薔薇いくたびか

劇場公開日:

解説

小山いと子の原作を「次男坊判官」の衣笠貞之助と相良準が共同で脚色し、「川のある下町の話」の衣笠貞之助が監督にあたる。撮影は「火の驀走」の渡辺公夫。出演者は「月に飛ぶ雁」の若尾文子、「暁の合唱(1955)」の根上淳、「お嬢さん先生」の南田洋子、「麝香屋敷」の長谷川一夫、「楊貴妃」の京マチ子、「火の驀走」の山本富士子、「幸福を配達する娘」の菅原謙二、船越英二のほかに市川雷蔵、勝新太郎、林成年、村田知英子、市川和子、矢島ひろ子、三益愛子などのオールスター出演である。

1955年製作/135分/日本
劇場公開日:1955年4月24日

ストーリー

松島真一郎は芸大の音楽部を受験する妹光子の送り迎えをするうちに、妹と受験番号を互に呼び合う美しい女性を知った。光子は合格したが、その一一七番の女性は落ち二度と顔を見せなかった。その女性桐生弓子は東京に近い農村に育ち、野々宮幸子に師事してピアノを習っていた。数日間の知り合いとは云え、真一郎の面影は鮮明に弓子の胸に焼ついた。同じ村の財産家市岡鶴夫に望まれ弓子は嫁ぐこととなったが、結婚の約束だけで嫁に行き先方の気に入らねば追い返される風習「あし入れ」をしなければならないのである。弓子は上京し友人沢田道代と共に芸大へ光子を訪ねたが、彼女の授業は休講で逢えず、また名を知る術もなかった。一方真一郎にも舞踊家山村御風の妹富子との縁談があり、御風は妹のことを真一郎に頼むと弟子素風を連れて欧洲へ旅立った。真一郎は弓子が忘れられず彼を愛している富子は悲しんだ。真一郎の親友芹沢五郎は真一郎の恋を知ると、全てを忘れる為に東南アジアへ出張するようにすゝめた。出発前、真一郎は新聞に一一七番の行方を訪ねる広告を出したが、その為に弓子は結婚二日で追い返されねばならなくなった。初めて全てを知った母よし江は、弓子に心からわびた。そして時はたち、真一郎と弓子はついに結ばれた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5若尾文子が綺麗なロマンチック恋愛もの

2024年7月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

初見は2013年にVHS鑑賞だったので、約11年ぶりに購入DVDで鑑賞。
やはり映像が鮮明で、「こんなに超大作だったのか!」ということに感服した。
VHSのたぶんボンヤリしていた映像では気付かなかった点が多々あった気がした。また、けっこうな感動作でもあった💗
観直して良かった衣笠貞之助監督の佳作✨

古いしきたりや考え方に縛られながら愛を感じ続ける男女(若尾文子、根上淳が主演)によるスリリングなロマンティックな映画。すれ違いものの要素もあり、「結婚は純潔が前提」という時代のドラマ。衣笠貞之助監督作品。

上野の芸術大学の入試場面から始まり、若尾文子は受験番号=117番の受験生。
119番の受験生(南田洋子)と知り合いになるが、お互いの合格までは名前や住所の交換せず番号で呼び合うことにする。そこに、119番の兄(根上淳)が車で現れて、117番と兄の相思相愛が始まる。ただし、お互いの名前も住所も知らずに…。

その後、なかなか会うことができなかったり、すれ違ったりすることが続き、兄は親友(菅原謙二)に「117番なんて、名前も住所もわからない。夢のような話だよ」と言われ、117番は地元のしきたりの「足入れ」=「結納とともに事実上の結婚候補として、夫候補の家に住まうが、嫁失格となると結婚はされずに返される」に縛られて、嫌々ながら市岡家(船越英二)のところに3日間だけ行ってしまった。
そして、運命の二人(若尾文子と根上淳)は再会する。二人が車で出かける場面を、二階の物干し場から見下ろす母親視線の俯瞰ショットが衣笠監督うまい。
この「足入れ」が問題となり、破談寸前。
クライマックスの京マチ子や長谷川一夫の「本当の愛情とはなにか」についての言葉は、物語を引き締めて、いい感じである。

しかし、改めて本作を観直すと、京マチ子も若尾文子のピアノの先生役、田舎の友人=山本富士子、市川雷蔵や勝新太郎などはチョイ役で出演するなど、全編にわたって「大映オールスターキャスト」と言って良い映画。さすが大作だけあって、製作も永田雅一。

若尾文子は、とても若くて、非常に綺麗😍💕
服もオシャレで、相変わらず「美しい声」にしびれる作品であった。

<映倫No.1754>

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たいちぃ