利休にたずねよ
劇場公開日:2013年12月7日
解説
茶人・千利休の人生を描き、第140回直木賞を受賞した山本兼一の同名小説を、歌舞伎俳優・市川海老蔵の主演で映画化。豊臣秀吉のもと「天下一の宗匠」として名をはせるも、やがて秀吉に疎まれ、武士でないにもかかわらず切腹しなければならなかった利休。その謎を、ある女性との秘められた恋とともに描き出していく。若かりし頃、色街に入り浸っていた利休は、高麗からさらわれてきた女と出会う。その気高いたたずまいと美しさに心を奪われた利休だったが、やがて別れの時が迫る。かなわぬ恋に対する利休の情熱は、ある事件を引き起こす。中谷美紀が利休の妻・宗恩、伊勢谷友介が信長、大森南朋が秀吉にそれぞれ扮する。監督は「化粧師 KEWAISHI」「火天の城」の田中光敏。
2013年製作/123分/G/日本
配給:東映
スタッフ・キャスト
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2021年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
千利休の切腹の朝から始まり、20年前、10年前と遡って信長(伊勢谷)や秀吉(大森南朋)との関係を描いた手法。後半は高麗の女(クララ)との関係を描いていた。
海老蔵の演技力はすごく良かったのに秀吉役の大森南朋が興ざめするくらい全然ダメ。現代劇では演技派だと思っていただけに残念だ。
2021年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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この映画は、かなり不運でした。
公開当時はネトウヨが一番元気だった頃。「韓国の国策映画」だの「朝鮮人に利休が汚されている」だの、ネットに踊らされた連中が散々っぱら映画.comにもヘイトを書き込みました。
2021年の今、彼らは恐らく誹謗中傷を書き込んだ件での訴訟に追われていることでしょう。未だ消化できてない承認欲求のローラーに圧し潰されながら。自業自得です。
しかしそれを考慮しても、映画の内容自体はとても出来がいいとは言えませんでした。
まず、利休自体が映画にしにくい歴史人物です。
それは彼の抱えていた複雑な世界観を表現する必要があるからで、真面目にやると「何を考えているかわからない地味な人物」になってしまいます。
にもかかわらず、この映画の豊臣秀吉は分かりやすい悪役です。難解な主人公と単純明快な悪役。これほどソリの合わないモノはありません。
だから、利休も秀吉に合わせて単純明快な主人公にすればよかったと思います。
高麗の女は役者さんもとても良かったと思いますが、いかんせんその好材料をまったく生かしていません。
展開が駆け足で、若い頃の利休と高麗の女が相思相愛になる過程がまるで見えませんでした。このあたり、当時の国際情勢も踏まえてじっくり描くべきでは……。
それと、これは根本的なことなのですが、海老蔵って大根ですね。
この人は30秒くらいのCMでなら抜群の存在感を発揮しますが、長い尺の映画になるとまるで人形のようです。泣き叫ぶシーンなんか、まるで関東連合の兄ちゃんに灰皿でぶん殴られた酔っ払いのようでした。
仮にネトウヨが存在しなかったとしても、この作品は大した評価を得られることはなかったと思います。
2020年12月26日
iPhoneアプリから投稿
物静かで美しい佇まいの利休に、傲慢そうだけど魅力的な信長、前半はすごく惹きつけられた。
でも利休の若い頃の話になってからが長すぎると感じた。
中谷美紀は美しさを追求する利休が選んだ妻として非常に納得のいく上品さだった。
2020年11月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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テレビ大阪「シネマクラブ」を録画して鑑賞。
原作は未読です。
織田信長と千利休が邂逅した序盤のシーンに感心させられました。すごいと思ったのは、水盆に映った月がこれほど美しいと云うだけでなく、その献上品を披露するためには相当入念な準備が必要だったのではないかと云うことです。
縁側から月が見えることを調べなければいけないし、上手く月を映すための角度と時間を割り出さなければならない。その結果、時間を合わせるためにわざと遅れて登場した。それを自然にやりのけた利休の所作も素晴らしかった。それらを瞬時に見抜いた信長の慧眼すごい。優秀な人の周りには自然と優秀な人が集まって来る理由とは、こう云うことなのか、と…。
茶の道を極め、戦国武将たちから崇められていく利休。その結果、天下人となった秀吉に疎まれて切腹させられました。最大の要因として、利休に嫉妬し、侘び寂びに抗うかのように贅を尽くしてきらびやかに振る舞えば振る舞うほど、秀吉自身の存在が矮小になってしまうのが許せなかったんじゃないかなと思いました。盛大に開かれた茶会のシーンを観て、強く印象づけられました。あの場では、明らかに利休の方が格上でした。
切腹の理由のひとつとして、利休が大切にしていた香炉を秀吉に譲らなかったと云うものがありました。そこから利休の美の原点となった高麗の女との非恋が回想されました。おそらく創作なのでしょうが涙無しには観られないエピソードでした。
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未完成なもの・不完全なものの中に美を見出すと云う考え、身分など関係無くなってしまう茶室の空間づくりなど、利休が確立した美の世界はとても深遠で、息を呑むような卓越した理論で成り立っているんだなと思いました。