五泊六日
劇場公開日:1966年12月3日
解説
樹下太郎の同名小説を「日本暗黒街」の瀬川昌治が脚色し「悪童」の渡辺祐介が監督した喜劇。撮影は「三等兵親分出陣」の坪井誠。
1966年製作/84分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年12月3日
ストーリー
サラリーマン大原彰は、タイピストの伊藤久美と結婚するはずであったが、久美は打算から大原の親会社の久米産業の御曹子庄三郎と結婚してしまい、そして大原は同僚の豊川知恵子と結婚した。皮肉なことに、この二組の新婚旅行は同じコースの南紀一周で、新幹線やホテルまで鉢合せの連続であった。ことに大阪のホテルでこれ見よがしに札ビラを切る庄三郎に彰は腹を立てたり、また和歌山行きの水中翼船の中で船酔いした庄三郎を知恵子が世話をしたところから、二組の関係がむずかしくなってきた。白浜に着くと、この二組に中年夫婦矢部と和代も加わり、串本→潮岬→勝浦と珍道中を続けていく中に、彰と久美は反撥しながらも恋人同士だった頃を思出していた。三組で二部屋しかとれなかった新宮で、とうとう彰と久美は人目を忍んで逢引きする破目になり、知恵子に感づかれるようになった。二見ケ浦で終る最後のコースに来て、いよいよ二組の仲はまずくなったが、「私にも好きな人がいたの。でも今は貴方が一番好き」と言う知恵子の言葉に、大原は努めて久美の幻影を消していった。一方久美も別れ話を持ちだすと泣きだした庄三郎の姿にうたれ、愛のない打算の結婚に空しさを感じながらも、「二年間をこの人に賭けてみよう」と思った。そして二年経ったある日、パッタリ会った彰と久美は思出の寿司屋に入り、彰は近く課長になることや、娘のことを半ば誇らしげに語るのだった。すっかり貫禄のついた彰に久美は、現在の落ちぶれた自分を顧みて、何か気おされるものを感じた。庄三郎一家は破産して、今は共稼ぎしなければならない久美ではあったが、庄三郎を見捨てる気にはなれず「私が何とかしなければ」と我が心に誓うのだった。