母なき子
劇場公開日:1955年12月4日
解説
「美女と怪龍」の新藤兼人と「銀座の女」の共同脚色者の一人高橋二三が共同で脚本を書き、「青空の仲間」のコンビ堀池清が監督、柿田勇が撮影を担当した。主なる出演者は「沙羅の花の峠」の南田洋子、「続・警察日記」の三島耕、「銀座二十四帖」の三橋達也、「未成年」の東谷暎子、「大岡政談 人肌蝙蝠」の明智三郎、「沙羅の花の峠」「未成年」の利根はる恵など。
1955年製作/89分/日本
原題または英題:The Motherless
配給:日活
劇場公開日:1955年12月4日
ストーリー
今は亡き関西の浪曲師京丸の娘富子は、むかし父の弟子だった安吉の媒酌で、東京の自転車工場で働いている省二と結婚したが、まもなく良人には先妻との間に武という子供がいると判り、びっくりして大阪へ逃げ帰った。ある日、アル・サロの女給で親友の光枝と働き口を相談していると、省二が死んだ通知に慌てて上京したところ、誰も武を引き取ろうとしないので富子が連れて帰るよりほかはなかった。武の生母を探してやりたいと、富子は武と一緒に安吉の東京新芸術座に加わり地方巡業に出たが、鶴見で興業中、結婚詐欺で訴えられそうになった光枝が駆け込んだ。その晩、些細なことで富子に叱られた武は表に飛び出し、杉本巡査に送られて来た。親切な杉本巡査は婦警の前田友子と相談して武に養子の口を見つけたが、富子は首を横に振った。やがて武の生母の居所が判った。鈴代というその女は月賦販売の外交員で、金の亡者だという評判だった。すったもんだの挙げ句、遺産つきの条件で鈴代は承知した。安吉の甥明が、鈴代から月賦で買った電気洗濯機を質に入れて、金を工面してくれた。富子は武をつれて鈴代のアパートへ出かけるが、急に思い直して引き返し、潮来巡業に参加した。興業は大入りだったが、脱税が露見して安吉と明はブタ箱に入れられた。富子はさきに一座をドロンした月之助と春菊を、自分が辞めることで復座させてやり、鈴代の許へ出かけた。やっと武を置き去りにして安吉の家に辿りついた富子が省二の写真に向かって、恨み言をいっていると思いがけなく武が帰って来た。富子は武を抱きしめて、お父ちゃんのお墓参りに岩手へ出かけるのだった。