たそがれの東京タワー
劇場公開日:1959年2月18日
解説
東京タワーを背景としたメロドラマ。「白昼の侵入者」の星川清司の脚本を「俺たちは狂っていない」の阿部毅が監督した。撮影は「さよなら、こんにちわ」の小林節雄。
1959年製作/63分/日本
劇場公開日:1959年2月18日
ストーリー
銀座裏の洋裁店リラの針子、吉野京子は、ある日、店から持ち返って仕上げたコートを、つい着てみたくなり、それをまとうやネオンの輝く街に出た。貧しいが人並に着飾ってみたい若い娘心がそうさせたのだ。京子は、夜空にそびえる東京タワーに魅せられ展望台へ上った。そこで彼女は、機械修理工をやっているという青年・津田直樹と知り合い、お茶を飲んだ後、車で送ってもらった。次の土曜日、必ず逢おうという直樹の言葉に京子は、うなずいたが自分が富豪の令嬢らしく振舞ったことを後悔しはじめていた。が、約束の夜、京子は店に飾ってある衣裳を着て東京タワーへと走った。直樹は待ちくたびれていた。京子は言い訳をいった。パパの誕生日の買物をしていたと。そして彼女の嘘は--パパが外国航路の船長だと、デザイナーの勉強に外国へ行くこと--果てしなくつづいた。嘘をゴマカすため京子は逢引の度に店の服を着て出た。直樹には親の決めた結婚の相手、暁美がいたが、京子との結婚を真剣に考えるようになっていた。ところが遂に、京子が店の洋服を着て外出することがバレた。しかし店主のアヤは京子から話を聞き逆に慰めてくれた。翌日、仕立直しのコートをもって京子は、暁美の家とも知らず宏壮な邸宅を訪れた。丁度直樹が来ていた。直樹は京子とすれ違ったが気づかなかった。京子の心は騒いだ。そして女中から直樹が大自動車会社社長の息子と聞かされ、今は自分の恋も諦めようとした。京子は店へも家へも戻らなかった。そのころ直樹は父の反対を漸く説き伏せ京子との結婚を承諾させた。彼は心当りを探した果てに東京タワーへ来た。そこには京子がいた。二度と離れぬと二人は手を握り合った。