修羅八荒(1958)
劇場公開日:1958年11月11日
解説
「濡れ燕 くれない権八」の市川右太衛門・大川橋蔵が主演する娯楽時代劇。行友李風の原作を、「旗本退屈男」の比佐芳武が脚色、「希望の乙女」の佐々木康が監督した。撮影は「不知火小憎評判記 鳴門飛脚」の伊藤武夫。右太衛門・橋蔵の他、雪代敬子・花柳小菊・大河内傳次郎・丘さとみ・尾上鯉之助らが出演。
1958年製作/93分/日本
原題または英題:The Lost Public Funds
配給:東映
劇場公開日:1958年11月11日
ストーリー
京都二条城の御金蔵から四千両の御用金が盗まれ、責任を感じた番所組頭・遠藤但馬は自決を決心したが、所司代・板倉内膳正の計いで、甥の浅香恵之助を怪盗の詮議と四千両奪還の旅に立たせることによって、これを思い止まった。怪盗を探る唯一の手掛りは御金蔵の傍に落ちていた剣かたばみの定紋入り印篭だった。怪盗を求めて江戸へ旅立つ前の一日、恵之助は、彼が元芸者・江戸節お駒と愛の巣を営んでいるのを面白からず思っていた同僚・三輪与一郎に果し合いを挑まれた。が、恵之助が約束の濠端に現れる直前、与一郎は何者かに斬られ、彼も、同じ刄を受けようとした。その場は難を逃れ、江戸へ出発した。しかし、恵之助は、与一郎の弟・滝太郎と、許婚の雪江の二人に仇と狙われるに至った。恵之助の後を追ってお駒も江戸へ向った。大井川にさしかかった恵之助は、虚無僧姿の陣場弥十郎と名乗る剣客一味と彼らに同行する御後室風の女・鏡月院に会ったが、たまたま手に入れた黄金一枚が正しく盗難品で一行の荷物の中から出たことを知り、彼らが盗賊一味の確証を得た。一方の陣場も、恵之助の持つ例の印篭を見て、奪還をはかった。丁度そこへ、お駒が追いついて来たが、語り合う暇もなく二人は、これを追ってきた三輪滝太郎の刄を避けて、陣場追求の旅をつづけねばならなかった。陣場は恵之助を、薩陀峠に待ち受けていた。二人の間に凄壮な斬り合い。一瞬、陣場は過って断崖へ転落した。が、陣場は江戸へ着き、本所の金蔵院にこもった。陣場一味は幕府の若年寄・松平安芸守の命で、所司代・板倉内膳正の失脚を目的に御用金を盗んだのである。恵之助も江戸に着き、大川端の舟宿に拠って陣場一味を探索する一方、妹お蘭を訪ね、間もなくそこへ現れるはずの滝太郎に、彼の仇は陣場であると告げるよう頼んでおいた。やがて、恵之助は陣場らの奸計を見抜き、これを暴露しようとしたが、寸前、お駒が一味に誘拐され、印篭と引替えに渡すと、夜の御陣ケ原におびき出された。しかし恵之助は、自らの必殺剣と、彼に心を寄せつづけていた鏡月院の裏切りで救われ、一味を追いつめた。しかし、そこへ滝太郎が駈けつけ兄の仇、陣場をうち果した。松平安芸守の陰謀は崩れ、恵之助とお駒、滝太郎と雪江の二組は、晴れやかに京へ旅立った。