真夏の方程式のレビュー・感想・評価
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変人ガリレオはなぜ少年の人生を救おうとしたのか?
この映画、殺人のトリック自体は複雑ではなく、そもそも視聴者に謎解きの機会を提供するものでも無かった。ところが、登場人物の心理面については謎解きに値する"謎"を残している。
それは"なぜ子供嫌いのガリレオが、あそこまで少年の人生が狂うことを恐れ、そして救おうとしたのか"という点である。
映画版ドラえもんのジャイアンよろしく、映画版だから良い人になったのでは決してない。それは、ガリレオ自身が少年の人生を狂わせる加害者の一人となってしまったからだ。それも、不用意な好奇心によって。
この謎解きのヒントは、ガリレオが全ての事実に気づいたのはいつ、どこで、誰といたのか、という点。そして、何故無邪気な少年が自らの行為の意味に気付いてしまったのか、という点だ。
この心理的ギミックにもし目が向いたときは、もう一度映画館に足を運びたくなるかもしれません。
湯川先生の「普通の姿」が新鮮
前作は劇場で観られなかったので、今回は封切り直後に鑑賞してまいりました。
テレビ版の2作目はがっかりするほど湯川先生がゲテモノ扱いされ、うるさいくらいの相棒とともにガリレオの世界観を見事に破壊してくれてしまいやがったので・・・逆に映画には期待していました。
今回の「真夏の方程式」では湯川先生の人と接する際のいつもの『変人』度合いが影を潜め、真実を探求する一人の人として温かみを感じました。特に恭平少年との接し方はいつもの子供嫌いの湯川先生ではなく、何か身近な友人と接するかのようなピュアな感じが観てて伝わってきました。それはもしかしたら今回の事件の顛末を予想するかのような温かみがあったのかもしれません。
一方この物語の主軸となる川畑家の人間関係も興味深く、物語が進むにつれどんどんひも解かれてくるかこの忌まわしい記憶が家族の幸せを狂わせていく点が丁寧に作り込まれていたように思います。
ただ、手放しに称賛できるかと言えば・・・不自然な話の展開があったり、やっぱり吉高さんの存在がウザかったり・・・マイナスポイントはあるものの、全体的なバランスはテレビ版から比べれば確実に合格点を上げられる内容でした。
湯川先生の人間臭さに触れてみたい人はこの映画は見て損はないと思います。
切ないね。
原作は、すでに読んでいる。
でも、程よく覚えていて、程よく忘れていたので、作品の世界を楽しめた。
今や、福山雅治さんの代名詞ともなった「ガリレオ」こと天才物理学者・湯川学。
彼が事件の謎に迫る劇場版第2作目。
とても見応えのある人間ドラマだったと思う。
美しい海の底に眠る資源の開発を巡り、人間たちが揺れる玻璃ヶ浦。
計画の説明会に招かれた湯川。
その湯川が泊まる「緑岩荘」で、夏休みを過ごす少年・恭平。
翌朝、緑岩荘の宿泊客で、元捜査一課の刑事が死んでいるのが、発見された。
事故か、殺人か。
事件に関わる緑岩荘を営む川畑家の秘められた過去が、いつしか明らかになっていく。
いつもは、非論理的だからと言って子供は嫌いで、ジンマシンが出る湯川
だが、今回の恭平との関わりは、意外なほど、父性を感じさせる。
理科嫌いの恭平に、化学の手ほどきをしたり、恭平の将来を慮って、行動する湯川が新鮮だ。
でも、言葉使いは、相変わらずぶっきらぼうなんだけどね。
殺人事件としては、そこに至る過程に少々コジツけぽさを感じ、弱いように思う。
男女の関係より濃いもの、それは親子愛。
法律や規則、化学や物理などで、解決できないものもあるんだ。
最後、駅での湯川と恭平のやり取りは、見ごたえあり。
切ないね。
「そして父になる」の公開も秋となり、こちらにも期待が膨らむ。
あの子を守ってね
なるほど、全部に意味があったんだ。そんなしっくりくる見終わり感。
子供嫌いの湯川先生がひょんなことから恭平という子供に懐かれる微笑ましい冒頭。一緒に事件を解決して仲良くなるんでしょと思いきや、さにあらずだった。
親子の情愛が犯罪を招く事件は悲しい。でもそれを上回る悲しさがラストに訪れる。
自分のしたことに気づいた賢い恭平。それを肯定も否定もしないで「君はひとりではない、それを忘れるな」とだけ言って去る湯川先生。あの子はこれから長い人生その言葉だけを支えにしていくのか。正しい道を歩めるのか?
湯川先生どうかこれからもあの子を見守ってね、と願わずにはいられなかった。
秘密と嘘・信頼と裏切り、でも生きる事は必ず希望を生む
この映画の魅力は何と言っても、福山雅治が演じる湯川と言う風変わりなキャラの魅力が命だと思う。そしてその湯川キャラを創り上げている福山が実に巧いよね!
TVを日頃見ない私は、TV放送された時の、この湯川さんを知らないので、TVと比較して本作がどれ程、良い出来であるかの判断は出来ない。しかし、「真夏の方程式」と言うタイトルに相応しく、真夏の海の美しさは、画面一杯に溢れ出て来るし、これはやはり、シネコンの大画面で観るべき作品だと思う。
私は、富田靖子が好きだったので、市川準監督作品の「ほんの5g」を公開当時観ているのだが、あの作品で芸能界デビューした福山は、直ぐに大ブレイクしたと思っていたが、彼がスターになるまでの、下積み生活は意外と長かったとは驚きだった。人間の記憶とは時間が経つと曖昧になり、あまり当てにならないものだ。
この作品でも、15年前の或る事件で犯人を逮捕した塚原刑事が、退職後その事件には裏が有るのではと気が付き、自己の曖昧な仮設と記憶を頼りに、再び事件の真相を洗い直す事から、再び第2の悲劇が起こると言う作りは、ストーリー展開の方法としては、オーソドックスな展開では有るけれども、それを退屈せずに魅せてくれるのは、何と言っても、前田吟や、風吹ジュンなど脇を固める俳優陣の名演が有っての事だ。
そして、仙波の出番は少ないが、白竜の名演が涙を誘う!不倫関係であったにせよ、実の子の将来の幸せを願う父親の決心には、泣かされる。
2時間以上の作品だが、あっと言う間の2時間だった。
更に、私が最も好きな場面は、子供嫌いの湯川が、徐々に自分の信じる科学の素晴らしさを理解して貰おうとして、少年と心を通わせて行く、そのプロセスが、夏休みの子供の成長ドラマと言うだけで無く、湯川自身の成長のドラマにもなっている点が、面白いのだと思う。
人は幾多の過ちを繰り返しながらも、自分の護らなければならない誰かの為に、或いは守るべき物事の為に、必死に人生を生きていく。
そのプロセスの中で同時に、自分も知らず知らずのうちに、相手にも生かされていくと言う事を知る、その人間の関係性が感動的だった。
そしてこの映画のもう一つの大きなテーマは、自然と人間との共存関係。人間が自然を開発と言う名目で破壊ばかりするのではなく、自然に因って生かされている自己を認識し、共生の道を探り当てて行くプロセスにこそ、今後私達が生き延びて行くべき未来が有る。そして、守るべき子孫の、人生を救うのは、この自然との共生と言うテーマを1番に優先するべき事であると言うのも、この作品の大きなテーマだ。しかし湯川が発言する様に、只自然破壊を反対するのではなく、現在の生活では、科学文明は、必要悪で有り、その恩恵に皆が浴しているのだ。したがって科学的研究を重ね、科学と自然の融合を目指す事が今後の一つの明るい未来の可能性の扉を開く鍵を握っていると、湯川のキャラを通して伝えてくれていると考えるのだ。夏休みも近い今、海へ行けない人は是非この美しい海を映画館で体験してみては、どうだろうか? 日本の美しい名所を知るのは実に嬉しい体験だ。
落ち着いた構成が好印象
一酸化炭素中毒には無理があるような・・・。
成実が健康的すぎる。贖罪がユルい。
節子が重治と結婚を決めた動機を知りたかった。
事件の被害者2人の掘り下げが甘い。
などの細かいツッコミが幾つか見えたが、
恭平くんと湯川先生の課外授業がハートフルで印象に残った。
少年に寄り添う湯川の言葉が嬉しい。
『好奇心は人間のエネルギー源』この台詞が好き。
愛する者を守りぬく決意の輝きと危うさを、
原作の憂い感そのままに丁寧に描き出したドラマ。
中身あたたかい湯川学の人間味を満喫。
全体的に良かった。けど・・・
先日見てきました。
前作の「容疑者Xの献身」が良くて大好きな作品の1つなので
今回も期待してみてきました。
うーん。前作のが良かったかな~・・・
感動するし泣いてしまったけど、何か印象に残らないというか。
前作の容疑者~の方は松雪泰子と堤真一メインで進んでたけども
今回は色々な人が出てきます。
そしてどの人も豪華!
だからこそ、勿体無いというか・・・何かあるのかと思ったら、え、その役でそれで終わり?と不完全燃焼な部分が個人的に残りました。
ですが全体的に観ると時間が経つのがあっという間でした。
それだけ集中してたということかもしれません。
誰と観ても良い映画なのでテレビで放送されるのを期待しつつ!(笑
家族と次は見たいと思います。
第3弾あれば見ます!
白竜さんがいい
原作は未読、ドラマは未見。映画版の前作も未見。
どう差引いても旅館のお父さんが刑事を殺したのはやりすぎだと思った。
殺された刑事がもっと「お前らの過去を暴いてやる!」的な厭らしい刑事ならともかく、すごい実直そうな人だったし「ちょっとお話を訊かせてください」って言っただけなのに・・・。しかも自分は脚が悪いので親戚の子供を実行犯にするなんてひどすぎる。トラウマになっちゃってるし。。
あのお父さんが殺人罪ではなく過失致死と死体遺棄でしか裁かれないとしたら全然いい話じゃないよ!と思ってしまった。
でも杏さんの実父である白竜さんがすごく良かった。
事件をニュースで見て電話をかけるひとり暮らしのアパートの質素さ。「俺は会社も潰れちゃったし、妻も死んじゃったからいいんだ。俺が罪をかぶるんだ」と凶器の入った紙袋を取るところ。遠目に娘を見て「大きくなったなぁ」って言う芝居。ひょこひょこと去っていく後ろ姿の佇まい。
自分が人の子の親になったからか、うるっときてしまった。現代パートの老けメイクがあんまりだったのがちょっと残念。
あと子役もよかった。
やっぱり、岸谷より内海のほうが・・・
東野圭吾原作の人気小説、ガリレオシリーズが原作。
原作からは、それ程大きな改変はない・・・、って言うか、そもそも原作では“岸谷”なる刑事は出てきていないので、そう言う意味では、大きな改変があるとも言います。ただこれは、内海にも同じ事が言えていて、彼女も原作には居なかったのにテレビドラマ化される際に登場したと思うと、逆に原作に進出してきましたからね。この程度は、改変には入らないんでしょう。それ以外の所は、それほど大きく変わっては居ません。沢村と成実の絡みが無くなったくらい?
でもやっぱり、吉高の演技が・・・。何か、必要以上にキャンキャンしていると言うか、当たりがキツイというか、もっと抑えてくれるといいだけどなぁ・・・。これは、2013年4月~6月クールのテレビドラマでも、似たようなことは言われてますね。前回のテレビドラマガリレオは欠かさず見ていたんですが、今回のテレビドラマガリレオは見なかったんで、ドラマは直接見ていないんですが、ドラマで揶揄されていたことが何となく判った気がします。
それと、湯川もなぁ。いままでの湯川と違い、作り物の湯川な感じが・・・。
と、ここまでは厳しいコメントでしたが、いい所を。杏がいいですね~。昨年のぐるナイゴチでバラエティ属性も有ることを示していた杏ですが、定評のある演技も良いです。明るさと憂いを見せる演技は素晴らしかったです。
原作も読んでいて、結末も知っているんですが、映像化されるとまた違いますね。物語後半の、やっと見つけた千波に湯川と岸谷が面会するシーン、湯川が留置されている重治に“仮説”を語っているシーンは、心にグッと来るものがありました。
若干「なんだかなぁ~」と思う所はありますが、原作が良いだけに、中々締まったいい映画だと思います。
ガリレオ流ぼくのなつやすみ
待望?のガリレオ映画第二弾。
天才準教授、湯川学の活躍を描いた「容疑者Xの献身」から早や5年ですか。結構待ちましたよ。まさかのTVドラマ第二期を経てからの、ていう。
でもこれ、あれですね。ドラマはもうよくないですかね?
クオリティ保つ為にも劇場版のみをこれから作っていけばいいんじゃ?という。ドラマが蛇足になっちゃってるというか、なんかね。
ぶっちゃけ二期のドラマつまらなかったでしょ?只の推理モノに成り下がってて。物理学関係なくね?という。だから心配だったんですよ映画も。大丈夫かよ?と。これが酷かったら救いようがないなあ、なんて思いながら劇場に足を運んだ訳です。
いやいや、杞憂に終わりました。今回も映画は素晴らしい出来でしたよ「真夏の方程式」。
ガリレオの劇場版てあれですかね?『愛』がテーマなんですかね?湯川に言わせれば『愛』は非科学的だそうで、しかし愛ゆえに事件は起こる。みたいな。
本当今回は「容疑者Xの献身」以上に泣かせに掛かっとりますよ、ハイ。過剰に泣きじゃくる。風吹ジュンも泣くし前田吟も泣くし吉高由里子も泣くし杏に至っては鼻水垂らしまくって号泣です。愛ゆえに。
まそれは置いといて、今回も事件の展開が絶妙でした。複雑にそれぞれの思惑が絡み合い二重三重と多重構造で物語が進行し、ラスト近辺で全ての答えが出揃った時のカタルシス。そして切ない事実。満足度が高かったです。
劇場版は容疑者Xもそうだけど物理学は殆ど関係なくて、今回も余り関係ないんですけども、まあそれでいいんですよね。湯川の役回りを探偵に置き換えてみると合点が行くというか。
で、タイトルの「真夏の方程式」。
これの本懐って実は湯川や事件ではなくて、ある少年の成長物語にしてることなんですよね。
夏休みに出逢った風変わりなおじさん湯川との交流が少年を成長させていく、みたいな。
大人になるにつれて人は悩むことが増える。
この少年に至っては、いずれ背負っていくことになる、ある重すぎる事実。
なんかね、そこら辺りの諸々を「方程式」と捉えると、なるほどなあ、と。
劇場版第三弾も期待しとります。ドラマは、まあ、うん。
渦巻く人々の悲しみを、美しい夏の海が受け止める
原作は未読、TVドラマは数回見た程度。「容疑者Xの献身」が思いの外良かったので、今回劇場で見ようと思った。
海底資源採掘の説明会に出席する為、美しい海の町を訪れた湯川。宿泊先の旅館の男性客が変死する事件と遭遇。
美しい海を守ろうとする旅館の娘を軸に、今回の事件と15年前の事件が繋がった時、家族が抱える悲しい秘密が浮かび上がる…。
犯人探しやトリックの謎解きより、事件の裏にある悲しい人間ドラマに重点が置かれている。僕はこの手の作品が大好物。
その最高峰とも言えるのが、「砂の器」。
本作を、「砂の器」を彷彿させる、という評を何処かで見た。
秘めたる悲しい真実、それを知るが為に起きた事件、そして深い親子愛…。
真実を紐解き、誰の得になるのだろうか。真実は時に残酷。
本作の見所の一つとして、子供嫌いの湯川と少年の交流がある。
正直、この少年がどんな役割を果たすのだろうと思っていたが、図らずも事件に関わる事になる。
それは同時に、子供がまた一人、重い十字架を背負おうとしていた。
あの少年が今後どうなるか分からない。
だが湯川との交流で、十字架をどう受け止め、どう生きるか、選択出来る考えを持てたのも事実。
湯川が与えた宿題は重く辛いものでもあるが、事件と事件に関わった人たちへの配慮に不器用な優しさも感じた。
すっかり板についた福山ガリレオもさることながら、杏、前田吟、風吹ジュン、白竜ら今回も映画のゲスト出演者が好演。山崎光少年も達者。
余談だが…映画第3弾があるとしたら、福山ガリレオの最大の敵として佐野史郎の出演を熱望!
子どもとの交流織り交ぜて面白さアップ。
面白かったです。
テレビも原作もみたことなし。
映画一作目みて面白かったからこれもみました。
いろいろな原因の男女関係はイマイチ共感できなかったのですが、事件に子ども絡ませたことで内容に奥行きができていました。
推理する、っていうか、悲しい家族関係をしっかり感じたいですね。
優しい家族にみな囲まれてるから悲しさが倍加します。
それにしても、最近の子役は嫌味なくうまいね〜。
観ていて、ジ〜ン、となっちゃいましたよ。
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