人形の歌

劇場公開日:

解説

三村章子の同名小説を映画化したもので、「素っ裸の年令」の共同執筆者・寺田信義と、後藤望が脚色し、「南国土佐を後にして」の斎藤武市が監督した。撮影も「南国土佐を後にして」の高村倉太郎。

1959年製作/85分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年9月8日

ストーリー

京都に恋人の喬平をおいて、刺激の多い人生を求めて恵子は東京行の汽車に乗った。汽車の中で偶然席を向いあわせた中年の男勢津を彼女の目がとらえた。彼は有名な美術写真のキャメラマンだった。美術出版社につとめた恵子は、仕事の上でも彼と関係をもった。上野の美術館に写楽の版画を撮影に行ったり、奈良で仏像の写真を撮ったりするうちに、二人の心は接近した。彼が自分のういういしさにひかれているのを知った彼女は、彼の心にかなうような純情さを演技してみせた。そして奈良の森で彼と最初に接吻した日、夜に入ってたずねてきた喬平と、彼女は結婚しようと決心した。一人の男を愛しながら、別の男と結婚する女--そんな悲劇のヒロインになることが、彼女の心をわきたたせたのだ。東京の出版社に帰った恵子は、この悲劇をより面白いものにするために、見物人として坂本を選んだ。出版社に彼女を世話してくれたのも彼だった。自分の悲劇的な身の上を、恵子は彼に強調した。その頃、このドラマの進行にもう一人の人物が登場してきた。恵子の学校時代の友で、まだ童顔の抜けきらぬ高崎正一だった。彼女は、彼とプラトニックな恋愛を演技した。そして喬平との挙式の十日前、彼女は勢津に身体を与えた。喬平との式後も、彼女は勢津に会い、高崎の心をひき、坂本に甘えた。ドラマは予定どおりに進行していた。夫と、愛人と、プラトニックな恋人と、信頼に結ばれた異性の友。四人の男に、四通りの演技をもって彼女は接した。だが、彼女は妊娠し、ドラマの終幕がやってきた。上京した高崎が、恵子とベッドをともにする勢津を見てしまったのだ。「汚れている、汚れているんだ、その体は!」折から坂本も高崎を追って部屋にやってきていた。非難をこめた三人の男の目のまえに、恵子はガウンを脱いで白い裸身をさらした。「私は愛の可能性を、身体でためしてみたかっただけよ」とつぶやきながら。恵子の白い肌が、三人の男たちに無言の抵抗をするように光っていた--。

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