泉へのみち

劇場公開日:

解説

朝日新聞に連載された広津和郎の小説から「坊ちゃん社員 前篇」の池田一朗が脚本を書き、新人の筧正典が第一回作品として監督に当る。撮影は「不滅の熱球」の中井朝一、音楽は「春の渦巻」の伊福部昭の担当。出演者は「川のある下町の話」の有馬稲子と根上淳、「丹下左膳 こけ猿の壷」の高峰三枝子、「男性NO.1」の藤木悠、「ゴジラ(1954)」の河内桃子のほか宮口精二、若山セツ子などである。

1955年製作/92分/日本
原題または英題:A Spring of Happiness
配給:東宝
劇場公開日:1955年3月8日

ストーリー

雑誌「女性の友」の女記者波多野京子は、小さい洋裁店を営む母親のつね子と、成城で静かな家庭生活を送っている。ある秋の日、鎌倉の近代美術館で京子は高倉という青年に会った。昔京子親娘が鎌倉に住んでいた時分に顔見知りの彼は、偶然にも京子の社の編集で時事解説を担当している金沢と大学以来の親友で、然も京子の幼い頃彼女や母を捨てた父と同じ明和大学の講師をしていることを知り彼女の心は動揺した。その頃京子は社に来る身の上相談の投書から、小川ウメという女工が病父のため工場主に身体を許し恋人も諦めていることに同情し、ウメを救おうとしていた。京子は高倉から、父の笹川が京子の写真を欲しがったり孤独に疲れ病いの床にあったりすることを聞き、昔京子母娘を自殺の寸前に追いやった無情の父と思いながらも、微妙な肉身の感情に心をゆすぶられたが、秘かに笹川を訪れ金を与えたりする母のつね子に、父と会わないでくれと泣いて諫めるのだった。京子はいつか彼女が微かな好意を寄せ始めた金沢の計いでウメを材料に記事を書き、その原稿料で工場主の借金を返しウメの勤めを変えさせた。だが正月過ぎウメの家を訪ねた京子は、幸福になっていると許り思っていたウメが病父と妹とをかかえ、京子への義理から恋人にも逢えず、毎晩泣いていることを知って驚いた。父のこと、ウメのこと、人生の難問題につき当った思いの京子、その京子をひそかに愛する高倉は、彼女の心が金沢にあるのを知って結婚を断念するのであった。きびしい現実の嵐に吹きまくられる京子は、次第に父のこと、母のことを許す余裕が出て心が明るくなって行く。そういう彼女を導き励ます金沢だったが、ある日曜に久里浜に一緒に取材に出たとき、海の見える丘で京子に結婚を申し込んだ。

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