鷹狩と小熊哀話
劇場公開日:1957年9月8日
解説
山形県真室川を中心にオールロケして、寒村の子供と子熊との愛情を描いた児童劇短篇。平山清郎と佐藤武が共同で脚本を執筆し、佐藤武が監督、中村政治が撮影を担当した。新日本映画作品、新東宝配給。
1957年製作/40分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1957年9月8日
ストーリー
東北の一寒村。分教場の生徒たちは鷹匠の沓沢老人から、山のみやげに二匹の子熊をもらった。楽しみのすくない子供たちは大喜びで小屋をつくり、交替にエサを運んだ。しかし、三吉だけは公然と子熊に愛情をそそぐことが出来なかった。というのは、母のない家で、姉娘を町へ奉公にやらなければならぬほど暮しにつまっていた三吉の父吉造が、「あんな子熊、叩き殺してくれる」といったのが、三吉に仕返しされてきたのである。三吉は子熊が可愛くてならない。ある雨の夜、ずぶ濡れになって小屋の屋根を拭いてやったが、それを目撃した級友があったことから、子供たちは三吉と打ちとけ、子熊をかこむ輪の中にも、三吉の明るい顔が見られるようになった。ところが、ある日、子熊が二匹とも逃げてしまった。そして、一匹は遂に見つからなかったが、もう一匹の方は夜通し山を探し歩いた三吉の手に抱かれ、すやすや眠っているのが村人に発見された。そんなとき、奉公に出ていた姉は沓沢老人の尽力で、三吉の家へ帰った。まもなく、三吉は子熊と別れなければならぬ日がきた。ひとりぼっちになった子熊を、毎夜もう一匹が山から逢いにきて、悲しそうに啼きかわすのが皆に知れ、山へ戻してやろうという相談が生徒会でまとまったからだ。一同の代表で三吉は子熊を抱いて山へ行き、名残りをおしみながら、ふりかえりふりかえり帰るのであった。