画として面白いかは別です。本作はどのシーンにも既視感を覚え、新鮮味は全く感じられません。いろんな過去の映画で観たことのあるシーンばかりのような気がします。新鮮なのは設定の馬鹿らしさだけでした。
ラストで生き残った二人の子ども。彼女らは新世界のアダムとイヴなのでしょうか、それともシロクマの餌になるのでしょうか。愚かな人類はなにかやるたびに状況はますます悪化していく。監督の描く人類に明るい未来はないようです。
ポン・ジェノ色が濃い作品
BS松竹東急 よる8銀座シネマ「鬼才に喝采!アカデミー賞受賞監督ポン・ジュノ特集」で鑑賞。地球温暖化、格差社会、強烈なバイオレンスが列車の中に詰め込められておりとても見応えがありました。ハリウッド作品だからこそのポン・ジュノ監督意欲作だと思います。幾多の名優が出演していますが、特にクリス・エバンスとソン・ガンホの絡みはファンとして嬉しいですね。
あっけなく死んでいく仲間たち 個性強すぎる敵の皆さん だがそれぞれ...
凄くリアルな銀河鉄道999って感じか?
この世界観。
とても好きにはなれないが、まあ良しとして、いちおう最後まで見てみました。
独特の表現に、ついていけない人は少なくないと思う。
例えば、「マッドマックス 怒りのデスロード」
あれを受け付けなかった人にはきっと、ダメな部類の映画だろう。
系統が同じだ。
砂漠で、今の文明が滅び、独自の価値観で、生存の欲求のために戦いが繰り広げられるストーリー、砂漠と氷河。対極にある作品世界とはいえ、両者は良く似ている。
なぜ、マッドマックスはあれほど高い評価を受けたのに、この「スノーピアサー」は不当に評価が低いのだろう。
舞台が列車、独特の世界観で、科学的な裏付けは一切なし、一本の筋道では破綻しているストーリー、という意味では「銀河鉄道999」とも共通点が多い。
「999」は多くの少年少女に夢を与え、希望をもって生きることの大切さを教えてくれた。一見奇抜とも言える大胆な設定も、ロマンの名のもとに愛され、何より鉄郎とメーテルという不滅のキャラクターを生み出した。
「スノーピアサー」
・何故列車なのか?
・どうやって走り続けるのか?動力はともかく線路や鉄橋などの保守点検は?
・列車の中で行われる暴動と鎮圧の目的や手段は?
・後付でどんどん付け足される戦いのルール「トンネル暴動鎮圧作戦」
・エンジンの「部品」として生き続ける子供たちの意味は?
・神様エド・ハリスの一見深遠にして浅い、無計画なのになぜか保たれる秩序
・絶望の中から這い上がってきたクリス・エバンスの闇すぎる過去
いちいち説明などいらない。それを含めて作品世界を愛せれば、きっとラストには大きな感動が得られる。
「999」のように(笑)
2016.6.19
鑑賞動機:ボン・ジュノ/ソン・ガンホ10割
好みの作品
設定は面白い。設定だけ面白い。
地球に氷河期が再来。
生き残った人類は列車「スノウピアサー」での生活を余儀なくされていた。
スノウピアサーはバリバリの階級社会で、最下層民は虐げられている。
主人公は支配者層に反旗を翻し、革命を目指す。
面白そうですね。
でも、面白いのは設定だけでした。
以下、駄目な点の箇条書きになります。
(1)設定を支えるSF考証があまりにも弱い。
まず人類がスノウピアサーで生活する意味・根拠が一切ない。
列車を動かす膨大なエネルギーが無駄じゃない?等の数々の疑問には一切答えないスタイル。
全部は無理だと思うけど、SF周りの説明や補強一切なしはあまりにも男らしい。
(2)序盤から温めに温めた「子供の末路」
ずっこけました。くだらなすぎw
(3)意味のないシーン、意味がわからないシーンが多い
魚を斧でかっさばくシーン→なにあれ
入れ歯のシーン→唐突すぎて笑った
敵味方が蘇る、敵の背中に翼が生えている→なにあれ、考察しろってこと?ノーサンキュー
(4)ラストシーンがありきたり
どこかでみたようなラスト
===============
ストーリーの骨子は本当に良いんですよ。
人類が滅んだ世界で爆走する列車スノウピアサーという存在にはワクワクするし、
スノウピアサーが階級社会であること、主人公が上層を目指すうちに真実が明らかになっていくのもすごく良い。
ただし、これらは2時間で消化できる内容ではなかった。
結果、それっぽいシーンをそれっぽくかき集めただけの映画になってしまった。
映画向きの題材ではなかったと思います。
2時間無駄にしました。
見ないほうが良いです。
設定が極端だけど、それは当然狙った部分
地球温暖化を阻止するために世界中の頭のいい人達が7年間も議論した末、散布されることとなった「CW-7」。ところが量を間違えたのか、温暖化から一気に氷河期みたいな状況に。生き残った人類は、それまで変人としか思われていなかったウィルフォードが敷設していた世界一周鉄道で回周しながら絶滅を免れることになった。
この、偉い人たちが決めたことややったことで大変な目に遭う、という図式がほんと好きですね、ポン・ジュノ監督。
原作のすごいところだと思うが、鉄道という乗客に「等級」をつけていたシステムがそのまま社会階層の序列を現すような状況を生み出した後に起こる諸々が、いかにもポン・ジュノ監督の好みそうなものではある。きっと他の監督や製作会社でも映画化の企画を持っていただろうに、結果的にポン・ジュノに落ち着いた理由はきっとあるはずで、そこも興味深い。
今回2回目の鑑賞だったが、1度目の鑑賞時は正直「はあ、そうですか」以上の感想をほとんど抱かなかったのだが、今回は何故だかとても面白く観れた。上流・中流階級の人々にとって、最下層の人々は食料や水以下って感じに扱われて、いや、そもそもいるとも思っていないのだろう。それでもなぜか全員殺さないのは他に理由があったりで、とまあ、社会の縮図を列車の連なりの中に描くのは当たりだったな。
権力を表象するための食べ物=日本食、は韓国映画やドラマではよく出てくるので注目。まあそれも、ステーキにはかなわないわけだが。
水族館ならぬ寿司族館
化学薬品の散布により氷河期に突入した地球。
生き残ったものたちは一つの電車に乗り込んだ。
前方車両は上流階級、後方車両には下層の人間たち。
日々上流階級の人々に酷使されていた下層の人間たちは車両を乗っ取りより良い暮らしを手に入れるため、先頭車両を目指す。
ポン・ジュノ監督のハリウッド作品。
化学薬品散布で…ってのもグエムルっぽい。
ソン・ガンホ-コ・アソン親子もグエムル以来2度目。
ポン・ジュノにしてはあまり評価が高くないので、期待値低めでしたが、普通に面白かった。
ただ、ツッコミどころはかなり多い。
反乱は何度も起きているらしいし、起きることが予測できるのにセキュリティガバガバだったり(これに関しては後から何故か分かるが)、翻訳機も使ったり使わなかったり、人種のバラツキもおかしいっちゃおかしい。
未来科学SFともなると、多少アラが出てきてしまうのはしょうがないかなと。
ノーランくらいじゃないと完璧には作れない。
プロテインバーの中身は日本人にとってはオェかもしれないけど、国連も注目してるように欧米では既に一般的な高タンパク源なので、(当時は意図してなかったかもしれないけど)ナイスですと言いたいです。
途中の子供たちのところあたりはブラックコメディっぽかったけど、アクションシーンは緊迫感がえげつなく、重苦しい感じは守っているハリウッド韓国映画。
やはり日本の話題が出てたので少し↓
・熱心な仏教徒設定⁉︎
・チッキショ
・sorry. 大丈夫です?大丈夫👌
・寿司を食べてる欧米の方々があんまり美味しそうではない
気候変動、環境問題、人口爆発、食糧危機、格差社会、戦争…etc
線路は続くよどこまでも。電車は人生であり世界であり。
氷河急行を使って、様々な社会問題を一つの箱に収めた発想力と力量は素晴らしい。
モヤモヤする終わり方だったけど、CGや世界観もそこまで気にならず楽しめました。
凍結した地球において、人類最後の生き残りが永遠に走り続ける列車で生...
予想よりはだいぶ良かった ※重大なネタバレはなし
Gyaoでやってたので、またクソみたいな映画見せられるかと思ってたんですが(無料で見てるくせに酷い言い草)、予想よりずっと良かった。ポン・ジュノが『パラサイト 半地下の家族』で受賞したことを記念して、Gyaoでポン監督作品を一挙公開中とのこと。
自分は『パラサイト』よりこっちの方が好きかも。あちらの方が出来が良いのはわかるんですが、ストーリーとしてはどうもねぇ。自分がアグレッシブな映画が好きなせいもあるでしょうが…
自分はクリス・エヴァンスの演技が結構好きなんですが、本作では特に良い演技してまして、見て良かったです。ただ設定的に、主演クリスは正直ミスキャストだったと思うんだよなぁ。
本編は1分20秒くらいから。それまでは黒地に関係者の名前がつらつら出てくるだけです。1分飛ばしても黒地だったので、2分飛ばしたら始まっててヽ(`Д´#)ノ ムキー!!ってなったので、最初からちょっと見る気は失せてた。のに最後まで見たから、面白かったんだと思います。なお、途中で止めて何度もお茶飲みに行ったりはしました。
あらすじ:
温暖化が進んだ2014年。これ以上の気温上昇は危険と判断した先進国は、7年にも及ぶ大論争の末、環境保護団体や途上国の反対を押し切り人口冷却物質CW-7を一斉に大気圏上層部に散布。ところが散布直後、地上は一気に凍り付き生物はほぼ絶滅、走り続ける列車スノー・ピアサーの中以外はとても生物が住める環境ではなくなってしまった。列車に乗り込んで生き残った人々は、抽選で決められた格差を守ることを強要される。先頭車両が、列車の所有者であり列車を永久に走らせるためのエンジンを管理するウィルフォード個人の部屋、その後ろが富裕層の車両、給水車両、貧民の食べるプロテインバーを作る車両、そして最後尾には貧しい人々が詰め込まれ、生きるか死ぬかの毎日を強いられていた。そんな生活を脱するため革命を企てたカーティスは、仲間達と共謀してウィルフォードを倒し、エンジンをジャックすることで格差を無くそうと試みるが…
CW-7、全世界で7年にも及ぶ大論争の末撒いたのに、散布直後に「地球は凍り 生物は絶滅した」って字幕出てきて思わず鼻水噴き出すかと思いました。7年話し合ってこの失態ヤバすぎんだろww
7年ですよ!?専門家だって当然集めたでしょうし、7年もあれば研究も色々進んだでしょうし、全世界の頭脳集めて7年話し合いですよ??1時間に1単語しか喋れない呪いにでもかかってたんか???
それに線路も、整備してないのにヒビ割れもなく、落石も凍りもせず7年間も列車走り続けてるって…どうなっとんねん。
プロテインバーしか食うもんない貧民達も、めちゃくちゃ元気そうです。痩せた人もいるにはいるけど、絵に描いたような健康体の方々が多くて笑ってしまった。カーティスなんか、もはやそこらの一般人よりよっぽど栄養摂取抜かりなさそうな体型してるし。
ウィルフォードも「好きなだけ泣くといい」とか言いつつ10秒もしないうちに戻ってきて、いや好きなだけ泣かせろよwwとシリアスなシーンなのに笑ってしまいました。お前の「好きなだけ」って10秒もないのかよ…話しかけてくんじゃねーよ泣いてんだろ今…
とまぁ、そんな感じのめちゃくちゃユルい突っ込みどころは色々あるんですが、伝えたいことを伝えるために作ったような作品なので、細かいところは気にしないでおきましょう…あれ、この台詞『パラサイト』の時も書いたような…
原作はフランスの"Le Transperceneige"というグラフィックノベルだそう。日本でいうライトノベルみたいなもんなのかな。ラノベほど若者向けっぽいチャラついた感じはありませんが、文学作品というほどでもない感じ。
監督がポン・ジュノとはいえ根っこは原作の流れを汲んでるでしょうが、書き換えがどのくらいなされたのか…脚本はポン・ジュノと、原作者とは別の人、2人で担当したようですが。
原作の主人公はヒョロガリ設定だったそうで、話の内容的にもその方が圧倒的に説得力あったのにと感じるシーンがちらほら。何で主演クリスにした????
本作が2013年で、『アベンジャーズ』(2012)の翌年公開なので、どーーーーしても今流行りの俳優使いたい、でも設定がヒョロガリ…あっ、極寒の設定だし厚着させちゃえ☆っていう安易な考えのせいで、ムッキムキの無敵感漂うマッチョが何か割とチョロく先頭車両まで行ったなって感じの話になってました。そもそも顔がイカつすぎて厚着させたから何だっつーんだよ!!面構えがもう100万馬力だよ!!!!
行けるでしょうね、貴方なら。って割と白けた感情が湧いてきます。卑怯なヒョロガリ君が何やかんやあって、ラストでそれやったら自分がヤバいとわかってるのに勇気を出して他人のために動く!ってストーリーだから感動するんでないの?
監督は最初クリスの起用に消極的だったそうですが(見た目的に)、繊細な演技ができるとのことで踏み切ったそう。そりゃあの見た目じゃ起用に消極的にもなるわ。
最初ヒョロガリ設定だったと言われなきゃ全然わからないし、むしろ「外界では軍人でした」「一般人の首なんか素手でへし折れます」って設定でもおかしくないくらいの強面。弱音吐いても何かゴリラ(?)。
だから~~~、俳優の持つ雰囲気って大事だよねって『コラテラル』のレビューでも書いたじゃ~~~ん!!!(知らんがな)
クリスのために多分どっか書き換えたんじゃないかと思うくらいには良い演技してたんですが、如何せん「ヒョロガリ設定だからこそ映えるシーン」がそこかしこにあって、見てる最中「このシーン、ヒョロガリが演じてたらしっくりきたんだろうな、泣けただろうな…」と考えてしまい、元がヒョロガリ設定だったと知ってると余計ゴリマッチョで台無しやんけと感じることしばしば。
しかし『PUSH 光と闇の能力者』や『ギフテッド』の時も思ったけど、クリスは本当に子供好きなんですね。子供相手に話してる時、完全に目元とろけてる…笑
そして子供関連の悲しいストーリーに弱いのか、これマジ泣きでは…と思われるシーンも。鼻水拭いたろか?
『ギフテッド』の時もそうでしたが、子供が泣いてたり、子を想う親、みたいな話に極端に弱い模様。感激屋なんですかね。凄いロマンチストですぐ泣くと本人も言ってましたが。
作中で子供はそこまで酷い仕打ちされてるシーンはありません…いや、充分酷いけど、グロくはない。でも、現実だったらこの程度じゃ済まないよなーと。プロテインバーさえあれば、最後尾だって秩序保ってますからね。プロテインバーだって1人1本なのに、パクるために人殺したりもしないし、レイプもないし、普通に子供産んでるし(どこで子作りしたんや…)想像よりびっくりするほど穏やか。
本作はPG12ですが、食人エピソードがあるので多分その辺かな。「この監督は大体どの作品にも生々しいエロが入っててウンザリする」とどっかのレビューで見かけたので本作も…と覚悟してたんですが、本作にはエロは一瞬もありませんでした。精々「最後に女抱いたのいつ?」みたいな下世話な話が出てくる程度。PG12じゃこんなもん…なのか?
あと、殆どの人が最もヤベーと思うシーンは38~39分辺りの「プロテインバー制作秘話」。大量のGキBリが(多分)出てきます。自分はヤベー臭いを感じ咄嗟に目を背けたんですが、最後尾の人々が食ってるプロテインバーの原料わかるかな?のコーナー☆で、カーティスが窯の蓋を開けると……ウジャジャジャジャジャジャジャ…って音がしてたので、多分尋常じゃない量のGが…ウワァァァァァァΣ(゚д゚lll)
いやぁ、もっかい見返す度胸はないですね。カーティスがウハァッ!!?って飛び退いて口抑えてたけど、そりゃそうなるわ。むしろ自分だったら吐くと思う。流石にCGだと思いますが…ていうかそうであってほしい。
ところでポン監督だから韓国俳優いっぱい出てくるかと思いきや、予想より全然でした。まぁスノー・ピアサーが「ノアの箱舟」をモチーフとした列車なんで、色んな人種・国籍で集めたんでしょう。その割に黒人はほぼおらんが。韓国人親子が重要な役ではありますが、それだけ。
ただ、韓国人親子の父が英語喋れないので通訳機を使うんですが、これが出てくると途端に場の空気がマターリ…何でわざわざ英語喋れない設定にしたんだろ。原作もそうなのか?
俳優自身も英語は得意でないのか、ネイティブと英語で台本読み合わせするのは難しい、緊張したとインタビューで答えてました。
ちなみに父親役は『パラサイト 半地下の家族』で半地下の父親役だったソン・ガンホ。雰囲気は全然違います。
こうして比べるのは悪いと思いつつ、ハリウッドでじゃんじゃん出てる人や何度も主役張る人ってやっぱ上手いんだなぁと。クリスが目を引く存在感を放っていて、実はすんごいキャラの濃い富裕層役でティルダ・スウィントンも出てるんですが、こちらもふざけてるんだけどなかなかの存在感なんですよね。
で、ソン・ガンホは韓国ではかなり有名だと思うんですが、こちらは重要な役どころにも関わらず、あまり印象に残りませんでした。クリスとソンが話してるシーン、クリスは凄く良い演技してるんですが、ソンが…温度差すげーよ?どうした?笑
やっぱクリスの演技、個人的にはうまいと思うんですけどねぇ。世間の評価はあまり芳しくないですね。前もどっかで書いたけど。
あとは、前方車両の連中は煌びやかな格好してるんですが、後方は薄汚れた顔、服の人しかいなくなる上とにかく画面が暗いので、そのせいもあるかも。暗い色の服着て薄汚れた顔してても、クリスは瞳が目立つんですよね。これで髪も瞳も茶や黒だと、本当に目立たないと思います。有色人種はやっぱハリウッドでは損なのかなぁ…
撮り方はやはり『パラサイト 半地下の家族』の雰囲気を感じます。同じ監督だからそりゃあねって話なんですが、見せ方に結構個性が出るもんですね。今まであまり意識したことなかったんですが、「あーこないだ見たな」と思うくらいには同じ雰囲気を感じました。
否定的な意見の多いラストは、キリスト教圏の人々的にはアダムとイブのつもりなのかなと。
温暖化の被害者の象徴として、また人間も頑張れば生き抜けるって意味で白熊を出したみたいだけど、どう考えても世間といったら列車の中しか知らん、Gプロテインバー以外の食事も知らん子供だけじゃ生き抜けないでしょうね。残念でした。バッドエンドです。
ウダウダ語りましたが、序盤の「CW-7撒いたら氷河期がきて殆どの生物が絶滅した」っていう命懸けのコントが面白すぎて、ここが一番記憶に焼き付いてます。
格差は富裕層が良い生活し過ぎてて、もうちょい貧富の差フラットにできたろとしか言いようがない。知恵を出し合えば皆がそこそこの生活できそうな、割と良い機能や道具も揃ってるので、フラットにしても結局奪い合うほどの貧乏にもならなそうというか。貧民連中だけであれだけ賢いのが揃ってるなら、皆で仲良くやってれば全員で安全に外に出る案も出ただろうし、何であんなことになるのか…
「所詮自分が良い生活するためなら他人を犠牲にするのが人間なんだー!」って話にしたかったのか知らんが、それが本質なら人類とっくに死に絶えてると思いますけど。
もちろんこれは列車内の限られた人数だから言えることで、現実はそう簡単じゃない!それを象徴する映画なんだから細かいとこ突っ込むなよ!列車を世界の縮図だと思って見ろよ!ということなんでしょうが。
あと真面目な顔して見てたのに「へっ?」と思ったのは、謎の魚踏んでカーティスがつるんっ!と見事な横滑り&転倒を披露するとこ。笑うとこなのか?アレ…目が点になりました。
これ笑うとこなのかな、とちょいちょい半端な笑い所がありますが、Gのシーンさえ避けられれば一度は見てみてはと勧められる作品。
周りの評判より好きだった
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