動物園日記
劇場公開日:1957年4月3日
解説
「絵を描く子どもたち」や「双生児学級」などを発表して好評を得た岩波映画が新しく製作した記録映画で、動物園の生態を飼育係の苦心などを点綴しながら克明に描いている。前記二作に続いて脚本、監督を羽仁進、撮影を今野敬一が担当し、上野動物園飼育課長の林寿郎が監修に当る。なお、舞台は上野動物園が使用された。
1957年製作/76分/日本
原題または英題:Zoo Diary
配給:日活
劇場公開日:1957年4月3日
ストーリー
動物園の朝は早起きの動物たちの鳴声でやってくる。白手手長猿、袋手長猿、わらいかわせみの奇妙な鳴声はまた格別。ひぐまは外に出たいと扉を叩く。飼育係は朝早くから餌の準備に追われる。一番大食なのは象。甘藷十二貫、人参四貫五百匁、キャベツ六貫、リンゴ一貫百匁、乾草十貫、わら三十貫が一日の食糧である。最も人間に近いものを食べるのがチンパンジー。卵黄入り牛乳一合バナナ四本、リンゴ三個、ミカン四個、コッペパン二個、菜ッ葉一束、番茶、半熟卵三個の豪華版。ある晩、ライオン夫婦が仔を産んだが育てようともしないので飼育係が親代りとなる。乳を用意。ライオンの乳は牛乳より濃いので卵の黄味をまぜる。やがて眼が見えてくる。夜は三時間毎に授乳。散歩もできるようになるが親に会わせると恐がって寄りつかない。動物の子供ばかりの子供動物園で豚の子や猿の子におどかされたりからかわれたりして成長して行く。雄のサイのハリーは映画「キリマンジャロ」に出演したスタア。レディと見合することになる。サイは目が利かないので耳と鼻でお互いを知ろうとする。突然ハリーがレディを角で突き二頭はぶっつかり合う。慌ててひき離されたが厚い皮が破れて、血が流れ出る。カバの歯はぐんぐんのびるので上あごに食いこまぬよう時々鋸で切ってやる。カバがお産をすることになった。親カバは汗ビッショリ。仔は大てい逆児で生れる。生れた時、水に入って窒息しないように水を抜いておく。生れて三十分もすると水を入れる。うまく泳げる。乳も水中にもぐって飲む。こうして動物園は、動物を立派に育て、どうしたら動物達に楽しい生活をさせてやれるかと、物言わぬ彼らの気持になって日夜を問わず研究し、努力を続けて行く。