劇場公開日 2014年7月25日

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GODZILLA ゴジラ : 映画評論・批評

2014年7月22日更新

2014年7月25日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

リブート作品としては、非の打ち所のない完璧な出来

怪獣映画のエッセンスをギャレス・エドワーズ監督が甦らせた快作だ。黙示録としての54年のオリジナル「ゴジラ」に回帰しつつも、新たなゴジラ像にも敢然と挑戦しているのがすばらしい。

原発事故、大地震、大津波と「ディザスター映画」としての側面があるが、これら日本でタブーとされた社会的事象に、しっかり切り込んでいるのがいい。

人間は自然をコントロールしていると傲慢にも考えているが、それは逆だ。圧倒的な大自然の前にはなす術のない人間の無力さと、その大自然から生まれた巨大な脅威であるゴジラを思う存分描いている。西洋文明では人間や自然を創ったのは「神」であるとされているが、そういう意味で本作が西洋の文化圏で創られたのがすばらしい。ゴジラこそ、大自然が生んだ「怒れる神」であるからだ。

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リブート作品としては、非の打ち所のない完璧な出来映えである。ブライアン・クランストンがいい。それにもまして、アンディ・サーキスがモーションキャプチャーで演じたゴジラがたまらない出来だ。ゴジラファンにはうれしいことに、まるでぬいぐるみを着ているように見えるのだ。

敵の怪獣ムートーがなかなか強くて好敵手になりえていて、怪獣対決はスリル満点だ。このムートーの電磁波攻撃はいい設定だ。人間社会が真っ暗な旧石器時代に引き戻されてしまう。人類の無力さが浮き彫りにされる。

だからこそ、ゴジラの「最後の咆哮」には猛烈なエモーションがある。その咆哮を聴くだけで、入場料金の元は取れる。ゴジラの重量感・巨大感を満喫するためにも、なるべく音のいい映画館の大画面で、ぜひゴジラを「見上げて」ほしい!

サトウムツオ

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