無国籍者
劇場公開日:1951年4月14日
解説
製作は「春風無刀流」のマキノ光雄と高木次郎。雑誌モダン・ロマンス連載の高見順の原作を「宝塚夫人」の八住利雄が脚色し、「恋人(1951)」の市川崑が監督した。出演者は、「悲歌」の上原謙、「赤い鍵」の菅井一郎、「春風無刀流」の宮城千賀子、他に津山路子、利根はる恵など。
1951年製作/85分/日本
配給:東映
劇場公開日:1951年4月14日
ストーリー
銀座裏のキャバレー・ピジョンのマスター桜井の所に不気味な男、戸張が現れ桜井を驚かせた--物語は昭和十一年に遡る。当時貿易商社勤務の桜井は銀座のバー・エメラルドの葉子に通いつめていた。その店でいつも会う華族くずれの不気味な男が戸張だった。葉子は密かに戸張に愛情を捧げていたが、ある日戸張は突然姿を消した。昭和十七年、太平洋戦争で桜井は、謀略部隊の通訳としてマレーに行き、思いがけなく奥地で戸張に会った。戸張は特殊スパイで憲兵隊の手に依り死亡届が出された無国籍者になっていた。桜井は謀略部隊の仕事で良心を失い、部下の下阪を殺して鉱山に埋蔵された金を私腹した。戸張は偶然この事実を目撃した。--そして今、戸張の出現は桜井にとって衝激であった。しかも桜井は殺した下阪の妻春江を情婦にしていた。その上葉子の妹千夜子を使って戸張の宝石をも奪わんとした。春江は桜井が夫の敵であることを知って逆上した。妹千夜子の身を案じた葉子と戸張とがピジョンにかけつけたとき桜井を殺し自分の命をも絶った春江の無惨な姿があった。