風立ちぬのレビュー・感想・評価
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メカおたくの本領発揮!これぞ宮崎映画(わかる人なら)
低い評価が多いのに意外ですが•••、
いやー、久しぶりに監督らしい作品です。機械文明のもたらす残酷さ、それを駆使できずに破滅をもたらす人間の愚かさはすでに「未来少年コナン」から始まる巨神兵やらラピュタやらとかで実証済み。
••• 本来、この人、緻密な機械の絵を描く(描きたがる)職人です。機械(あるいは道具、建築)にまだ美しさが残っていたあの時代への強烈な憧憬、それが本作に込められた監督の想いのひとつだとも思います(あるいはそれだけかも笑)。
近年の「無条件に、お年寄りから子供まで楽しめる」自分の作品に、たぶん少し嫌気がさしていたのかもしれませんね(笑 )(お許しください、それでも戦争の生々しい描写や残酷なシーンはいっさい出てきませんので大丈夫!)。
••• 「紅の豚」がロマンとノスタルジアとをテーマにしたほのぼの作なら、本作は飛行機に技術と機能の美しさを追求した男たちの熱いドラマであります。
貧しい日本が、世界に劣っていた日本が、自信にあふれる戦闘機を創り出す夢を見た男のロマン。僕はべつに、反戦映画でも、ラブロマンスでもないと思う。(ごめんなさい)純粋に楽しめた。子供じゃあ、まず無理だろうなあ•••。
••• ちなみに、避暑地にいた変なドイツ人は実在の多国籍スパイをモデルにしているのでご確認してみてください。(不要な情報)
好きです
否定的なレビューが多い事を承知で観に行きました。
冒頭の夢の中の風景が簡略的でポニョっぽかった事、そして二郎の第一声を聞き[あれ?やっぱりハズレだったかな。]と感じつつも観続け..十数分後には作品の世界に深く入り込みました。いつの間にか、という感じです。
二郎の声は、私はキャラクターに合っていたと思います。優しげで朴訥としているけれど、強い信念があるから周りの些細な事には構わないという様な性格がよく現れていました。
内容は、宮崎監督からの[現代の日本を生きる人たちへの応援]に感じられました。
国が貧しくても、政治が上手くいってなくても、将来が見えなくても、財政が厳しくても、夢を見て努力して真剣に人を愛して、[生きねば]。
もっと若い頃に(小学3年生位で)この映画を観られていれば、もっといろいろな事に頑張ったかもしれない..
設計士に限らず、どんな人の人生もピークと終わりがあって。
意識するにしろしないにしろ、20台半ばから30台半ばの10年に最大の成果が得られるとしたら..
無為に半分過ごしてしまった自分を歯痒く思いながら観ました。
若い人に観てほしいです。
最後に..二郎がかっこよかったですよ。
さらっと[学校が本郷の方で]と言ってました。笑
菜穂子も、健気で芯が強く愛に素直で、素敵でした。
2人の関係はまるで文学作品のよう。
[二郎の菜穂子に対する愛情が感じられない]とレビューしている方もいらっしゃいますが、そうは思いません。
菜穂子が喀血した報せを聞き走って会いに行く様、ベッドに横たわる菜穂子に駆け寄る様、図面を引きつつ片手を握る所..
たわいもない会話にも、深い愛情が感じられました。
悲しい別れが待ち受けていても、いるからこそ、一緒にいられる一瞬一瞬を輝かせる2人に憧れました。
僭越ながら、最高傑作です。
言葉で理解する前に、とにかく「感じて」欲しい映画です。
登場するのは・・映画史上最高に、一切、自己弁護しない主人公。
むしろ作者は、彼を否定すには格好の材料を映画全編に散りばめています。
言語的な理解能力に富んだ方は、そっちに目が行って酷評に繋がるのかも知れません。しかし、こんな描き方自体、映画史上類を見ないものです。
彼が多くを語らないのに、本来、目には見えないはずの、風や、ざわめき、わくわく感、ドキドキ感、虚無感、絶望、悲しみ・・私には、それらが目に見えたような気になりました。
どうしても、宮崎さんには時代へのメッセージみたいなものが求められて、「生きねば」という言葉を発せられてますが、この映画にあるのは「生きねば」ではありません。
とてつもない悲しみや、救いようのない空虚を突きつけられても、それでも人を生の衝動に駆り立てる、言葉にならない何か。静かな映画の奥底から、そんなものが迫ってきました。
そもそも、世界的名声が確立した72歳の巨匠が、クリエーターとしての人生を全否定するような要素を持った作品に対して、とてつもない労力で、まるで少年のように大好きな飛行機を描き、初めて大人の男女を描き・・その情熱の源を言葉で説明するのは、ご自身でも無理なのではないでしょうか?
未来少年コナンに夢中になったのが、小学生。中学生で、カリオストロ。高校生で、ナウシカ。ラピュタ。。私も40代のいいオッサンになって・・・まさか72歳のご老人から、こんな贈り物を頂くとは思ってませんでした。
誠に僭越ながら、最高傑作です。
爽やかな風を体全体に浴びたような気分です^^
宮崎駿監督は本当に自分の好きなように、本作を作られたんだなあと感じました。豚は一切出てきませんし(笑)、客を喜ばせようというシーンも全く出てきません。
ただ二郎が、ゼロ戦を作り上げるまでの過程が淡々と描かれているだけです。しかし僕はそんな世界をもっと見ていたかった、爽やかな風をもっと浴びていたかったと思ってしまいました。
本作で描かれる二郎は、監督ご自身の姿だと思います。二郎も監督も非凡な才能を持っておられます。そのために、二人に求められるものというものは大きくならざるを得ない。おそらくそれは、周りがそこまで求めなかったとしても、自分の意識がそれを求めてしまうようなものだと思います。
そんな二人(二郎と監督)には普通の生活を送ることはできません。二郎は菜穂子と一緒に療養所に行きたくても行けません。菜穂子は一緒に療養所に行きたいとはいいません。それはなぜか。もし一緒に行ったとしても、そこにいる二郎は菜穂子が愛した本来の二郎ではなくなるからです。やはり二郎はゼロ戦をつくるしかないんです。それが二郎だからです。
二郎にも葛藤はあるはずです。妻のためにはこれではだめなんだ。しかし自分にはこうすることしかできない。菜穂子の体にとって最善ではないかもしれない。しかし二郎と菜穂子の関係においては、菜穂子に側にいてもらうあの形が最善となってしまうのでしょう。
二郎ほどの人間であっても、やはり一人ではゼロ戦はつくれない。菜穂子が自分を支えてくれたからいい仕事ができた。本作は、監督がご自身の奥さんに向けてつくられた映画なのかもしれませんね^^
劇中に出てくるもの全てが美しいです。人も自然も人口造形物もなにもかもが美しい。潔い。真剣さを隠すレトリックも全くありません。醜さも派手さも全く用意されていません。
僕はスポーツやマラソンを見ているような感じで、本作を見ていた気がします。監督の人生を感じながら、僕はそれに自分の人生を重ね合わせたり、振り返ったりしながら…
妻への感謝の気持ちと、「いろいろあったけど、俺頑張ってきたなあ」そんな気持ちから、監督は涙されたのかなあと思いました。
実際の人生は、映画やドラマのようなシーンはほんの一部分で、それ以外は本当に淡々としていますよね。でも、その淡々とした日常がいいんだよなあ、なんて思ってしまうのですが、日頃はまた忘れているんだろうなあ^^
やはり頑張って何かを成し遂げた喜びというものは、何ものにも代えがたいものがありますよね(*^-^)
儚く切なく色々な事を想う映画…
こんなに悲しい話とは思っていませんでした…
世界で一番早く、美しい飛行機を作りたい、その夢を愚直な思いで成し遂げながらも、それは人を殺める兵器となり、日本人を特攻という自爆行為に導く棺桶になり…思いを裏切る結果の切なさが突き刺さりました。
もう一方で、次郎さんへの思いを遂げて、彼の夢を見届けて最後は身を静かに引く菜穂子さんの純真に心を打たれました。山を自ら降りてくるほど次郎さんと寄り添いたかったのに、彼の邪魔にならないように、成功を見届けて去る…泣きました。
夢を追いそれを叶えることが幸せになるとは限らない、物作りと利害得失の絡んだ仕事の矛盾、本当に人を愛する事の切なさ…沁み入りました。
驚いたのは、これだけ歴史背景がはっきりしている映画なのにそれを感じさせず、戦争という一番インパクトの大きい時代を扱いながらもそれを微塵も感じさせない仕上げ方が、二つの儚さをより強調している様にも思えました。
映像の秀逸さもあいも変わらずで、菜穂子さんの嫁入りシーンはあまりの美しさと厳かさに涙しましたし、震災シーンには震え、ユンカー社の爆撃機のお目見えのシーンには飛行機の美しさにため息しました。
久々に映画館で泣きました…
断言はしないけれども・・・あらゆる点でミスマッチ
いつもは肯定的解釈でだいたい過ごしているモノなのですが
今回だけは
飛行機開発
純愛物語
プロジェクトX的な人物の物語
すべてにおいて
中途半端 という感想
それと
主人公の ツルンとした味のない 幼い顔と抑揚のない口調
紅の豚の強烈さと 対照的でした。
声も 主人公なのだから、あの 抑揚のない、たんたんとした口調は
ほとんど 魅力を感じることはできませんでした。
それでも 泣けたとか 面白い という人があるので、
私と この映画 がミスマッチ だったということかも知れませんが、
実に たいくつした 映画でした。 辛口御免。僕の感想なので、
そんなことはない!などと反論は無用でございます。
渾身の一作
自分には、たまらない2時間6分だった。
あと1時間くらいは、
この世界にひたっていたかった。
監督宮崎駿氏、渾身の一作だ。
宮崎監督、
これを世に問うことができたのなら、
ある意味、もう思い残すことはないのでは。
画面のすみずみにまで心を尽くし、
これまでに蓄積してきた持てる技術と、
これまでに心に思い描いてきたイマジネーションを、
生かしきったのではなかろうか。
脚本、構成、音楽、
どれも揺るぎがない。
賛否両論らしい主人公の声も、
自分には適任としか感じられなかった。
なによりも、
昭和の薫りがどの場面からもただよってくるのがうれしかった。
宮崎監督が昭和初期の映画や残された写真を緻密に入念に研究、観察した上で、
画面に再現していることが伝わってきた。
現代日本人の骨柄、顔つきは当時の方々とは異なってしまっているし、
些細な小道具からは作り物臭さ、にせもの臭さを消すことができず、
衣装にも貼り付けたようなとってつけた感がまとわりついて、
実写ではもうすでに払拭しきれなくなってしまったいま、
それらのことを画面から微塵も感じさせないのは、
アニメーションの持っている特性を生かしたとはいえ、
おそるべき手練としか言いようがない。
そして、
零戦の設計者である堀越二郎と、
堀辰雄の小説世界、
この2つをひとつにするという着眼点、
宮崎監督が表現者として卓越した発想の持ち主であることを如実に示していて、
その創造された世界のなかで、
ある表現者の創作したものに自らの身をゆだねる悦びを、
豊潤に味わったのだった。
自分はジブリのファンというわけではないし、
宮崎監督の信奉者でもない。
監督作品できちんと鑑賞したものは、
「紅の豚」「となりのトトロ」「もののけ姫」
3本に過ぎない。
そんな自分ですら、
絶賛してしまいたくなる映画。
映画にかぎらず、
創造・創作することについては“覚悟”がなによりもたいせつで、
その“覚悟”を君はもっているか?
ぼくの“覚悟”を見ていただこう、
そんな宮崎監督の心の声が聞こえてくる映画。
大人が観ても楽しめる、何を伝えたいのか~色々な想いを込めた作品だと思います。。
◇大人が観ても、感慨深く楽しめる映画だと思いました。
今の時代は、世界的にも経済の不安定や地震などの災害はあるので…『風立ちぬ』の時代背景と似ていると感じました。
でも、そんな時代の中でも…夢を諦めない前向きな心や懸命に生きることの大切さを改めて、教えられた気がします。
ジブリの作品を観ると、大人になると忘れてしまうような純粋な子供心に還れるので大好きです。
そして、いつも丁寧に映像化されているので…映画館では、綺麗な絵画と心地よい音楽に癒されています。***
期待してはいけない
監督が飛行機マニア?というのを知っている者としては期待していました。
その期待も、公開前のCMを見ているうちに不安へと変わってしまいます。
何度となく放送されたCMを見た限りでは、菜穂子とのラブストーリーなのか?と思わされました。
それならそれで構わないのです。そういうのも嫌いではないので。
いざ劇場で最後まで見た感想は中途半端。
やはり飛行機に対しての想いをこめた描写が多いのです。
じゃああのCMはなんだったんだと思うのですが、菜穂子との絡みは結構短い。
監督は菜穂子との絡みはそれほど描くつもりはなかったのではないでしょうか。
ですが飛行機に重点置き過ぎると商業的な面で危うい。
そこであのCMではないかと。菜穂子との恋を前面に押し出したCMです。
切ない恋模様を描いた作品、と知れば興味をもつ人も増えるでしょう。
正直あの手の話には弱いので涙が出そうにはなりましたが。
声の出演で話題になった庵野さんですが、やはり無理があったと思います。
一番初めのセリフを聞いた瞬間、心の中でずっこけました。すみません。
監督の思惑もあるんでしょうけど、受け入れるのは難しかったです。
最後に、ジブリ映画はほとんど好きです。
「風立ちぬ」も嫌いとは言いませんが好きになるには時間がかかりそうです。
ジブリらしからぬ作品
感動なし!声優は個人の趣味で決めると駄作になりやすい典型的作品。
主人公の同僚の声優が良かっただけに、感情のない主人公のセリフが気になって
夢と現実が分かり難い。唯一、大震災の描写が“らしさ”が出ていたか?
良くもなく、悪くもなく
子供連れが多かったので注意しておきます。若い年代には、心に響く要素が少なく、ただの退屈な映画になる可能性が高いでしょう。
飛躍した認識かもしれませんが、この映画で一種の感慨を得られるのは、宮崎駿自身、つまりは同じような年代、同じような方々ではないかと。
正直ジブリアニメとして作る必要性は無く、残念ながら新鮮味もありません。諸々方向性に疑問を感じます。
この映画は宮崎駿監督の実写映画として撮れたら、印象も違ったかもしれません。
過去最低のジブリ作品へようこそ。
YAHOOのレビューでもそうなんですが、こんなに高評価の多いことに憤りすら感じます。
一体全体、どこからどうみたらこんな高い評価を与えることができるのでしょうか????
とにかくとにかく、つまらな過ぎて呆れて物も言えません、こんな駄作がこのような高い興行成績を得て、高評価を受けるとは、、、、、、もはやジブリは宗教と化しています。ジブリ教の信者達の美辞麗句に惑わされてはいけません、迷っている方がいたら、見に行かないことを強くお勧めいたします。恐ろしいくらいに高い確率で後悔することになりますから。もう一度、言います、高評価を与える方々、あなた達は、本当にそう思っているのですか????? 本当にお勧めできない映画です。堀越二郎の声を聞いた瞬間、必ずやそう思うことでしょう。
「主人公が、どこか客観的に戦争を感じている」ことが、逆にリアルで恐ろしかった
「主人公が、どこか客観的に戦争を感じている」ことが、逆にリアルで恐ろしかった。
他のレビューでも語られている通り、主人公は富裕層のエリートで、かつ飛行機バカで、元々どこか世間とは一線置いたような場所にいる人間だ。
歴史的な出来事である震災も、恐慌も、彼はどこか客観的に見ている節がある。
だが、それを差し引いても、本格的な開戦の前で、更に戦争で連勝を重ねていた当時の日本で、"戦争への危機感"をリアルに感じていた人間なんて、一体どれほどいたのだろうか。
軍からの依頼で兵器を開発していた主人公でさえ、頭の中は"飛行機"と"愛する妻"でいっぱいだった。(新妻が不治の病であったことを考慮すれば当然かもしれないが)
その周囲の人間たちも、多少差はあれど、ごくごく普通に生活を送っていた。
恐ろしい世の中だが、その中で必死に普通の生活を守っているとか、そいういった特別なものが根底にあるわけでもなく、淡々とした普通の生活だ。
思い返すと、震災も、恐慌も、当事者たちはものすごい形相で混乱しているが、それを真横で眺める人々は主人公に限らず、ぽかんとした表情で、どこか客観的見ているように描写されている人物も少なくなかったように思う。
この映画を通して、当時の戦争とは、決して特別な、異常な状況ではなく、普段の生活の中にあっさりと溶け込んでいたのではないかと感じた。
戦争の身近さと、そして、その狂気がすぐそばまで迫ってきている状況であったとしても、自分自身に直接被害が及ばない限り気づけない人間の鈍感さに恐ろしさを感じたので、印象として「怖い」を選択させてもらう。
追記:
戦争の悲惨さを描きたいなら、激戦区に住んでいた方々や、安全な場所に逃げられなかった弱者の方々を描けばいい。
しかし、それをせず、あえて他人事のように戦争を傍観する立場であった主人公を出すのは、当時実在した「そういう人々」への一種の痛烈な批判のようにも感じられる。
ユーミンの歌にもある「今はわからないほかの人にはわからない」
悲惨な戦争の体験をされた人々の見たものも感じたものも、その当事者でなければ「わからない」
これも、現実の戦争の一面なのではないだろうか。
冒険し過ぎた?
見る側によって評価は分かれると思うが、宮崎駿作品とは思えないほど、退屈な映画であった。最初から最後まで、単調に流れている映像を鑑賞するには忍耐がいる作品。実在のゼロ戦技師、堀越二郎の半生も堀辰夫の純文学も単独では素晴らしいのだが、ミックスしたことにより、違和感を感じ、今も消化不良気味である。国民の大半が生きていくのがやっとだったこの時代、裕福な家庭に育った二郎と菜穂子の浮世離れした出会いや夫婦生活は、作品全体の薄さを増している。ただエンドロールの映像とユーミンの歌には救われる。次回作を期待したい。
ジブリの戦略
両極端な評価で盛り上がりを見せるこの映画。子供向けとしてみれば0点、中高年層向けとみれば5点、平均して2.5点の講評としました。8/17に見てきましたが、観客の9割は中高年者で占められ、1割は中学生か小学校高学年といった印象でした。幼児は皆無。終戦前後に幼少年期を過ごした方々が見れば、当時の自らの記憶とも相まって思い入れもひとしおであり、共感できたのではないでしょうか。ジブリは幅広いお子様から高齢者までを対象にした映画を今回狙ったと聞きましたが、実際は明らかにシルバー世代を対象とした作品を送り出してきました。これは、風立ちぬの商業ベースで利益を確保するための一側面と考えてよいでしょう。
NHK教育の半藤氏との対談で宮崎駿氏は、アニメは今後斜陽産業となる。子供が多かった時代とは違い、少子化で見る者がいなくなっていると発言しています。
今回の映画は視聴者を子供から中高年層へと切り換えた点で非常に注目すべき動きと言えるでしょう。
儲からなければ次の映画は作製できませんので、今後この動きは加速化されると考えてよいのではないでしょうか。
事実今年秋に公開されるかぐや姫の物語は、どの世代もよく知っている話題であり、子供のみならず中高年層をも対象としたアニメーションと理解すれば、今後の映画作成に対するジブリの戦略がよくわかるのではないかと思います。
宮崎ブランドがなくても評価されただろうか?
とても退屈な映画だった。
「この映画を酷評する人は理解力がない」だの「感じる心がない」といった人格否定的レビューも多々見られるが、果たして、この映画を宮崎駿の冠をつけずに全くのノーブランドで世に出した場合、どれだけの人が賛辞を贈るだろうか?
観客にメッセージを伝えることをあまり意識せず、わかりづらいことを良しとして作った作品のような気すらしてならない。「ま、あとはみなさんが頑張って読み取ってください」といったドSっぷりすら感じる。
飛行機設計においても、病気の嫁 菜穂子とのことにしても、あまり内面の葛藤が描かれておらず、観ている側は「きっといろんな葛藤があったはずや・・・」と物語を自分の中で作って補ってあげなければならない。
個人的に感動したポイントは、視覚的な美しさとユーミンの歌だけ。
また、主人公の顔と庵野監督の声がまるで合っておらず、おまけに滑舌も悪くてどうしようもない。終始、庵野監督の顔が見え隠れしてしまい、特にラブシーンがきつかった。
戦争は美化できない
観てから数日経ちましたが、自分がこの映画にお金を払って観に行ったことを後悔しています。未だにです。
他の人達にも私みたいに「お金を捨てた」気分になってほしくないので、レビューを書きます。
まず言えるのは、私はこの映画をまた何かの機会があって観たとしても、せいぜい20分の間に飽きてしまうでしょう。ましてDVDを買うことなんて、ありえません。何の教訓も得られませんでしたから。
今まで千を超える映画を鑑賞し、歴史もおおかた真面目に勉強してきました。出身は被爆地で、小学生の頃から毎年欠かさず、ビデオを見たり被爆者のお話を聞いて、戦争について考えてきました。夏休みには登校日があります。全員で黙祷をします。記念館にも行きます。
この映画で、戦争の残酷さが少しでも描けていますか?戦争経験者である私の祖父母世代が見て、どう思うだろう。単なる「関東大震災と飛行機の話」としか思わないと思う。だってそうでしょう。戦時中になんであれほど優雅なんですか?そんな方も一部いらっしゃったとは思いますが、それは実際、当時の国民の1%にも満たない割合ではないのでしょうか。そんな人々を描いて、何か得られるのですか?
この映画の主題はそこじゃない?堀越二郎の、夢のある人生?
「自分の作った飛行機はただただ美しい」、それが何万人もの命(日本人含め)を奪ったなんて、関係ない。そうですか?本当にそう思うんですか?残酷な事実に蓋をして「やはり夢を持つことは美しい」と言えますか?夢だけ追いかけて責任は丸投げする姿勢って、いち人間としてどうなんだろう。
航空機設計士について純粋に描きたかったなら、他の人物にすべきだった。そこに「実在した」ゼロ戦の設計士という要素が加わると、「実在した」戦争について考えざるを得ません。
この映画が高評価されるなんて、日本人が戦争を忘れつつある証拠だと思います。
全てを美化して、気持ちよく現実逃避したい人の為の映画です。
戦争の悲惨さから目を背けてほしくないので、この中途半端に美化された映画には低評価をつけさせてもらいます。
どうかメッセージを読み解いて
レビューでの評価の低さから、日本人の物語を読み解く力の無さを感じさせられます。
エンターテイメント性を求めるなら確かに他の映画を観た方が良いのかもしれない。
しかしいまの時代、日本人がこれ程までに観るべき価値のある映画はそう無い。
この映画を観て何も感じない方は、今の日本に危機感を感じたりということが、ないのでしょうね。「風立ちぬ」の時代背景は今の、現代の日本と酷似している。
自分たちの知らないうちに、戦争へ突入してしまってから気が付くのだろうか。
国防軍と言われてもピンと来なく、どこか他人事で自分達が戦争に巻き込まれるなどと想像したことがないのだろう。
純粋な夢は平和だからこそ持つ事ができる。
手厚い医療は豊かだからこそ受ける事ができる。
全て、当たり前の事ではないのだ。
戦争へ向かいつつある時代では、夢であったはずの技術開発は戦争の道具とされ、
助かるものも助からない。
どうか、日本が同じ過ちを繰り返し、戦争へ突入しませんように。
ひたむきな愛の物語
堀辰雄ファンの私としては、思わずツボにはまった作品です。堀辰雄の作品を読んだことの無い方にとっては、なに? って、作品になったかもしれません。
堀越二郎の物語に仮託して、全編をを貫く感情・雰囲気は、堀辰雄の作品そのものでした。
「私たちには、もう時間が残されていないんだ」そう・・・、堀の文学の一番悲しいところ。そういった悲しみをみじんも見せず、「美しいところだけを切り取って」私たちに提示してくれるのが堀の文学でした。
一つ一つの場面が、決して堀の物語の焼き直しではなくて、監督のものになっていました。ぜんぜん嫌みでなくて、しっかりとご自分のものになっていました。ご自分の「悲しみの物語」になっていました。
この映画を御覧になって、つまらない・感動した・・、さまざまな感想をお持ちの方がいらっしゃるようです。もしまだ読んでいらっしゃらないようでしたら、これを機に「堀辰雄」の作品を是非お読みください。監督がこの作品を通して描きたかった事への理解が広がるかも知れません。
ちなみに、ジブリの作品ってそれほど見たことが有るわけじゃ無いんです。ファンの方すみません。
引導を渡す映画
これは宮崎駿に引導を渡す映画です。これまでアニメーションの第一線で活躍されてお疲れ様でした。今後は、息子さんや後身に道を譲られてアニメーション製作の第一線から引退され、好きなことをなさったらどうかと思います。
宮崎駿が作った数々の漫画映画、「長靴をはいた猫」から始まり、「未来少年コナン」、「アルプスの少女ハイジ」、「名探偵ホームズ」、「カリオストロの城」、「風の谷のナウシカ」、そして「天空の城ラピュタ」。どれもこれも子供の時に興奮し、大人になっても面白い一級品の漫画映画でした。
でも、「風立ちぬ」にはこれらのワクワクした面白さは全くありません。話のジャンルが違うから?いえいえ、往年の宮崎駿なら、悲しい話でも観客をワクワクさせたと思います。
私は「風立ちぬ」は自信を持って「駄作」だと言い切ります。業界関係者や大のジブリファンは言いたく無いし、認めたく無いのだと思いますが、宮崎駿は引退の時を迎えたのですよ。「崖の上のポニョ」の時点で既に引退時期は来ていたと思います。
それが今回の「風立ちぬ」でハッキリしたでしょう。これは宮崎駿という天才を卑下している訳ではありません。しかし、事実は事実、現実は現実として受け止めるべきです。
もう二度と、子供の頃に感じたあのワクワク感を味わうことができなくなるのは悲しいですが、宮崎悟郎や若手のアニメーターの成長に希望を残して、これからもジブリを応援したいと思います。
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