ナッシング・パーソナル
劇場公開日:1997年2月1日
解説
テロによる事実上の内戦状態が何十年も続く北アイルランド。これまではアイルランド/カトリック側のIRAの側にばかり焦点が当てられてきたこの紛争を、逆にプロテスタント/ユニオニスト(英国領であることを望む人々)のテロリストの側から描いた一編。監督は『12月の花嫁』(NHKでテレビ放映)のサディアス・オサリヴァンで、正式な日本公開は本作が初めて。製作は「白馬の伝説」のジョナサン・カヴェンディッシュと「巨人と青年」のトレイシー・シーウォード。製作総指揮は『12月の花嫁』「白馬の伝説」のジェームズ・ミッチェル。原作は劇作家・小説家のダニエル・モーニンで、脚本も自ら執筆。撮影は「秘密と嘘」のマイク・リー監督との長年のコンビで知られるディック・ポープ。音楽はフィリップ・アプルビー、美術はマーク・ゲラハティー、編集はマイケル・パーカーがそれぞれ担当。衣裳は『12月の花嫁』「フィオナの海」のアイルランドを代表する映画衣裳デザイナー、コンソラータ・ボイル。出演は「大地と自由」のイアン・ハート、「キャル」「フィオナの海」のジョン・リンチ、「永遠の愛に生きて」のジェイムズ・フレイン、「フィオナの海」で注目された子役ジェニ・コートニー、「コミットメンツ」のマリア・ドイル・ケネディ、「白馬の伝説」のルーアリー・コンロイ、そして「ジキル&ハイド」などアイルランド映画/演劇を代表する名優マイケル・ガンボン。ヴェネチア映画祭助演男優賞(イアン・ハート)受賞。
1995年製作/82分/アイルランド・イギリス合作
原題または英題:Nothing Personal
配給:クレストインターナショナル=シネカノン(クレストインターナショナル=シネカノン=イメージファクトリー・アイエム提供)
劇場公開日:1997年2月1日
ストーリー
1975年、ベルファスト。プロテスタント地区のパブで爆弾テロがある。リアム(ジョン・リンチ)はカトリックだが、その救助活動を手伝う。彼は娘キャスリーン(ジェニ・コートニー)と息子リアム・ジュニア(キアラン・フィツジェラルド)のいる男やもめの普通の市民だ。折しもIRAとロイヤリストが休戦協定を結ぼうとしており、指導者たちは穏便に済ませようとするが、ロイヤリスト側の実行部隊のケニー(ジェイムズ・フレイン)とジンジャー(イアン・ハート)は納得がいかず、指導者のレナード(マイケル・ガンボン)の命令を無視して勝手にIRA側のメンバーを射殺、それは街頭での両派の衝突騒ぎに発展し、バスが焼き討ちされる。リアムは巻き込まれて負傷する。彼を助けたのはケニーの妻アン(マリア・ドイル・ケネディ)だった。ケニーのテロ活動で夫婦は崩壊しており、アンとリアムは互いにひかれ合う。一方キャスリーンは父を探してプロテスタント地区に入る。レナードはケニーに、じき停戦が合意され、そうしたらジンジャーのような過激な男は危険だと語る。上層部に幻滅したケニーとジンジャーは深夜の町でリアムを捕らえ、IRAのスパイだと言って拷問する。ケニーとリアムは実は幼なじみだった。二人だけになったとき、彼はリアムに「個人的な恨みはなにもないんだ」と言う。ケニーの尽力でリアムは解放されることになり、一同はカトリック地区との境界まで彼を連れていく。そこにちょうどキャスリーンと、仲良しの少年マイケル(ガレス・オヘア)がきていた。父子は再会を喜ぶが、マイケルがケニーたちに銃を向ける。興奮したジンジャーも銃を抜く。キャスリーンは必死でマイケルを止めようとするがその銃が暴発、彼女は死ぬ。虚脱感に襲われるケニーたち。夜明けとともに、レナードの依頼をうけた英正規軍が彼らを包囲する。彼らは絶望的な反抗を試みて全員射殺された。墓地でキャスリーンが埋葬された。同じ日に、ケニーの葬儀も行われていた。再会したリアムとアンは、最愛の者を失ったどうし、いたわり合うようにお互いを抱きしめた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- サディウス・オサリバン
- 脚本
- ダニエル・モーニン
- 原作
- ダニエル・モーニン
- エグゼクティブプロデューサー
- ジェームズ・ミッチェル
- 製作
- ジョナサン・カベンディッシュ
- トレイシー・シーウォード
- 撮影
- ディック・ポープ
- 美術
- マーク・ゲラティー
- 音楽
- フィリップ・アップルビイ
- 編集
- マイケル・パーカー
- 衣装デザイン
- コンソラータ・ボイル
- 字幕
- 進藤照光
受賞歴
第52回 ベネチア国際映画祭(1995年)
受賞
ボルピ杯(最優秀助演男優賞) | イアン・ハート |
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