ゼロ・ダーク・サーティのレビュー・感想・評価
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なんとも後味の悪いことで。
ビンラディンを暗殺したCIAの例の事件の映画化です。
CIA側の登場人物の造形はフィクションだということですが、それでもCIAの全面的な協力を得て、つまりCIAが「9.11の仇を討った作戦」を顕彰したいという思いによって作られた映画でしょう。
アメリカ側が捕虜を拷問するシーンのエグいこと。
ぜんぜん自分たちアメリカ側を正当化しない映像は、「リアルな世の中というのはこういうものなんだぜ」という製作者たちの強烈な主張を感じさせられます。
スカッとする、というシーンがまるでありませんが、そういうのを観たいのなら007でもバットマンでも観てれば良いわけで、現実とは何かについて深く考えるための、良い材料だと思いました。
エグすぎる現実を直視することが苦手な人には絶対にお勧めできません。
「朝日新聞+日教組」的なお花畑型平和主義が唯一だと思っている人は、この映画を観ないほうが幸せな人生を送れることを保証します。
どこまでが真実か・・
観たのはかなり前ですが、レビュー忘れてたので改めて。。
オサマビン・ラディンの殺害に関する一部始終を扱った作品。かなり編集はされていると思うが、冒頭でアメリカ軍が捕虜を虐待しているシーンなどをしっかり撮っており、事実に基づきある種の批判的精神を持って作られた作品だな、というのは観て取れる。
ストーリー自体はそれほど面白みは無いが、こういう内容を真正面から扱うあたり、まだまだハリウッド(アメリカ)映画の底力を感じさせる。
終始緊迫感溢れる展開
ビンラディンを殺害に向け、彼とつながりがあると思われる、アブアフメドという人物を執念で見つけ出す。
そこまでの過程で水責めといったCIAの非情な拷問シーンが見られる。結果的に、拷問によって有力な情報が得られたが、科学的な根拠はない方法を使っていた、関係のない人にも拷問をしていたということも頭に入れなくてはならないし、実際はもっと残酷で詳しくはザ・レポートを見るといいかも。
世間に拷問の事実がばれた後も、拷問できないから情報得られないみたいなこと言ってたが、正しい行為という認識だったのかな。
隠れ家への潜入シーンは緊張感が凄かったし、リアルなのかな。
登場人物の心情面、人となりはあまり描かれず、作戦の様子をメインに描いている気がした。
なので表情を読み取ったり、シーンをよく読み取らないとなと思った。マヤのパソコン画面が亡くなった同僚ジェシカとの2ショット写真だったのが切なかった。
ビンラディンを殺害し作戦が成功したが、マヤの表情は晴れやかではなく、涙を流した。
ジェシカは帰ってこない。武力で倒したところで次のビンラディンが出てくるだろうという絶望感からか…
ゆく道先が困難なこと
人間の皮を被った身の周りに潜む見えない悪魔との戦いは常に緊張感が漂っていました。
CIA、否、アメリカが何年もかけて調べ上げ、自分自身に危険が及んだこともあったが、血眼になって私の全てを賭してきたのに。。。今までも、そしてこれからも続くであろう終わりなき戦い、、、
最後、飛行機のお迎えが来たシーンで搭乗員が私に尋ねたこと。
『行く先は?』
夕陽が沈む、、、輸送機のハッチがゆっくり閉まり、私は陰鬱な表情をして、皮肉にもそんな簡単な質問にさえ、発せられる言葉は何もなかったのだった。
相手側に立って考えてみる想像力の欠如。
ラストの隠れ家にて目の前で両親を惨殺された子供達はどう思うか。何世代にも渡り何万人と語り継がれてアメリカを憎むだろう。戦争に正義も悪もない。ナチスヒトラーだって正義だと信じてあれだけのことをした。9.11テロの首謀者達だって正義だと信じておこなった。戦争に良いも悪いもない、ただ憎しみと暴力の連鎖が続くだけ。アメリカは先住民を皆殺しにした建国以来、自分たちの正義を信じて、世界中で多くの人を殺してきた。世界大戦、ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争。一般市民への無差別殺戮である原爆投下。アメリカ軍は最近でもイランのソレイマニ司令官を爆殺した。イラン国民においてソレイマニ司令官は、かつてのキューバにおけるゲバラのような英雄だという。そうされた国民はどう思うだろう。何世代にも渡って親から子へ、子から孫へ、悪の帝国アメリカに一矢報いることを誓い合うだろう。貧しい国の唯一の戦いの方法であるテロで。いくら報復合戦をしても終わりは無い。武力で平和は訪れない。アメリカは自分たちの正義を絶対として、それ以外の人々の気持ちを考えない。アメリカは今後、何百年経ってもテロの標的になり続けるだろう。日本は、いつまでもそんな国の言いなりになって子分でいてはいけない。
長いプロセス
Zero Dark Thirtyは2011年5月2日0時30分に決行されたビン・ラディン隠れ家襲撃作戦(ネプチューン・スピア:海神の槍作戦 )の時刻だろう。2001年の9.11から実に10年の月日が経っていた。CIAの趨勢としてテロの未然防止が主眼でありビン・ラディン捜索は半ばあきらめていたのだろう。
今やビン・ラディン暗殺は衆知の事実、殺害がCNNで伝わるとワールド・トレードセンター跡地には数千の群衆が集まり歓声を上げたらしい。結末が分かっているのだからプロセスを描くしかないのは分かるが2時間半は長すぎる、CIA内部の硬直性、拷問シーンといい襲撃での家人殺害など批判覚悟の問題提起で復讐劇の美化にならないようにしているのもキャスリン・ビグローらしい。映画では描かれなかったが予防接種と偽って屋敷に入ったことから予防接種の慈善団体関係者が襲撃事件後に過激派に殺されたらしい。
最後のマヤ(ジェシカ・チャステイン)の表情が暗くみえたのは象徴的だった。
脚本のマーク・ボールは襲撃作戦の実行部隊の表彰式に潜り込んだり、関係者への隠密取材でプロットを書いたらしい、ビン・ラディンのインタビューを制作したCNNのピーター・ベルゲンも監修として参加したらしいがどこまで真実か、一説にはビン・ラディンはパキスタン政府に軟禁されていて情報部の元高官(ウスマン・ハリッド准将)がCIAに売ったらしい、いずれにしても50年後の機密文書公開まで謎のままである。
悲しいかな首謀者を消して面子は立ったろうがテロは無くならない、生き延びた息子は後を継いで過激派を率いていたがトランプ大統領は2019年9月14日ビン・ラディンの息子ハムザをテロ掃討作戦で殺害したと発表した、負の連鎖は絶たれたのだろうか・・。
ビン・ラディンが潜んでいた豪邸をネイビー・シールズが襲撃するシーンの緊迫感、リアル感に戦慄した作品。
序盤、CIA局員に扮するジェイソン・クラークがタリバン戦士を水攻めにする拷問シーンで、キャスリン・ビグロー監督が腹を括ってこの作品を作ろうとした想いが伝わる。(何故なら、あのシーンはジュネーブ第3条約遵守に抵触するであろうから。そしてそれはアメリカの3.11に対する報復の思いの強さを描いているから)そして、拷問する側の精神が壊れる様もビグローはきちんと描き出す。
CIA女性分析官マヤを演じるジェシカ・チャスティンの冷徹な表情と、上司に対しても物おじせず、言動で上層部の動きの遅さを表現する姿を観て、ジェシカ・チャスティンの凄さを知った。同僚が自爆テロに巻き込まれる辛い経験をしながら、”砂漠の中の石を探し出す”と言われていたビン・ラディン捜索を執拗に続けるマヤ。
ついに、ビン・ラディンが潜んでいると思われる邸宅を突き止める所から物語の加速度は増す。信頼出来るのかと問いただす上層部とのやりとり。60%と答える上官たちに対し、”100%確実”と決然と言い切るマヤ。
そして、ステルス型ブラックホークプリンス2機がネイビーシールズの精鋭部隊を乗せ邸宅へ静かに向かう。緊張感Maxである。
邸宅侵入後の映像が凄い。仄かな光でも撮影できるデジタル・カメラに暗視用レンズを装着した映像の中で繰り広げられる光景。秒単位で進行し、仕留め
撤退する精鋭部隊。凄すぎる映像である。
シールズ隊員を演じたジョエル・エドガートン出世作でもあるし、矢張りジェシカ・チャスティンの役者としての凄さが全世界に知れ渡った作品であろう。必見である。
<2013年2月15日 劇場にて鑑賞>
賛否両論ありますが…
[過去鑑賞]
どこからどこまでが実際にあった事なのかわかりませんが、最初から最後まで緊迫感のある作品でした。
賛否両論ある作品ですが、個人的には割りと面白かったです。
確かにビン・ラディンの発見に、マヤのように若くてキャリアも無いCIA 職員が携わっていたとしても、上層部を説得出来たかどうかは疑問ですよね。
でも、作品の中でのマヤの鬼気迫るあの凄絶な様子は迫力ありましたね。多くを語らず、鑑賞する人の思いに任せるようなラストも良かったですね。
お互いの言い分はあるかと思いますし、決してアメリカが全面的に正しいとも思ってはいませんが、やはり無差別テロは決して赦される行為ではありませんし、宗教は人を救うものであって、他人を傷付けるようなものであって欲しくないと思います。
ビン・ラディン殺害で一区切りついた感はありますし、ISも一時の勢いがなくなったとは言え、まだまだ世界各地で相変わらずテロが発生していますし、アメリカとイスラム原理主義者との戦いはこれからも続くのでしょうね。
もうすぐあのテロから18年経ちますが、あのような悲惨な出来事が再び起こらない事を願うばかりです。
マヤの見えざる手
個人評価:4.0
実際のビン・ラディン暗殺計画の指揮官は、2061年まで国家機密という事だが、その手腕を振るったと噂される女性指揮官を演じれるのは、ジェシカ・チャステインしかいないだろう。
非常にアメリカ的な映画だが、神的な分析力を持つ傍若無人な女主人公を大胆に描いているので、人間味溢れるサスペンス要素が加わり、バランス良く中和されている。
まさにジェシカ・チャステインでなければ、成立しない映画といえる。
劇場とDVD鑑賞
拷問のシーンとかダラダラと
眠くなる。しかし高卒でCIAに入社や
同僚が殺されたり、男社会での女性の苦労
しかも、ノンエリート
兵士たちと話す姿は現場あがりが
共感を持つ。
両親を殺害され、寝巻き姿で怯える子供達が
気の毒だ!
絶対の追跡・分析、そして100%の賭けに挑む女性。 ラスト、暗闇で...
絶対の追跡・分析、そして100%の賭けに挑む女性。
ラスト、暗闇で標的を追う特殊部隊の映像に心臓爆発。
9・11からビンラディン殺害までを描く。 これ、どこまで本当なんだ...
9・11からビンラディン殺害までを描く。
これ、どこまで本当なんだ!強烈なリアリティ、緊迫する場面の連続。世界を震撼させた話だけに言葉を失ってしまいます。
これ、本当に大丈夫?演じた女優さんは無事ですか?敵方が見たら気が狂いそうな内容につい心配してしまいます。
クライマックスは画面が暗くてよく分からない部分もあるが、そこもリアリティか、とにかく怖い。体が固まってしまった。
今も延々と続くテロ、宗教よりも自分を大切にしてほしい、つくづくそう思います。
分析官?
アメリカのこういう映画では、最前線によく女性のスタッフがいるが、事実なんだろうか?
いつも気になる。
そういう設定で過酷な現状を知って正気を失っていく的な。
今回の映画では、正気を失っていく的な部分がグッと来ない。
最初から常に淡々としてて、拷問の主導権が替わっていくところもよくわからなかったし。
忠臣蔵
再見。
演出抑えめ史実に忠実に見えて、ブルースチール、ハートブルーな劇画調ケレンが全編びっしりではと疑っている。
何故なら猛烈に愉しめたからだ。
ラストはそれと知りつつ観る好調絶倫女監督版の忠臣蔵だ。
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