ひかげの娘
劇場公開日:1957年6月5日
解説
小説新潮所載の野口赫宙の同名小説の映画化。「倖せは俺等のねがい」の新藤兼人が脚色、「美貌の都」の松林宗恵が監督した。撮影は「おしどりの間」の三村明。花柳界に育った女の苦悩を描く。主演は「大阪物語」の香川京子、「東京暮色」の山田五十鈴、「山鳩」の三好栄子、「あらくれ(1957)」の東野英治郎、仲代達矢、「東京だョおッ母さん」の伊藤久哉。ほかに中村伸郎、淡路恵子、若山セツ子、中北千枝子、千秋実など。
1957年製作/98分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年6月5日
ストーリー
修善寺で芸者屋の一人娘として育てられた房子の家は、母も祖母も芸者上りで、母は彼女をおいて情夫と駈落ちした。ある日その母を未練がましく追う父の繁雄を激しく責める祖母おつたの口から房子は意外のことを聞いた。「房子だって誰の子か判りやしない。」-感受性の強い年頃の彼女は以来、自分が日蔭の子という劣等感をもつようになった。祖母と折合のつかぬ繁雄は房子を連れて上京、彼女の伯母お絹の経営する“小浜”へ頼って行った。房子は帳場を預ったが日夜目にする社会の裏面に激しい嫌悪を感じた。が彼女は店へ来る客で四十七、八にもなる評論家山岸に惹かれた。山岸も芸者の子であった。房子は、また戦後派的な紙問屋の社員篠崎に好感を持っていたが、彼と逢引して店へ帰ると、お絹から、情夫と行方を昏ましたアプレ芸者政代が男に逃げられ湯河原で自殺未遂の身を保護されているから迎えに行くよう頼まれた。湯河原には房子の幼友達、高野がいたので、彼女は彼にも会いたいと湯河原に出かけた。高野は駅に出迎えていた。が、「結婚したい、どこかへ行って話を……」という高野に房子は総ての男に共通するものを感じて、そのまま別れた。房子は政代を連れて帰京した。が、その夜、馴染の芸者と泊っていた同業の“えり菊”の主人が房子の部屋へ忍び込んできた。翌朝、彼女は自殺を計った。しかしそれは未遂に終った。数日後、房子は山岸に会った。心のより処を山岸に求め房子は総てを彼に許した。だが山岸も彼女の肉体を求めるだけの男だった。山岸から遠去かった房子は、今度は篠崎に誘われ山中湖へ行き、彼と関係を結んだ。それは結婚を前提としていたが、房子は捨てられた形となった。が彼女の体には山岸のか篠崎のか何れとも判らぬ子が宿っていた。遂に房子は、このいやらしい社会から逃出す決心をした。こっそり病院に行き堕胎した房子は、涙とともに人生の再出発を誓うのであった。
スタッフ・キャスト
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房子香川京子
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お絹山田五十鈴
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綾子塩沢とき
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お染小沢経子
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おつた三好栄子
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繁雄東野英治郎
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本橋(学生)仲代達矢
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篠崎(紙問屋社員)伊藤久哉
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山岸(評論家)中村伸郎
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高野(土産物屋)佐原健二
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幸子(房子の友人)岩崎加根子
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守田田中春男
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健太郎(守田の息子)加藤春哉
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えり菊の主人千秋実
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お愛(小浜の仲居)中北千枝子
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おきく(小浜の仲居)音羽久米子
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政代淡路恵子
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以久子北川町子
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筆右福子
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菊江お千代
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千代香若山セツ子
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安川(篠崎の友人)守田比呂也
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岡元(篠崎の友人)堺左千夫
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敏子(篠崎の友人)恵ミチ子
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智恵(篠崎の友人)小泉澄子
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老紳士石山竜嗣
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紙問屋の課長田辺元
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蔦乃家の女将清川玉枝
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若梅の下働きの婆さん馬野都留子
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笑香(病気の芸者)津山路子
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えり菊の奥さん花房一美
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産婦人科の医師坂内英二郎
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産婦人科の看護婦背山哲子
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三等重役(立花)田中志幸