恋染め浪人

劇場公開日:

解説

山手樹一郎原作“恋染笠”より「魔像(1956)」の結束信二が脚本をかき、久方ぶりで加藤泰が監督にあたる。撮影は「新諸国物語 七つの誓い・三部作」の三木滋人。主な出演者は「大江戸喧嘩纏」の大友柳太朗、「任侠清水港」の花柳小菊、長谷川裕見子、「新諸国物語 七つの誓い・三部作」の浦里はるみ、「旗本退屈男 謎の紅蓮塔」の薄田研二、ほかに原健策、香川良介、吉田義夫、山口勇、岸井明、中野雅晴、円山栄子、若水美子など。

1957年製作/84分/日本
劇場公開日:1957年1月22日

ストーリー

江戸浅草の春。浅田道場のゴロッキ剣客らに難題をつけられた女手妻師江戸屋一座の座頭紫太夫。彼女の急場を救ったのは、鮎さんこと、夏目鮎太郎という着流しの浪人者。紫が逃げ去ったのを見届け、足にまかせて追手をマイたが広法寺の墓地で、麻薬に冒された美しい武家娘を救う。麻薬のため正気も失った娘を仮にお夢と名付け、自らが身を寄せる下総屋で看病するが、浅田道場の連中はここにも目を付ける。黒幕は誰?と疑う鮎太郎は、下総屋久兵衛と娘おきとにお夢を託し、道場の連中を叩き伏せる。だが一瞬の差で久兵衛は斬られる。そこに現われた松本省平と名乗る侍は、お夢の身許を語る。彼女の本名はお美穂、鮎太郎が前に仕えた松代藩の家老生田頼母の娘である。背後に何かあると睨んだ鮎太郎は裏面の醜くさに撫然としつつ、省平の連れ帰るお美穂を見送る。紫が父を失ったおさとを引取り、一座は信州へ旅立つことになるが、そこに訪れたお美穂と父の頼母。頼母の語る真相は次の通り……。現藩主家邦は愚君で、すべては奥方お牧の方と、家老小倉内記の意のまま。図に乗った内記ほお牧の方と不義を働き、先君の弟完之助をさしおき、二人の間の子を世継ぎにと企む。頼母の諌言にも、家邦は美穂を側女にすれば家督を宗之助にゆずると言い放つ。お家のためと頼母は娘を差出そうとしたが、これを知った内記一味は腹心黒木滄庵を使い、美穂の毒殺を計ったのだ。協力を決意した鮎太郎は紫一座の助力を得て松代藩国許へ乗り込もう止したが、滄庵に見破られ道場の剣客一味の襲撃。雷雨の中にお美穂をかばい、宇津峠の山中に迷いこんだ鮎太郎。雷雨の衝撃でお美穂は正気を取戻すが滄庵の罠で千丈の崖から真逆さま。一方、松代藩では隠退を決意した家邦が突然の江戸入り。江戸屋敷内で内記、お牧の方、滄庵らの計画通り世継ぎの儀が進められる。そこに姿を現わしたのは宗之助君。彼の合図で鮎太郎と美穂も現われ正邪入り乱れての大乱闘。家邦を斬った内記始め一味を倒した鮎太郎は、宗之助世襲で納った松代家を後に、滄庵の短銃に倒れた紫を偲びつつ一人、旅に出た。

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