南風(1951)

劇場公開日:

解説

「純白の夜」の小出孝の製作で、富田常雄の原作を「七つの宝石」の沢村勉が脚色し、「母恋草」の岩間鶴夫が引つづき監督に当っている。撮影は「若い季節(1951)」の森田俊保。出演者は、「舞姫(1951)」の高峰三枝子に、「若い季節(1951)」の若原雅夫、「母恋草」の岸恵子に柳永二郎、吉川満子、伊沢一郎などの助演である。

1951年製作/92分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1951年9月14日

ストーリー

柔道界の雄、O大学の濱誠一郎は九州からの東京へ帰る列車中で、美しい女性の姿を見て心をひかれた。帰京後恩師津田青峯の紹介で築地の料亭「時津」の家庭教師となったが車中の美しい女性はその家の娘で、「クイン・レコード」の歌手添島環であった。彼女はアパートに別に住んで歌の勉強にいそしんでいた。環も誠一郎に心をひかれるようになったが「時津」へ金を貸したことを笠に着て、強引に環に求婚をしている柔道六段で土建会社の社長の伊丹眞之助という男があった。伊丹は環と誠一郎との接近を快よく思わず、無理にでも環を自分のものとしようと迫るが、環は、「柔道選手権試合に勝った人と結婚する」といってのがれた。神聖な試合に女性を賭けるなどということは誠一郎の意に染まなかったが、環への愛情のためには後へはひけなかった。伊丹は卑怯にも自分の情婦に誠一郎を誘惑をさせたり、子分に夜討ちをかけさせたりしたが、少しもひるまなかったが、試合当日になって、不幸にも足をくじき伊丹との決戦をあきらめなければならなかった。伊丹の優勝祝賀会に出た青峯氏は柔道は実力で決すべきだといって、再び環の窮地を救った。伊丹から挑戦状をつきつけられた誠一郎は、誰にも黙って一人痛む足をひきずって伊丹の道場へ乗り込み、見事得意の一本背負で伊丹を投げた。数日の後、九州へ向う列車中に誠一郎と環の晴やかな姿が見られた。

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