看護婦の日記
劇場公開日:1947年7月1日
解説
太宰治の原作『パンドラの匣』より「踊子物語」の八木沢武孝が脚色、吉村廉が久方振りにメガホンをとる作品で、キャメラは「花咲く家族」の峰重義が当る。抜擢された関千恵子は昨秋応募したニュー・フェイスで本年度研究所第一期卒業生である。なおコロムビアの奈良光枝も特別出演する。
1947年製作/76分/日本
配給:大映
劇場公開日:1947年7月1日
ストーリー
新緑にもえた初夏の高原にくっきりと浮ぶ純白の高原療養所、「健康道場」では院長のことを場長、医者は指導員、看護婦は助手、患者は塾生と呼ぶ。そして彼等は決して相手のことを本名では呼ばない、ひばりとかかっぽれ、孔雀、ラジオ、固パン等とあだ名で呼んでいる。初めての人はちょっと面食らうが、この位で目をまわしてはいけない。彼等の挨拶を聞いてみたまえ。「やっとるか!」「やっとるぞ」「頑張れよ」「よオしきた」という調子。だから病室は常に明るく晴れやかである。ここでは年齢の差別も階級差もない。彼等に言わせればつまり「一視同仁」という。しかし人間の集いに間違いはなく、助手たちが心を惹かれて行く一人の素晴らしい若い患者がいる。彼は音楽学校の学生でひばりと呼ばれる小柴利助である。まづ婦長格の竹さんが彼に心を焦がしているのだ。しかし助手の中でも一番若いマア坊がやはりひばりに一生懸命になっている。それを知っている竹さんは苦しむが、竹さんの性格はあまりにも美しく、あまりにも優しく、あまりにも弱々しく、結局、マア坊とひばりの仲を育ててゆくのだった。竹さんは内々にマア坊の心を固めさせ、そしてひばりと結ばせ、自分は気が乗らないままに場長の所へ嫁いで行く。ひばりとマア坊の恋もたくましく育った頃、ひばりの病気も順調に癒えやがて白亜の巣を飛び立つ日も近いであろう。