炭鉱に生きる
劇場公開日:2006年11月4日
解説
山本作兵衛翁の炭鉱絵画を中心に、炭鉱の人々の暮らしを描き、さらに炭鉱で働いていた人々のインタビューを随所に交えることで、筑豊の炭鉱で生きた人々の文化史に新たな1ページを加えるといった試みに挑戦しているドキュメント。監督はドキュメンタリー映画を数多く手がける萩原吉弘。
2004年製作/70分/日本
原題または英題:Yama ni Ikiru
配給:モンタージュ/メディアストリーミングシステムズ
劇場公開日:2006年11月4日
ストーリー
元炭鉱夫・山本作兵衛氏の炭坑画をベースにして、明治から大正、昭和に至る炭鉱の人々の生活を描いた作品。かつて、ある学者は『日本の近代において炭鉱だけが民族学から取り残されてきた』と言った。このことが示すように、明治から昭和40年代まで、日本のエネルギーの基幹産業として日本経済を下支えしてきた炭鉱は石油の登場によっていつの間にか、人々から忘れ去られてしまった。そして、炭鉱=暗いイメージということだけが一人歩きするように残って、誰一人炭鉱の人々の生活を知らない。まさに炭鉱社会は封印された世界のように扱われてきた歴史的側面がある。筑豊の地には、今こそ現代に生きる私たちが再認識しなければならない日本人のアイデンティティーや共同体の香りが濃厚にただよっている。この映画は、山本作兵衛氏が描く炭鉱の社会と、戦後の炭鉱社会で生きてきた人々の取材とが重なり合って進行しく。そして、それらが織りなす世界からは、次のメッセージが明確に打ち出されている。『いつの時代も、無辜にして無垢なる民によってこの国は支えられてきたのである』