ゼロ・ダーク・サーティのレビュー・感想・評価
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世界は変わるのか、彼女はどこへ行くのか
最後の突入作戦のところは緊迫感ありすぎて、見終わってグッタリ。もちろん、本物の映画をみたなという疲労感ですが。
どこまで本当なのか……本当だとして主人公の女性分析官も実在の人物なわけで、あの後どうなったのか……いま何を持っているのかと考えてしまうと、なんとも筆舌に尽くしがたい。
最後「どこに行くんだ?」と問われた彼女がなにも答えずに終わるラストシーンが非常に印象的で、余計にそう感じさせられました。緊張は強いられる作品ですけど、終わったあとはむなしさもあったり。
おりしも現実社会ではアルジェリアで人質事件が起こり、あれも結局はアルカイダ系組織の犯行なわけで、ビンラディンを捕まえても世界は簡単には変わらなかった。そう思うと、なんだか主人公の執念の結果がなにをもたらしたのだろうと考えてしまいますね。
主人公がなぜそこまで執念をもってビンラディンを追うのか…その詳しい動機は説明されませんし、マヤという人間のバックボーンも、映画冒頭で赴任してきたときに「若いけど優秀らしい」と言われているくらいしか観客にも情報がない。
でも、そうした余計なドラマが付け加えていられないのが逆にリアルで、彼女は何を思っているのだろう、どうするのだろう…と思って思わず見入ってしまいます。
ビグローの追うもの
アルジェリアの人質事件のように、中東・アフリカの爆弾テロも
他人事だとは考えられないようになってきた。
アメリカ9.11事件に端を発したアメリカと中東アルカイダの暗闘を
描いた作品であるが、なんともやりきれない気分になった。
幕開けは、9.11の被害者の言葉の録音テープだろう。
これで怨念に火をつける。
その犯行の首謀者ビンラディンを追うドラマがはじまる。
追跡劇といってもカッコいいもでは全然ない。
それは拷問であり、情報のだましあいだし、同僚の死である。
それでも、いや、だからこそ追跡するのだろう。
自分が自分でなくなる、訳もわからないまま、ただひたすら追うのだ。
キャサリン・ビグロー監督は前作「ハート・ロッカー」でも、
善悪を問うことはなかった、事実を描いていった。
なるべくその心情も出さないようにしていた。
この作品でも同じだろう。その代わり、より綿密な取材と、
その情報による事実を映像にしていく、積み重ねていく。
正義とはなにか?
そんなものは神のみぞ知る。
人間とはこんなに不完全なものであるということを
僕らの目の前に突きつけてられたような気がした。
目的を達成した後、流したエマの涙はなにを意味するのか?
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