消えた中隊

劇場公開日:

解説

井手雅人作の小説『池の塩』を「七人の侍」の黒澤明と「黒い潮」の菊島隆三が共同脚色した三村明の監督第一回作品。撮影は三村明自ら担当、音楽は「初姿丑松格子」の大森盛太郎である。出演者は「平手造酒(1954)」の辰巳柳太郎、島田正吾はじめ新国劇が総出演のほか「初姿丑松格子」の島崎雪子、「かくて夢あり」の梅原道子などである。

1955年製作/93分/日本
原題または英題:The Lost Garrison
配給:日活
劇場公開日:1955年1月14日

ストーリー

昭和十六年六月、香川大尉は、黒竜江をはさんでソ連領のセミドムカ地域と対峠している北満の監視哨に、隊長として赴任した。前任の岸中尉は温厚な中年男で、部下はじめ集落民の信頼をかちえていたが、コチコチの香川大尉は、岸中尉のやり方にあき足らず、早速猛訓練を始めた。ある日駐屯地の街の料亭で、司令部参謀の新田中佐の歓迎会が開かれた。酒に酔って露台に倒れていた香川大尉は、新田中佐、部隊参謀藤倉中佐、それに得体の知れぬ満洲浪人達が、ソ連との戦争を誘発しようと密議をこらしているのを聞いてしまった。香川は自決を強いられたが許され、その代りにソ連との戦闘開始の端緒を強引に掴めという無理な命令を下された。重く沈む香川の心を慰めるのは、街の料亭の女ハル子だけであった。ハル子を通して岸中尉の真情を知った香川は、胸襟を開いて語り合いたい気持に襲われたが、何故か出来なかった。統帥部からの南進命令に、一刻の余裕もなくなった新田中佐等があせり出した折も折、ボールを拾おうとして河に落ちた集落民の子にソ連が発砲するという事件が起った。折もよしと、藤倉中佐等は直ちに攻撃命令を出したが、岸中尉は子供を助けようと発砲を制止した。新田中佐は自分等の企図したことの露見を恐れ、岸中尉の命令違反をたてに、中尉以下監視哨全員を抹殺せよと恐るべき命令を発した。香川大尉の必死の努力も空しく、岸中尉以下の兵隊、集落民は同じ味方の砲撃にせん滅された。香川は、この叛乱事件の証人として死ぬことも許されず、激しい砲声の中にもだえるのみであった。

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