深夜の市長
劇場公開日:1947年4月8日
解説
「ニコニコ大会 追ひつ追はれつ」「お笑い週間 笑う宝船」に次ぐ川島雄三監督作品。撮影は復員した長岡博之が当り、大映から月形龍之介が特別出演している。
1947年製作/73分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1947年4月8日
ストーリー
復員した憲三は五年前の銀行ギャング事件で処刑された兄憲一の無実を信じ、親友の新聞記者浅海と当時の真相を知る溝呂木文吉を探していたが、ある日旗江という娘と知り合いお互いにほのかに通う感情を抱く。五年前の秘密を知る文吉は、からくりの漏洩を恐れる惑田一味から執拗につけ狙われていたが、一夜危いところを憲三に救われる。この情景を物陰でじっと凝視している男、それは「深夜の市長」だった。惑田はかつての白竜会の巨頭で戦時中惑田機関の指導者として大陸の特務工作に従事し、現在は悪質ヤミブローカーとして夜の世界を支配しているが、五年前のときの政府と結託、不良少年文吉を利用してギャング事件の架空の犯人をでっち上げた張本人である。「深夜の市長」と呼ばれる謎の男は、一時は憲一の同志でもあった男で、いまでは惑田機関の重要人物となっているが、最近ふとみた憲三の姿からもしや昔の同志憲一の弟ではないかと考え、懐疑的になっている。旗江は憲三の探し求めている人物が他ならぬ自分の実兄文吉であることを知り、運命の皮肉なめぐり合わせを悲しんだ。惑田の文吉に対する迫害がますます強められた頃憲三はようやく文吉の家をつきとめたが、旗江が文吉の妹であることを知り内心ひどく驚いた。文吉は憲一の無実を告白するが惑田の輩下に傷けられた。しかし憲三の活躍と旗江の急報で一味は捕えられ、惑田も「深夜の市長」に倒される。市長も重傷を負うが、その苦しい息の下でギャング事件の真相を憲三に伝えた。