若者のすべて
劇場公開日 2016年12月24日
解説
イタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティが1960年に発表した監督第7作で、都会の生活に翻弄される兄弟の姿を、アラン・ドロン、アニー・ジラルド、クラウディア・カルディナーレら若き俳優たちを起用して描いた。ミラノに住む長男を頼りに、南部から移住してきたパロンディ家。次男のシモーネはボクサーとして成功への糸口を見つけるが、娼婦ナディアに溺れ落ちぶれていく。ある時、三男のロッコも偶然にナディアと知り合い、ロッコとナディアは惹かれあっていくが、2人の関係に嫉妬したシモーネによって悲劇が引き起こされる。日本では60年に初公開。ビスコンティ生誕110年&没後40年となる2016年、「ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル イタリア・ネオレアリズモの軌跡」と題した特集で、デジタル修復版が上映される(4K完全修復版マスターから変換した2K上映)。
1960年製作/179分/G/イタリア・フランス合作
原題:Rocco e i suoi fratelli
配給:アーク・フィルムズ、スターキャット
日本初公開:1960年12月27日
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2022年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
善良ゆえに退廃し破滅していくシモーネ,あまりの寛大さゆえにシモーネの破滅を阻止できず愛していたナディアを失ってしまったロッコ,技師として安定した肩書の代わりに制服を着て向上に大挙して向かうチーネ.ボクシングの試合と殺人現場の対比はとても良かったし,ほかのいくつかの部分も印象的だった.年に移り住んで翻弄される家族像と,それに適応したり失敗したりしていく様は,僕らの大学進学や就職,そしてそこからのドロップアウトの様に似ているようでより過激であると思うなどした.
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ただし四男を除く、と付け加えたほうがよかったかもしれない。
「ベニスに死す」をリアルタイムで見て、この監督は天才だと思った。それ以降も公開された彼の作品は見ているが、どれも格調高くさすがヴィスコンティと思わせるものであったが、「ベニスに死す」を超えるものはなかった。なぜかこの「若者のすべて」はなかなか見るチャンスがなかった。最近になってようやくPrime Videoで見ることができた(2019年)。
戦後、イタリアが貧しかった頃の若者たちのやるせない閉塞感はよく表現されていたと思うが、正直な感想としてはがっかりだった。というか、私の感性には全く合わない映画だった。
五人兄弟の名前を章ごとにタイトルにして、それぞれの生き方を描く演出は面白いが、二男のパートについては全くついていけなかった。
普通の家庭でも、兄弟といってもそれぞれ性格が違う。この映画の五人兄弟にいたってはかなり違う。特に次男は人間のクズだ。この次男に対して、 アラン・ドロン演じる三男(ロッコ)が、全てを許してしまう聖人のような性格であり、二人の性格があまりにも真逆で極端すぎないか。
四男の言う通り、三男の全てを許す行為が、結果的には不幸を招いてしまう。ヴィスコンティ監督はそこを言いたかったかったのか?
アルファロメオに勤める四男がいちばんまともで(末っ子もまともかもしれないが、小さいのでまだ性格はよくわからない)、ちょっと救われたが、いずれにしても後味の悪い映画で、しかも全体的に暗いストーリーが延々と長く続き、見ているのが辛い映画であった。
原題は「ロッコと彼の兄弟たち」のようであるが、ロッコからみる兄弟たちは切なすぎるので、四男だけが冷静に兄弟たちを見ていたので、「四男(名前を忘れた)と彼の兄弟たち」のほうがよかったのかもしれない。
<その他>
アラン・ドロンがイタリア語を喋っているが、吹き替えか?
2020年10月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
日本語タイトルがおしゃれだが、原タイトルを直訳すると「ロッコとその兄弟」。
南イタリアで小作農の貧しい生活を送っていた家族が、父親の死をきっかけに、先に家を出ていた長男を頼って都会のミラノに出て、その生活を成り立たせるまでの苦労を、三男ロッコを中心に5人の息子達の各々の成長と葛藤に載せて描く社会派要素の強い作品。
当時25才のアラン・ドロンの表情の美しさといったらない。聖人のような三男を彼が演じることで、凄惨・陰鬱な現実から救われた気がした。
そし四男の現実的な判断と、小さな五男の笑顔が、次世代への希望をつなぐエンディング。当時のビスコンティ監督の気持ちが反映されているように思った。
アランドロンの顔がとにかく良い。太陽がいっぱいの時より良い気がする。とにかく顔が良くてこんな良い顔をボコボコに殴らせるボクサーなんてやめてくれと懇願したくなる。
内容はなんともまあ悲劇で、どんなご都合幸せ主義もできるフィクションの中でよくもここまでの人間のクズを作り出すもんだなと思った。最後までよく誰もこいつを殺害しないな…と感心して観てしまった。私が監督だったらこういう奴は絶対泣き喚き命乞いさせながらボロ雑巾みたいにして殺す。
人間のクズはもちろんとして、ボクサーアランドロンの兄さん愛も家族だから助け合う、庇い合う、の限度を明らかに超えており2人とも両極端に異常だ。そして多分、だから2人とも幸せになれない。
何事も中庸が一番ですね
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