ケス
劇場公開日:1996年5月
解説
1960年代前半のイギリス、ヨークシャー地方を舞台に、労働者階級の少年とハヤブサの交流を、厳しさとあたたかさの同居する繊細なタッチで描いた、イギリスの名匠ケン・ローチ監督初期の傑作。母と兄と3人で暮らす15歳の少年ビリーは、ある日見つけたハヤブサの巣からヒナを持ち帰り、ケスと名付けて飼い始める。学校では教師からも同級生からもひどい扱いを受ける彼は、ケスと過ごす時間だけが唯一の楽しみとなっていく……。
1969年製作/112分/イギリス
原題:Kes
配給:シネカノン
スタッフ・キャスト
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2022年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー ビリーは毎朝、6時に起き新聞配達をしながら、学校に通う。母も日々働き、兄ジャドも炭鉱夫として働く日々。そんな兄の唯一の愉しみは馬券を買う事だった・・。-
◆感想
・貧しい日々、周囲からも揶揄されながら学校生活を過ごすビリー。そんな彼が、ある日、偶然鷹の幼鳥を見つけ、古本屋から鷹の飼い方を記した本を万引きし、少年鷹匠の如く、ケスと名付けた鷹を飼育していく。
・ビリーが皆の前で、鷹の飼い方について説明するシーン。皆の知らない単語を黒板に書きながら、鷹の世話について生き生きと説明するビリーの表情。
- 一人の先生は、わざわざビリーがケスを飼っている小屋を訪れる。-
・ビリーの生きがいにもなっていたケス。だが、。ケスの食料を飼うために兄ジャドから渡された馬券のお金を使いこんでしまい・・。
<サッカー好きのケン・ローチならではの、サッカー好きの先生によるは”えこひいき”サッカーシーンは面白く。
そして、それまで学校の友達たちから揶揄されていた、やせっぽちのビリーが鷹の世話について淀みなく話すシーンから、友達たちのビリーを見る眼が変わるのであるが・・。
ビリーの愉しみが、一瞬にして消え去るシーンは切ない。
彼が、ケスを見つけ土に埋めるシーン。
厳しい現実をリアリズム溢れるシーンで描くことを信条とするケン・ローチの、その後の社会派作品の秀作を数々世に出してきた萌芽を感じさせる作品である。>
2021年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
映画
『ケス』
の感想をブログに上げました。
『巨匠を観る』企画、9作目(全27作)の映画です。
監督:ケン・ローチ
制作年:1969年
制作国:イギリス
【あらすじ】
イギリスの炭鉱町で暮らす少年(中学生?)ビリー。
家は貧しく、体も小さく身なりも汚い。
学校でも教師から疎まれる日々を送る中で、森の中でハヤブサのヒナと出会い育て始める。
ハヤブサと少年の交流を描きながら、大人へと成長していく少年の鬱屈した思いを描く。
【感想】
この当時のイギリスの労働者層の現実も描きながら、救いのない少年の姿にケン・ローチらしい社会の矛盾への強い怒りを感じる作品でした。
個人的に映画の中でケン・ローチの声を代弁する声が少年だとなかなか感情移入し辛く、他の作品ほど入れ込めなかったというのが少し残念でした。
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ブログの方では、ネタバレありで個人感想の詳細とネット上での評判等を纏めています。
興味を持って頂けたら、プロフィールから見て頂けると嬉しいです。
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ケンローチ監督の古い作品でも、観られる喜びをかみしめている。
しかし、ひどいなぁ。
校長も家族も学校も社会も本当に「ひでぇ!」の一言だけど、ハヤブサ(鷹じゃないんだね)を訓練する姿には頑張れ!と言いたくなる。
唯一話を聞いてくれた教師がいてよかったよ。
まぁ、割と突拍子もなく展開するので、ついていけないところもあったけど。
少年はその後どんな人生を送ったんだろうか。
劇中も実生活でも。
監督、最近も社会に対する怒りを作品にぶつけてらっしゃるけど、相当辛い思いをなさったのか?
2019年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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体操の服をビリーだけ持っていない。「どうせ卒業するのだから服は要らない」と答えるが、卒業までは4年ある・・・
年齢ごまかしたり、体育の先生に逆らったり、純粋な少年なのだが平気でウソをつく。淡々と進むストーリーの中にも同級生と先生のやりとりが非常に面白い。トリュフォーのように少年の心情にまで深く切りこまずに、幼い少年が就職しなければならない時代背景や寒々とした雰囲気が妙な気分にさせるテクニック。3人の教師それぞれがビリー少年に対する接し方が全く違うところも面白い。
鷹の飼育について教室で発表させたおかげで、ビリーは鼻高々にもなり、自分のやってきたことに自信を持ったのであろう。この先生もなかなかのものだ。
就職のための面談から現実に戻り、やがて鷹のケスがいなくなってしまうことの焦燥感と虚無感。兄の金を使いこんでしまったことから起こる悲劇。兄貴の残酷さにも怒りを覚えるが、それよりも就職しなければならない虚しさのほうが重くのしかかる。ペットなんていつかは死の悲しみを味わわなければならないし、現実に戻されて大人の道を進むこと、この冷たさのほうが記憶に残るかもしれない・・・とはいえ、次男坊の主人公ってもともと感情移入しにくい。