新馬鹿時代
劇場公開日:1947年10月13日
解説
「聟入り豪華船」「四つの恋の物語(1947)」等の小国英雄の脚本で山本嘉次郎が久し振りにメガホンをとる。キャメラは「霧の夜ばなし」「四つの恋の物語(1947)」(第三話)等の伊藤武夫が当っており、出演者はロッパとエノケンの顔合せ、他に高田稔、三益愛子、花井蘭子らが出演。
1947年製作/88分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1947年10月13日
ストーリー
終戦と共に現われた新時代のたまり場、それはヤミ市である。人々はただただ生きるがためにそこにひしめき、生きるがためにヤミを売り、ヤミを買っている。直ぐそこの交番では鳴物入でヤミ防止の宣伝に大わらわ。しかしヤミ商人達は少しも動じない。それもそのはず、ヤミ商人達はエサを与えてお巡りを飼っているのだ。しかし例外が一人いる。小原巡査がそうだ。ヤミは絶対せず、配給以外の物は食べないというから始末に困る。ヤミ屋の金次郎はいつも彼に追っかけられているが、幸い小原は二十六貫のデブデブ、足が遅いので捕まった試はない。金次郎はある日、復員以来訪ねあぐねていた姉に会い、その家へ行って見た。彼はここで始めて姉が小原巡査の妻であることを知りびっくりしたが、話を聞けばその生活は苦しくヤミなき家庭の暗さに同情をし、内緒で米を続かせることを約束した。そんなことも知らず、小原は相変らず金次郎を追いかけている。ヤミ屋金次郎も、者小原と同じような生活のため息をついているから面白い。「金があればなァ」と。その頃計らずも、小原が持っていた荒廃の山から石炭が出たというので早速買手がつき、一千万円という金が転げ込んで来た。妻から金次郎の話を聞いた小原は感激のあまりその半分を彼に分けてやったが、金は麻薬のように二人の性格を一変してしまった。コチコチの小原は豪邸を買い、芸者だ、ダンスだとしゃれ込み、金次郎は商事会社を建てた。しかしそれも一時の夢、小原の家は焼け、金次郎の会社は同業者大野にうまくやられ、彼等は結局、地味な元の仕事へ戻った。小原はお巡りに、金次郎は電車の運ちゃんに。そして二人は吐息をついた「これ以上に味のある生活はないものだ」と。